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第5話 魔力検査と午前試験

ケイル達はこれからソーサリーガの入学試験を受けるのだった。

試験内容は最初に魔力測定から始まり。次に筆記試験を受けて、昼食が済んだら午後には実技試験を行う。ちなみに試験官はソーサリーガ教師・講師で、補佐をして手伝うアシスタントは卒業生が行う。さっそく受験者達はそれぞれ列に分かれながら並び魔力測定を受けてる。


[どうしよう…これからが大変だよな]

「おい、お前の番になったぞ。早くしろよ」

「え?ああっ!すみません!!」


魔力測定に心配していたが後ろの人に声をかけられると、本当にケイルの番になったので慌てて受けるのだった。さっそく自分の受験票をアシスタントに見せた。


「え~~~と、ケイル・サグバラムトくん。年齢は15歳で性別は男の、受験番号は4977ね」

「はい」

「それじゃあ、このパネルに手を乗せてね」

「はい……」


さっそく測定用の装置に触ろうとすると、なにやら別の列が騒いでいた。しかもその列はユハスムのいる平民組である。


「凄いぞ!今回の平民組に逸材が!?」

「あの平民、魔力レベルが最高レベルだ!!」

「もしかしたら貴族以上なのか!?」


試験官もアシスタントも受験者達も同様の反応だった。気になったケイルは、平民組の列をなんとか覗いてみる。

そこで目に映ったのは


[まさか…ユハスムさん!?]


さっきぶつかったユハスムの姿。そんなユハスムの周りでは慌ただしい雰囲気に包まれていた。


「君の魔力は、最高レベルだって知っていたか?」

「いや…仕事先でも俺が1番魔力が高いって言われてたから」

「そういえば、先週の仮試験で1位を取った受験生がいたが、それは君か!?」

「あ…はい!じつは俺なんです」

[ユハスムさんって…魔力高かったのか!?]


あまりの衝撃事実に驚きを隠せないケイルであった。


「あの…早く魔力測定を?」

「え?あっ、すみません。向こうが気になってしまって…」


アシスタントに注意されながらもケイルはさっそくパネルに手を置く。そして測定機に表示されたのは、【0】という数字だけ。


「あれ?」


そんな数字にアシスタントは違う意味で驚いてしまう。すぐに機材の調子が悪いと考えて、見てみるがなんともなってない。


「あの…ケイルくんだっけ?まさかと思うけど…」

「気付いていると思いますが、僕には魔力がありません」

「君?本気かい…」

「はい」


ケイルの真剣な目と返事をする。


「……じゃあ、少し待っててね」


アシスタントは他のアシスタントと試験官を呼んでケイルをどうするか話し合う。

すると周りの受験者達がケイルが魔力無しだと知るや否や、静かにあざ笑ったりバカにするかのような言葉がうっすらと聞こえた。


「アイツ、魔力がないみたいだぜ?」

「聞いたことある。100人に2人か3人か魔力ゼロがいるらしいけどね?」

「しかも田舎出身の世間知らずみたいだしな」

「そんな奴が入学したら、ソーサリーガー最大の恥よね」

「大体、試験出る方がおかしいだろ?」

「遊び半分だったら帰れってよな」


ラナトス村ではなんとかガマン出来たが王都だとそれ以上の罵詈雑言。すぐにアラフトが何とかしたかったが、この空気に入ったりするのはとても無理だと確信していた。


[ケイル…]

[大丈夫だよ…僕の事は]


心配させないようにとケイルは、なんとか笑顔でアラフトに伝える。

そしてしばらくするとアシスタントが戻って来た。


「ええっと、ケイルくん。さっき話し合ったけど、とりあえず君はこのまま試験に出ることになったから…がんばってね」

「はい、ありがとうございます」


試験を無事に受けられると言われたので安心する。それから受験者達は全員無事に魔力検査が終了したので、最初の筆記試験を受けるのだった。

さっそくアシスタント達が受験者全員を筆記試験が行われる教室に案内する。到着すると受験者をそれぞれの各3つ教室に入らせて机に座らせた。そして偶然なのかケイルとメティールが、同じ教室になっていた。


「教科試験か…どんなのが出るんだろう」


緊張するケイルに隣の席のメティールが尋ねてきた。


「ねぇ、さっきの魔力検査でアナタの噂を聞いたけど…本当に魔力がないの?」

「そうなんだ…」

「こういうのも悪いけど、ここは棄権した方が…」


メティールは心配してケイルに棄権を進める。もしもこのまま受けたら、一生笑い者の可能性が高いと感じていたので。


「平気ですよ…僕には切り札がありますからね」

「切り…札?」

「うん、ちゃんと話したいけど、来たみたい」


丁度その時、銀髪にコスモスのバッジを着けて剣を装備した試験官らしき青年が3人程のアシスタントと一緒に教室に入って来た。


「ここに集まった諸君。私がこの教室の担当となるスバルシュ・ドウ・マカギアドム」


試験官のスバルシュ・ドウ・マカギアドムは教室の全員に挨拶をする。でも彼のコスモスのバッジとラストネームに気になったのか、ケイルはメティールに声をかけた。


「あの、もしかして試験官の彼は?」

「もちろん、私と同じ守護族の魔導騎士で魔戦騎士隊の隊長の1人」


小声で質問に答えるメティール。

全て魔法を使った戦闘を行う魔導戦士に対して、魔導騎士とは剣と槍と弓矢と斧などの武器を使った魔法戦闘を得意とした者。そして魔戦騎士隊も魔導6士隊と同じフーデアルス国を守る組織で、各国から“フーデアルスの双矛”と呼ばれていた。もちろん引退か時間限定でソーサリーガの講師になるときもある。


「なんだか真面目で厳しそうだね?」

「うん…あの人って騎士の誇りが高くて、しかも守護族のプライドもめちゃくちゃ強いから……小さい頃から私苦手で…」

「そこの2人、私語は慎め」

「「あっ…すみません」」


会話が聞こえたらしくスバルシュに睨まれたので、2人はギッとして冷や汗をかきながら謝罪する。


「お前達に言っておくが、如何なる時も不正や暴力などの問題を起こしたら、即座にここを出て行って貰うぞ。たとえ上級貴族でも私と同じ守護族でも関係なくな」

「「「「「はい……分かりました!」」」」」


アシスタントにテスト用紙を配らせて貰いながらも、スバルシュが念入りに言うので他の受験者達も冷や汗と一緒に返事する。そうしている内にテスト用紙は受験者全員に配り終わった。


「では、これより教科試験を開始する。初め!」


スバルシュの合図で全員はさっそくテスト用紙の問題を見る。


[うん、全部本に書いてある通りだ。とりあえず分かる所は全部書いて、難しい所も思い出しながら答えて、その後に見直しだ]


ケイルはスラスラとテストの答えを書いて、見直しもちゃんとやって無事に終了。そして午後の実技試験までの間に、受験者達は昼食をとっていた。


「は~~~筆記はなんとか終わったけど、問題は実技だね」


弁当を食べながらも最後の実技に落ち込むケイル。


「実技は得意な魔法で試験官達にアピールして、その腕前を見せたりするのよ」

「なるほどね…やっぱり筆記よりも実技の魔法が優先的だな」


アラフトが実技試験の内容を説明している途中。


「テメェだな?魔力無しの田舎者が」


2人の前に現れたのは髪を染めてアクセサリーを着けたジンバと同じぐらいガラの悪い少年と、その取り巻きらしき3人組。


「なんですか、アナタ達は?」

「やっぱ田舎者だな?おい、説明してやれ」

「こちらは上級貴族のグーダベ・マンサードさんだぞ?」


取り巻きがケイルとアラフトに、グーダベ・マンサードの事を紹介する。


「魔力無しの分際で、このエリート学校の入試するなんざ身の程知らずだな?」

「そうそう、もしかして遊び半分に来てたのか?」

「俺達はな。本気で合格して入学する為に来てんだぞ」

「目ざわりだから、帰った方が身のためだぜ」


グーダベ達はケイルをバカにしたりする。これにはアラフトが彼らに何か言い返そうとしたが、ケイルに止められると代わりに喋り始めた。


「別に何言われても構いませんよ?慣れてますし」

「ほぅ~~~じゃあ、ここを出ていくか?」

「それは嫌です」

「はぁ?」


さらに続けて言い続けた。


「僕も本気でここに入学する為にやって来たんです。それをなんでアナタ達みたいな人の言う事を聞必要があるのですか!」

「んだと、コラ!」


怒ったグーダベがケイルの服を掴んで殴りつけようとするが、それでもケイルは取り乱す様子はなく。


「良いのですか?僕を殴ろうとするのは?」

「なんだと?」

「筆記試験で言ってましたけど、もしもどんな時でも問題が起きたら落第にして、ここを追い出されるって」

「この魔力無しのクズ野郎が…屁理屈言いやがって!」

「なにが屁理屈だよ?」

「本当の事なのに?」


いつのまにかグーダベの後ろにはジンバとラギがいた。


「なんだテメェら!?」

「いや~~~俺って喧嘩好きだし。それにコイツがイジメられているところを無視する程、俺達って無責任じゃないし」

「つまりテメェらも俺達に喧嘩を売ってるって事か?」


強気なジンバの態度に気に入らなかったグーダベはここで魔法を使おうとする。だが、ジンバは本気で喧嘩する様子はなかった。


「待てよ?俺は喧嘩が好きだけど、今ここでやる程マヌケじゃないぜ?落第したくないし」

「まぁ、俺とジンバは中級と下級の家出身で色々と騒動が起きても少しは平気だけど、自分から上級って自慢しているアンタが一番困るんだろ?」

「んぐぐぐ…!」


2人が言ってるのが正論なのでグーダベは顔を真っ赤にしながら悔しがる。


「どうせ、実技じゃあ確実に不合格なんだぞ!」


グーダベがそう捨て台詞を吐いて取り巻き達と一緒に離れて行った。


「ありがとう。助けてくれて」

「良いって事よ」

「それよりも、本当に魔力が?」


ラギに尋ねられてケイルは頷いた。その事実を知ったジンバとラギは、しばらく顔を見つめ合いながらケイルに再び尋ねてみる。


「んで、お前はどうなんだ?」

「え?」

「だから、お前はこのまま試験を受け続けるかどうか聞いてるんだ?」


魔力検査で自分が魔力無しと周りに笑われたり。さらにさっきのグーダベ達にバカにされてイジメられそうになっても、ケイルの意志は変わらなかった。


「もちろん、受けますよ!ソーサリーガに入学して、勉強して調べたいから!」


大きく3人の前で宣言するケイルに、ジンバとラギは安心したかのような笑顔になった。


「そっか…じゃあ俺達も応援しとくぜ♪」

「たしかにね。魔力無しの根性も見てみたいし」

「その意気だよケイル!切り札もあるし!」

「「切り札?」」

「うん、まぁね。午後の実技で分かるからね」


それからケイルとアラフトはジンバとラギも一緒に昼食を再開しする。








その頃、メティールは急いで誰かを探している。


「どこだろ…スバルシュさんは…あっ!」


そして先程の筆記試験官のスバルシュを見つけたメティールはすぐに駆け寄った。


「スバルシュさん、すみません!」

「メティールか?どうしたんだ慌てて」

「ええ…それで、これを」


すると一枚の手紙みたいな物を渡した。スバルシュが手紙を受け取ると、とりあえず封筒を開いて手紙をその場で読む。


「……お前はどうするんだ?」

「お父様とお母様が私の為にと言ってくれたので…」

「まぁ、お前の“秘密”を守るのには、これが一番だからな。後で学園長とみんなにも伝えておく」

「ありがとう、スバルシュさん」


メティールがお礼を言ってこの場を後にする。それからもうすぐ本題の実技試験が始まるが、ここでケイルだけの魔法を受験者と試験官達に知らされるのであった。

ついにソーサリーガ試験が始まり、ユハスムが魔力が高く平民の仮試験1位だと判明しました。

またこの世界観を色々と教えます。

この世界観では魔法を利用した機械は少し存在していて、冷蔵庫やオーブンやカメラと通信機と本編に出ていた魔力測定器などです。

魔導6士隊は名の通り6の部隊となっているけども、魔戦騎士隊も6つの部隊になっていています。

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