第一節 「目覚めた希望とハンデ」
追記 2016/08/27 プロローグ 後編の最後に一文だけ追加しました。
「目が覚めましたか?」
目の前には見知らぬ少女、周りには幼馴染4人と恐らく騎士であろう格好をした人が3人。ここは一体……?
「あのー?」
少々頭が痛いが、記憶を遡ってみる。俺たちは学校にいた。文化祭前日で一日授業が無く、まさに準備の日だったはずだ。だが、俺たちのクラスだけ既に終わっていてゲームをして……裏ボスを倒した。
「姫様、勇者様たちは怪我をされたのかもしれません。治癒師をお呼びしましょうか?」
「まぁ! それは大変ですね。至急、なるべく多くの治癒師を集めてください」
「「「はっ!」」」
そうだ、裏ボスを倒した後に電話が来て……思い出した!
「姫様、街にいた手が空いている治癒師を集めてきました。」
俺は……俺たちは……!
「異世界に来たんだ!」
「きゃあ!?」
「姫様!?」
「失礼しました……」
「いえ、こちらこそ何事も無くてよかったです。起きられたのに返事が無いものですから」
「申し訳ありませんでした」
「いえいえ! 本当に何事も無くて安心しました」
どうやら、どこか怪我をしていると勘違いしたらしい。俺自身もどこにも異常がないか気になってはいた。だが体はいつも通り動くし、記憶もどこもおかしくない。それより、この少女がお姫様なのか。俺より年下っぽいのにしっかりしているように見える。
「他のみんなの様子は?」
「他の皆様は目を覚まされていませんが、どこにも異常はありませんでした。大丈夫です」
あいつらは無事だった。良かった、もし何かあれば俺のせいかもしれかいからだ。俺がこちらに引き込んだから……いや、何もなかったんだから今は安心して目が覚めるのを待とう。
「他の皆様が目覚めるまで、そのままお休みください」
「分かった。今はその言葉に甘えさせてもらう」
「では、ごゆっくり」
俺はそのまま休ませてもらうとしよう。
――待つことおおよそ2時間、コンコンと扉が鳴った。全員目が覚めたのか。部屋を調べながら待っていたが暇だった。見たことない物ばかりだったが、何に使うものか分からなければそれが何かさえ分からない。
「皆様の目が覚められました。王の間まで案内いたします」
さて、国王の顔を拝見でもしますか。
「「「「直仁(君)!」」」」
「おー、お前ら元気そうだな」
「直仁が一番最初に目覚めたそうだね。僕は最後だったよ」
「私は2番!」「俺は3番だったな」「私は4番目でした」
「おう、順番はいいから。今は前を向け」
俺らが感動の再開をしているうちに国王らしき人が既に王座にいた。
「そなたらが勇者か」
「そうですわ。お父様」
「そうか。して勇者たちの服装、みな同じ格好をしておるがもしやそちらの世界の騎士だったのか?」
なるほど、同じ服装ならそう勘違いされてもおかしくない。だが、それでは戦えると言ってるようなもの。ここは本当のことを伝えよう。
「いえ、私たちは学生の身です。」
「ほう。勇者たちは学生なのか」
「はい。そうでございます」
「……」
王の沈黙。王はおそらく何か考えているのだろう。しかしただそれだけのことなのだが、その姿からは溢れ出てくる王の風格というものがあった。
「お父様? どうかされましたか?」
「ん。いや……うむ、すまない」
(今更悩んでどうする。もう既に呼んでしまったのだ。帰す方法もわからん。申し訳ないがやってもらうしかない)
「? そういえばお父様、まだ自己紹介を行っておりませんわ」
「む? 確かにそうだな。私の名はガルア=リベイル。このリベイル王国の国王だ」
「私はリベイル王国、第一王女アリシア=プリン=リベイルと申します。勇者様は私がお呼びしました」
この王女が呼んだのか。ということはとてつもない能力の持ち主かもしれない。召喚魔法かなにかなんだろうか。
それよりもプリンか……美味しそうな名前だな。
「次はこちらの番ですね、では自分から。私の名前は菅田直仁です」
「ふむ。ナオヒトか。次」
「僕の名前は岡崎 勇真です。直仁は幼馴染の一人で――」
「ユウマ。次」
「わ、私の名前は五十嵐 穂乃香といいます。直仁君とは昔から――」
「ホノカ。次」
「俺……じゃなかった僕の名前は飯田 勝也です。みんなとはそれなりに――」
「マサヤだな。次」
「私の名前は十六夜 澪です。この中では一番――」
「レイ。これで最後だな。では自己紹介を終えたのだ、そろそろ本題に入ろう」
いよいよ本題だ。世界を救うことは分かってるが、その方法は明かされていなかった。魔王討伐か、天下統一か、もしくはそれ以外か。危険なのは百も承知だ。
「勇者たちにはこの世界を救ってほしい。これが勇者を呼び出した理由だ。今、世界は魔界側の魔族から攻撃を受けている。こちらからも様々な国が反撃に出ているがまったく歯が立たない。このままでは魔神の攻撃を受けて世界が滅びてしまうのだ」
魔王どころか、その上の魔神が相手とは思わなかった。
でもその言い方だとそうなることを知っているような……。
「これは宮廷占術師が予知した未来であり、そいつの予知が外れたことはない」
なるほど、そういうことか。それなら知っていていもおかしくない。
「魔界側の魔族を凌ぎ、魔神を倒すには勇者の力が必要なのだ! だがそれは私達が決めることではない。そなたたちで話し合って――」
「分かりました。私たちがやりましょう」
「なに! 本当か!」
「はい。薄々気づいていました。私たちはそのために選ばれたのにそれを断るのは恥です」
「分かった。ではアリシア、全員にステータスを。」
「はい、お父様。では勇者様、【ステータス】と念じてみてください」
ステータスって念じたら出るものなのか……? まぁいい、それにあいつからのハンデもある。皆と比べるとどうなっているのか少し気になっていたから丁度いい。
「えーっと……こうかな? 【ステータス】! えっ!?」
穂乃香が何やら驚いている。それほど凄かったのだろう。
「【ステータス】……なるほどこれはすごい」
「【ステータス】へえ! 良いじゃねぇか俺」
「皆早いよ! 【ステータス】うわ、なにこれ」
他の奴も次々と自分のステータスを見て驚いている。
「そんなに凄かったのか?」
「「「「凄いってものじゃない(よ)(わよ)!」」」」
「そ、そうか……じゃあ俺も見てみるか。【ステータス】」
◇――――――――――――――――◇
名前:スガタ ナオヒト 年齢:17 性別:男 種族:人間
Lv:1 Next:0/100
HP:1000/1000
MP:200/200
STR:10
DEF:10
INT:10
MND:10
AGI:10
DEX:10
CRI:10
LUK:75
所持スキル
・神眼(SSS) Lv:1 Next:0/10000
・言語理解(E) Lv:1 Next:90/100
・言語使用(E) Lv:1 Next:70/100
◇――――――――――――――――◇
うん。絶対こいつらより全体的に低い。それどころかこの世界でも底辺ぐらいの能力じゃないか!? あいつどんなハンデを俺にやったんだよ……さすがに凹むわ……。あいつらは見せ合って、自慢しあっている。
と、こちらに気付いた澪が詰め寄ってくる。
「ねぇ! 直仁のステータスどんな感じなの?」
「ちょっ! やめろ澪!」
「僕にも見せてほしいな」
「勇真まで! クソッやめろ!」
「こいつは俺が抑えとくから好きなだけ見ろ!」
「サンキュー♪ 勝也。えーっと……えっ?」
「どうしたんだ、澪? ……ふむ……これはひどいね」
「二人ともどうした……おいこれは何の冗談だ?」
「たぶんそれがあいつが言ってたハンデなんだろう……正直辛いわ。ところでお前らは何レベなんだ?」
「「「「……」」」」
全員が黙る。あぁ……言わなくても分かる、俺よりはるか上ってことぐらい……はぁ。
「どうしても知りたいかい?」
「あぁ。これは仕方ないことだからな。それぐらい受け入れる」
「分かったよ……僕たち4人のレベルは全員同じで」
「レベル30だよ」
新キャラ、リベイル王国の王様と王女様が出てきました!
王女様のプリンというミドルネームは食べ物ではなく、下位天使のプリンシパリティから取ってプリンとなりました。国王にはなくて王女にはあるミドルネームですが2、3話後にそれの解説を入れる予定です。
それよりも他のみんなはレベル30なのに主人公は1ってやりすぎたか? まぁハンデだし別にいいよね!(焦
次回は4人のステータス公開です! スキル考えないとなぁ……。
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