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第6話

全ての兵士はレーティングで表せられる。魔族や魔獣と言われる魔王の配下たちとの戦いの結果によって。それは勇者であってもただの兵士であっても国家の元で管理されるという点では同じ。一般的な兵士が500程で表され、隊長クラスになると、1000程になる。一般人に関してはレートはつかない。レーティングも何も魔族は強力で訓練していない人間じゃ無いと倒せないからだ。


今のトップは勇者エステル。2000を超えるレーティングを持っていて、後続を引き離している。これまでに2000を超えたのはエステルだけだから、だからそれもあって、エステルは史上最強の勇者と言われている。


だから、その戦いはジークから見ても、本当に一方的なものだった。


「私が負ける訳が無いでしょ。魔族でも無いあなたに。」


エステルはそう言って、アルミナに勇者だけが使える聖剣を突き立てた。そうして、剣を突き立てられたアルミナは俯いたまま動かない。


だから、ジークはジークには目に見えない程に早く動いていたのにも関わらず、あまりにも何も出来ずにエステルにやられていたアルミナを少し不憫に思って、肩をさする感じで話しかけた。


「まあ、大丈夫ですって。エステルは僕もよくは分からないんですけど、歴代勇者の中でも最強らしいですし。事故みたいなものだと。」

「は?なにナンパしてるのよ?」


アルミナを慰めただけなのに、その聖剣を振り回しながら会話に加わろうとするエステルにジークは、


「いや、ナンパも何も俺とお前はなんでも・・・・」

「は?」

「いや、なんでも無いです。」

「じゃあ、言うことがあるでしょ」

「えっと・・・・好きです。」

「ふむ。よろしい。」


すっかりご機嫌になって、そのアルミナがさっきまで持っていた剣を自らで使えるかどうかを確認しているエステル。そうして、すっかり身軽になったその女の人アルミナはやっと震える声で話し始めた。


「私、負けてないし。」

「いや、それはちょっと。」


流石に苦笑して笑うジークを、アルミナはきっと睨みつける。


「何がおかしい?」

「すみません!」


そうして、ジークかた視線を下げると、アルミナは勝手にジークの服を引っ張って大きく鼻をかんだ。勿論、ジークには許可は取っていないし、ジークもいきなりのそんな行動には驚きが隠せない。


だけど、それよりも聞きたいことがあったジークはそんなことよりも早くエステルに問いかけた。


「なあ、エステル。結局、この人はなんなんだ?」

「アルミナっていう子ね。剣士で、勇者の一行の一人ね。」

「剣士アルミナ・・・・って、剣がすごいっていう噂の。」

「まあ、私からしたらカスだけどね。」

「いや、泣いてるんだから、やめてやれよ。」


エステルにビビっているのかビビっていないのかは分からないが、さっきからアルミナはエステルの反対側でしきりに涙を拭っている。


エステルが隙間を作らないようにぴったりとジークにくっついているのと対照的に、アルミナはジークからちょっと離れた常識的な距離にいる。だけど、ジークの服で鼻を擤むのは辞めないみたいだ。そうして、ポツリポツリと語り出す。


「だいたい、私、一人で勇者様を連れ戻せる訳ないじゃん。勇者様強すぎだし。そんなの私が一番わかってるし。」

「え?他のお目付け役はいないんですか?」


だけど、アルミナは鼻水を必死に吸い込みながら、皮肉を垂れる。


「魔王との最終決戦やってんのに、こんなくだらないことに人数を割ける訳ないじゃん。馬鹿なの?」

「いや、でもエステルがいなくて勝てるんですか?」


ジークの単純な疑問。そもそも、魔王との最終決戦をやるのは良いのだが、一番強いエステルがいなくて大丈夫なのか。


「勝てる訳ないでしょ。ちゃんと勉強してよ。勇者様が逃げたのだって、半分、冗談みたいに思ってるし。多分、私も勇者様を連れて帰れなかったらなんかの処罰受けるし。」

「まあ、そうでしょうね。」


とアルミナの言葉に頷くエステル。


「勇者の私だって、剣士のアルミナだって一介の兵士なのは変わらないでしょうし、あの人たちはそういう風に考えるでしょうね。」


「でも・・・・・ねえ、アルミナ?」

「はい・・・・・勇者様。」


少し戸惑ったように答えるアルミナ。エステルはそう答えるアルミナの顔をじっと見つめる。アルミナが思わず目を逸らしても関係なく見つめ続ける。そうして、じっくりとアルミナを見つめた後に、やっと口を開いた。


「やっぱり、考えても分からないわね。」


アルミナはとりあえず、自分から注意がそれたと思ってため息をつく間も無く、エステルに再び話しかけられた。


「あなた、このあと、どうするの?」

「えっと、帰って、報告・・・・・したら罰せられますから、どうしましょう?」


最初に、エステルにあった時とはうって変わって不安げな顔をする、アルミナ。すると、エステルはその反応を知っていたかのように、アルミナに伝えた。


「それじゃあ、付いて来なさい。たぶんだけど、私たちの事をつけている人がいるわ」と。


全然関係のない話ではあるのですが、私、実はヤンデレなヒロインというのが好きでして、最近すごくヤンデレなヒロインというのを書いてみたんです。というわけで、もしよろしければこちらの作品もお願いします。

https://ncode.syosetu.com/n4834gg/

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[一言] この話って見覚えがあるけれど前に載せたかな??
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