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ようこそ【新世界】へ!  作者: 神ノ狼/真神(シンノロウ/マカミ)
第2章
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第十三節 「ミレリアの矢」

 耳を(つんざ)くような轟音が辺りに響き渡る。

 アステラが使った魔術、いや禁術? はあの的の中心を正確に狙っていた。それはよくある竜のブレスのようで違う、ビームのようなレーザーのような細いものだった。例えるならシン・ゴ○ラの放射、もしくはメガフ○アだろうか。……さらっと詠唱してたけど、たぶん禁書に書かれてたんだろうな。

 ていうか詠唱とか教えてもらってないんですが? ねぇ、アステラ先生。魔術を教えてくれた時になんで教えてくれなかったんですかね? それぐらいは自分で学べと? いや、ちょっとさすがに厳しいっすねぇ。

 ……変なことを考えるのはもうやめとこう。そんなことよりもだ。さっきの禁術(?)で的は、元の形がわからないほどに変形している。それもそのはず、的は赤のような白のような色に変わり、ぽたぽたと何かが垂れている。恐らく今もなお溶け続けているんだろう。つまり、あのかなりの熱量ってことだ。さすがは禁術といったところか。


「……」


 試験官の“仮面”ことラーナさんは的を見て止まっている。

 溶解が止まるのを待っているのか、驚愕しているのか、はたまた採点中なのかは仮面のせいでわからないが、ただ止まっているわけではなさそう。


「こほん」


 アステラが咳払いをした。終わりましたっていう意思表示だろう。それに伴ってラーナさんは慌てたようにアステラに向き直す。

 ……これは驚いてたんだな。


「え、ええと、問題なく合格です」


 ですよねー。と声に出すのは控えるが、まぁそうだよなっていう結果。破壊というか溶解ではあるんだが、これで不合格判定だったら泣く。俺だったら絶対泣く自信がある。


「わかりました。ありがとうございました。あぁ、そろそろ冷やしておきますね。『降り注げ、レイン』、『凍れ、アイス』」


 礼儀正しく礼をしたアステラは、さらっと水と氷属性の魔術を使った。それによってか、雨が凍って氷の粒が降っていた。さながら魔術の合成だな。こういうのがあるから魔術は楽しい。ちょっとだけ、異世界に来て良かったと思う。


「あ、ありがとうございます。『リクリエイト、【キューブ】』」


 と、ラーナが唱えるとさっきまで見るも無残な状態の的が、元に戻った。

 最初のクリエイトは生成、今のリクリエイトは再生成という意味だろう。単純ではあるがそういう詠唱節も、簡略化されていて悪くない。と、偉そうなことを考えてたがこの世界に英語はあるんだな。もしかしたら、【言語理解】でそう翻訳されてるだけかもしれないが。


「次の方、こちらへ」


 ミレリアの番が来た。さて、どうするのか。





「次の方、こちらへ」


 とうとう私の番が来た。さっきまで、どうにか気持ちは落ち着けていた。あの魔術を見るまではだ。

 アステラさんが魔術を使えるのは知らなかったが、恐らく何か手段はあるのだろうと思っていた。その手段の中に魔術も、もちろんあった。しかし、彼女が使った魔術はどう見ても規格外過ぎた。火属性の魔術で焦がすか、わずかに溶かす程度なら私でも、そこらへんの人間でもできるだろう。だが、彼女がやったのは焦がすどころか大きく変形させ、さらに一部がドロドロになっていた。そんな魔術は今まで見たことがない。たぶん私たちエルフでも無理だ。

 でも、あの魔術を見ても微動だにせず、澄ました顔でずっと見ていたあの男とクーちゃんは一切驚いていなかった。きっと知っていたんだろう。そうに違いない。


「ミレリアさん、ですね」


 いつのまにか私はアステラさんがいた場所まで移動していた。呼ばれた時に自然と体が動いていたんだろう。


「内容は先ほど言った通りです。準備はいいですか?」

「大丈夫……です」


 はっきり言って大丈夫じゃない。大丈夫なはずがない。でも、試験をやめられない以上、やるしかない。

 私は目を閉じて弓を構えた。それと同時にスキルを使う。


「わかりました。では、始めてください」


 そう言われ、私は目を開いたと同時に的を見据える。硬さはわからない。でも、これなら!


「いけッ!」


 矢を放つ。その矢はまっすぐ的へ一直線に向かう。そして――





「内容は先ほど言った通りです。準備はいいですか?」

「大丈夫……です」


 ミレリアがあの台に立った。


「すごく緊張してる……。大丈夫かな?」

「仕方ないだろ。アステラの禁術を見たんだ。プレッシャーであれぐらいになるのは仕方ない。まぁ、それでも半分放心状態なのは、やばいけどな?」


 外から見てる俺達にもミレリアの緊張が伝わってくる。あんな途轍もないものを見た後だと俺でも緊張する。

 しかし、彼女は諦めていない様子。その時、彼女の持つ矢から何かが出た……ような気がした。一瞬、何かが光ったように見えたのだが、見間違いだったかもしれない。


「わかりました。では、始めてください」


 その言葉と同時にミレリアは弓を構えて的を見据えていた。弓術のことは全くわからないが、たぶんいい感じの構えだろう。


「いけッ!」


 そして、矢を放った。その矢はまっすぐ的へ向かって――


 ドン


 ――という音がなる。そして肝心の的にはしっかりと矢が刺さっていた。

 ただ、その矢が刺さったところには、明らかに不釣り合いなクレーターがあった。


 新作の案がまとまりました! そのタイトルが「幻想世界をスライムと共に」です!

 これを投稿している時には、新作も投稿していると思います。内容は“異世界転移”から“異世界転生”に変わりますが、是非読んでみてください!

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