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第13話 初めての休み時間

一時間目の魔法と魔力の授業が終わり、次の二時間目はフーデアルス国について。そしてまたセリシアが担当。


「我がフーデアルス国の戦力兼軍力は、国防兵士隊と魔導6士隊と魔戦騎士隊を合わせたフーデアルス軍になる」


黒板にフーデアルス国の国防兵士隊と魔導6士隊と魔戦騎士隊の事を書きながら授業を進める。


「魔導6士隊も魔戦騎士隊も両方6部隊からなっていて、各部隊の隊員は50か100名程。ただし国防兵士隊はその倍の数千人。じゃあ、メティール。この3つの組織の違いは知っているか?」


セリシアからの質問にメティールはすぐに答えた。


「知っています。たしか国防兵士隊は殆どが厳しい訓練を受けた平民で、6士隊と騎士隊は貴族から入団する者が多いですが、その半分は国防兵士隊から選ばれた人もいます」

「ふむ、他には?」

「他には…戦い方ですね。6士隊は完全な魔法攻撃と魔法による肉体強化を中心にして、騎士隊は剣や弓矢などの武器と魔法を組み合わせた戦闘を得意とします」


スラスラと答えるメティール。伊達に5大守護族の1人だけあるとケイルは少し思った。


「正解だ。しかしこの国の戦力は国防兵士隊と魔導6士隊も魔戦騎士隊だけでなく、国王を守るエレート集団の近衛兵士隊。別名、ガードセイヴァーも存在する」


セリシアはガードセイヴァーという国王守護組織の説明をし始める。


「彼らは、魔導6士隊も魔戦騎士隊から選ばれた者と…傭兵ギルドから選抜されて高い報酬と契約で集まった強者軍団。当然、実力も折り紙つきという事」


しばらく授業を進んで行くとチャイムが鳴って二時間目も終了。

そして午前中の授業が終わって昼休みに入る。ケイルはメティール達と一緒に、さっそく大食堂に行ってみるとすでに各クラスの同級生と上級生でいっぱい。


「うわ~~~さすがに混んでるね?」

「だけど見てみろよ!ここの学食、スゲェ豪華じゃん!」


ジンバは学食のメニューの内容に興奮する。なんでも豪華な献立らしいが、ケイルやメティールには理解出来ず。ラギに至っては呆れ果ててしまう。


「ほら、あまりよだれ出さないで早く席を決めようぜ」

「そうだな。じゃあ、さっそく♪」


すぐにジンバが座ろうとした瞬間。


「「「「「「ギロッ!」」」」」」

「いっ!?」


突然、大食堂にいる上級生全員に睨まれてしまう。しかも只ならぬ殺気を放ちながら。


「え?なに…これは…」

「おいおい、あまり不用意に座らない方がいいぞ」


そこに購買の弁当とパンを持っているユハスムとコエトンの2人。


「ユハスム!どういう事?」

「どうもこうも無くて、所謂スクールカーストって奴だよ」


ため息を吐きながらコエトンがケイル達に説明する。


「この時期に大食堂で食事が許されるのは、上級生全員。私達のような入ったばかりの新入生はまだ許されないの」

「んで、もしも逆らったら…あれ」


ユハスムがある方向に指を刺すので目を向ける。そこにはズタボロの氷漬けにされたグーダベ達4人だった。


「あれって…?」

「アイツら上級の貴族だからって理由…というか理屈で座ろうとしたんだけど。結果、熊クラスの先輩達にお灸という名のリンチに合って、そのまま魔法で氷漬けに」

「つまりこの学園じゃあ、上級も俺のような王族も関係なしさ」


なんと同じようにビクゼウムも購買でパンを購入してやって来る。


「だから、ケイルもここは大人しく購買でお昼を買おう」


さらにアラフトも2人の鷹クラス女子と一緒に現れた。


「アラフト!それで…こちらは?」

「この2人はアタシの友達になった鷹クラスの」

「ハルミ―・ヨグレストです♪」

「同じくコトル・ウータクパトです。よろしくお願いします」


アラフトの紹介で、オレンジ髪の外ハネな活発な印象の少女がハルミ―・ヨグレスト。そして黒髪に右側の耳辺りに短めの三つ編みにした礼儀正しい少女はコトル・ウータクパト。なんでも入学して教室に入った直後に、この2人と意気投合して友達になったらしい。


「んで、アンタがアラフトの言ってた幼馴染の?」

「はい…梟クラスのケイル・サグバラムトですが」

「ほんと…女の子っぽくて可愛い!」

「うわっ!」


いきなりケイルに抱き着いて頬ずりするハルミ―。だが、すぐにコトロがどこからか取り出したハリセンで頭を強く叩く。


「ちょっと…前から言ってるけど、ハリセンで頭叩くの止めてよね?」

「アンタも、その癖いい加減にしなさいよね」

「だって可愛いんだもん♪これからケイルって呼んでみいいよね?」

「そんなの理由になってないでしょ!てか、勝手に話を変えない」


容赦なくハルミ―を叱りつけるコトルの姿。それからすぐにアラフトが彼女の事を簡単に説明する。


「ゴメンね…ハルミ―って、自分の好みに合えば男も女も関係無しな人なのよ…」

「あははは、そうみたい…」


なんとなく顔を赤くして苦笑いしながら返事するケイル。だけど、そのハルミ―はというと。


「だけど、ケイルは可愛かったけど。この2人はワイルドっぽくてカッコいいね♪それから草食系もセレブ系も素敵でいい!」

「え?そうか…」

「ワイルド系ってか?」

「草食系…」

「なんかな~~~」


いつのまにかコトルから逃げ出したハルミ―は、ユハスムやジンバ達を見て高評価した。これには4人も照れ笑いする。


「あっ!ロリキャラ♪」

「うわっ!」

「アンタは…」


さらにはコエトンに抱き着いたりとコトルは最早止めても無駄だとため息を吐く。だが、その時。


「ちょっと、3人共勝手に行かないでよ」


首にスカーフをつけた茶髪でなんとも地味な印象の獅子クラス制服を着た少年が弁当を持って駆け寄った。


「君は?」

「僕…バルボ・スドフボンです…下級貴族ですが、獅子クラスの1年でして」


この少年、バルボ・スドフボンは控えめな感じに挨拶をする。


「もぅ、なにしてたの?」


するといつのまにかメティールがたくさんのパンと弁当を持って現れた。


「ほら、3人の分も買ったから後でお金を出してね」

「うん…分かったけど、いつのまに?」

「だって、みんなが勝手に話し始めたから…」

「そうなんだ…なんかゴメンね。じゃあ、改めてお昼にしようかな…」


それからケイルやアラフト達はとりあえず、校舎の中庭で購買のパンと弁当で昼食を取る。


「しかし、こうして外でみんなと食べるのって良いもんだな」


ビクゼウムは外の景色を眺めながら呟くとジンバが尋ねてみる。


「なんだ?王族って立場だから、こういう飯は新鮮ってか?」

「まっ、そんなところかな?王族としての勉強とか魔法特訓とかで」

「私も毎日毎日、剣と騎士道の修行で大変だったんだよ」


ちょっとした苦労話に入ろうとするとメティールも入って来た。


「それにしても…いくら守護族4位だけど、フラトタル家の君がなんで梟に?」


やはり王族のビクゼウムも守護族のメティールが梟クラスなのか気になっていた。ちなみにメティールのフラトタル家は、守護族で4番目の地位にあるらしく。そしてスバルシュのマカギアドム家は2番目らしい。


「ゴメン…これには事情があってね…まだ言えないの」


前よりも大量の冷や汗をかきながらもこれだけは喋らない様子。


「ところで、君って優秀だって事よね?」

「え…僕が?」


コトルはバルボに声をかけ始めた。続けてケイルやアラフト達も喋り出す。


「そうだよね。下級貴族なのに獅子クラスに入れるなんて優秀って証拠?」

「たしかに…言われれば」

「見た目は地味だけど、本当は凄いってことね!」

「ちょっと、その言い方は失礼じゃあ…」


今のハルミ―の言い方にラギがツッコんだりするけども、色々と勘違いされてバルボは口を開く。


「いや…別に優秀とかじゃなくて」

「数合わせよね」

「数…合わせ?」


コエトンがパンを食べながらもケイル達に説明をし始めた。


「ほら、獅子クラスって上級はもちろん魔法の成績とか優秀じゃないと入れないだろ?」

「うん…そうだけど?」

「だけど、なんかどうしても人数が足りなくなったり…または筆記と実技が微妙なのがいるから」

「僕は魔法の腕も教科もなんていうか微妙でね…でも人数合わせの為に獅子に入れたんだけど、ユハスムとコエトンと同じ立場なんだ」


深く説明をするバルボ。だが、早い話がユハスムとコムトン同様に学業の成績が落ちればすぐに梟か熊クラス行きという形。これを聞いたケイル達とアラフト達は


「なんだ。凄いと思ってたけど、大したことないんだな?」

「ほんとほんと、なんかガッカリ」

「勝手に勘違いして、その言い方はなに!?」


こんな感じでこの場の全員。特にジンバとハルミ―は余り物の数合わせのバルボに、ガッカリしたりつまらなそうな顔をしたりする。当然、バルボ本人もその態度に涙目になった。


「ちょっと、ジンバにヨグレストさん。それでも彼は獅子クラスに入れたんだからさぁ…そんな言い方はダメだと思うよ」

「彼の言うとおりだから。とりあえず、ここは仲良くね」


ケイルとビクゼウムは2人の態度に注意しながらバルボに少しフォローした。


「さてと、午後からはなんか1年の全クラス合同の実技授業らしいぞ」

「おおっ!つまり暴れられるって事だな!!」

「やれやれ…ジンバは本当に」


午後の授業内容を聞いてジンバがやる気満々に指を鳴らすので、呆れてため息を吐くラギ。だけど、ケイルが弁当を食べ終わると本校舎に戻ろうとする。


「ケイル、どこ行くの?」

「もちろん、大図書室。そこで本読んで見たかったからじゃあ」


そう全員に行って急いで本校舎の大図書室に向かった。


「ゴメン…ケイルって本当に読書が好きだからね」

「まぁ、アイツってどう見ても文化系だからな」


残ったアラフトやメティール達は思わず笑いだす。しかし笑われているのも知らずに、ケイルはひたすら大図書室に走っていった。

今回もまた新キャラを3人登場させました。次回は大図書室の話になります。

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