プロローグ 認められなかった少年。
万年2位をお読みの方は、お??、となる新作。
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――王都立学園、全科目1位。
歴史上初の快挙を成し遂げた俺は、当然に認められるものだと思っていた。しかし、そんな俺を待っていた父が口にした言葉は、想像もできないもの。
「このような世代での1位には、なんの価値もない」
「……え?」
学園を卒業した翌日。
父のもとへと向かった俺に投げられたのは、無関心のそれだった。周囲にいる他の者もみな、同じ意見なのだろう。
俺に向けられた視線はどれも、冷ややかなものだ。
思わず眉をひそめると、父はどこか落胆したようにこう口にする。
「はぁ……。ダンよ、なにか不満でもあるのか?」
「あるに決まってるだろ、そりゃ……」
そして、感情を隠さずに伝えると父は答えた。
「偉そうなことを言うな。貴様は所詮、井の中の蛙に過ぎない。あのように閉じられた世界の中、しかも歴代で最も不作だと云われている世代の1位に、価値があると思うのか? もし思っているのなら、その伸びた鼻を真っ先にへし折るのだな」
「な……!?」
実の息子に対しての言葉とは思えない。
あるのは、確実に自らにとっての利益だけだった。それを悟った瞬間に俺の中で、父親に対する尊敬と親愛の情は消え失せる。
そしてさらに、周囲にいる親族も同じだ。
だとすれば、もう――。
「文句があるのなら、出て行けばいい。貴様のような木偶の坊よりも、期待できそうな弟が公爵家にはいるのだからな?」
「あぁ、そうかよ……!」
その言葉が、決定打だった。
こちらを鼻で笑った父に向かって、俺は睨み返して告げる。
「こんな腐った家、俺の方から願い下げだ……!」――と。
この日、俺は今まで依り代としてきた家を出た。
ダン・ファーシードは、ただの少年――ダンとなる。もしかしたらこれは、己の運命を左右する大きな決断だったかもしれなかった。
◆
最低限の荷物だけをまとめて、俺は翌日すぐに公爵家を出た。
見送りはいない。
「まぁ、それもそうか。勘当も同然だからな」
王都――ガリアの街を歩きながら、俺はそう呟いた。
朝早くであることもあってか、人の往来は少ない。しかしそれも時間の問題だ。もうじきすれば、ここも大きな波に飲み込まれてしまう。
それは避けたい、そう思った。
だから俺の足は自然、日が昇っても陰となる場所を目指す。
「ここは、たしか……」
そうして辿り着いたのは、とある建物の前。
知識としてはあった。
しかし、今まで自分には縁も所縁もない場所だと思っていた。
だから実際に目の当たりにして、しばし硬直する。
それでも、すぐに考えついた。
「ここなら、あるいは――」
実力さえ示せば、認められるかもしれない。
そう思うと俺は自然、その建物――冒険者ギルドへと、足を踏み入れていた。
公爵家から、貴族のしがらみから解放されたのだ。
それなら冒険者として、好き勝手に生きてやろうじゃないか。
そう考えて俺は、真っすぐに前を向くのだった。
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