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プロローグ 認められなかった少年。

万年2位をお読みの方は、お??、となる新作。

もしよろしければ、ブクマなど。


応援よろしくです!








 ――王都立学園、全科目1位。

 歴史上初の快挙を成し遂げた俺は、当然に認められるものだと思っていた。しかし、そんな俺を待っていた父が口にした言葉は、想像もできないもの。



「このような世代での1位には、なんの価値もない」

「……え?」



 学園を卒業した翌日。

 父のもとへと向かった俺に投げられたのは、無関心のそれだった。周囲にいる他の者もみな、同じ意見なのだろう。

 俺に向けられた視線はどれも、冷ややかなものだ。

 思わず眉をひそめると、父はどこか落胆したようにこう口にする。



「はぁ……。ダンよ、なにか不満でもあるのか?」

「あるに決まってるだろ、そりゃ……」



 そして、感情を隠さずに伝えると父は答えた。



「偉そうなことを言うな。貴様は所詮、井の中の蛙に過ぎない。あのように閉じられた世界の中、しかも歴代で最も不作だと云われている世代の1位に、価値があると思うのか? もし思っているのなら、その伸びた鼻を真っ先にへし折るのだな」

「な……!?」



 実の息子に対しての言葉とは思えない。

 あるのは、確実に自らにとっての利益だけだった。それを悟った瞬間に俺の中で、父親に対する尊敬と親愛の情は消え失せる。

 そしてさらに、周囲にいる親族も同じだ。


 だとすれば、もう――。



「文句があるのなら、出て行けばいい。貴様のような木偶の坊よりも、期待できそうな弟が公爵家にはいるのだからな?」

「あぁ、そうかよ……!」



 その言葉が、決定打だった。

 こちらを鼻で笑った父に向かって、俺は睨み返して告げる。



「こんな腐った家、俺の方から願い下げだ……!」――と。




 この日、俺は今まで依り代としてきた家を出た。

 ダン・ファーシードは、ただの少年――ダンとなる。もしかしたらこれは、己の運命を左右する大きな決断だったかもしれなかった。







 最低限の荷物だけをまとめて、俺は翌日すぐに公爵家を出た。

 見送りはいない。



「まぁ、それもそうか。勘当も同然だからな」



 王都――ガリアの街を歩きながら、俺はそう呟いた。

 朝早くであることもあってか、人の往来は少ない。しかしそれも時間の問題だ。もうじきすれば、ここも大きな波に飲み込まれてしまう。

 それは避けたい、そう思った。


 だから俺の足は自然、日が昇っても陰となる場所を目指す。



「ここは、たしか……」



 そうして辿り着いたのは、とある建物の前。

 知識としてはあった。


 しかし、今まで自分には縁も所縁もない場所だと思っていた。

 だから実際に目の当たりにして、しばし硬直する。


 それでも、すぐに考えついた。



「ここなら、あるいは――」



 実力さえ示せば、認められるかもしれない。

 そう思うと俺は自然、その建物――冒険者ギルドへと、足を踏み入れていた。


 公爵家から、貴族のしがらみから解放されたのだ。

 それなら冒険者として、好き勝手に生きてやろうじゃないか。



 そう考えて俺は、真っすぐに前を向くのだった。



 


面白かった

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― 新着の感想 ―
[一言] これって『ダン・ファーシード』ではなく『ダン』の物語だったんですね。つまり、『世界線が違う』…と。大勘違いしておりましたorzでも結局クレオは生まれるのかな? ならば、『救済』を求めてもい…
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