砂漠
遠い異国の地を私は歩いていた。
人々は皆黒いベールをまとい、顔が見えない。
私は石畳を登っていく人々とは反対方向に坂を降りた。
振り返ると人々は皆私を見ていた。
表情のない顔で。
青い空がやけに残酷に見えた。
私は人々の視線を気にせず歩くことにした。
その時私は気づいた。
この空には太陽がないことを。
終わらない青空が永遠に続いているということを。
私は砂漠を西へと進むことにした。
母と父のことを思った。いもしない恋人のことを思った。胸の奥に広がる渇きと寂しさが心を覆いつくす前に全てを終わらせなければならない。
砂漠と空の間の地平線が曖昧になり、喉の渇きが全てを包み込んだ時、私のもとに安らぎという夜が訪れるだろう。