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追憶の聖女
あの人達が笑う声が聞こえる
失った景色の中でこだましている
思い出は綺麗 記憶は芸術品のよう
手にとって触れたくても 実体がないから
幸せそうに笑う人達の姿が見える
楽しそうな笑顔が増えていた
アルバムをめくる手を 写真を見つめる目を
ここで止めてしまっても きっとそれは永遠に変わらない
どんな場所で どんな風に どんな言葉で 触れ合ったか
思い出せる 何度でも
「ストーリー」
その聖女は、「どうして?」と言った。
煉獄の谷の底で、足掻きながら「なぜ」と呟く。
それでも彼女は、足を止めない。
必ずまた、元の場所に戻るのだと、強い意志を秘めて。
たとえ命の灯火を消そうと、炎が迫っていても、彼女は最後まで諦めなかった。
やがて聖女の想いは報われる。
彼女の真摯な思いが、かつて生きた過酷な世界に、奇跡を芽生えさせた。