第十節 「クーVSアイザック」
※今回は少々、不快になる可能性がある場面がございます。ご注意ください※
アップを始めてから約1時間。俺の実験も成功したし、そろそろ開始するか。
「クー、そろそろ始めてもいいか?」
「いいよ! 早くやりたい!」
やばい、クーの目が本気だ。
アイザックさんも実力者らしいけど……ご愁傷様です……。
「あー……クー? もし、もしもだけど、負けそうと思ったら獣化してもいいからな?」
「いいの?」
「おう。それを踏まえての実力だしな」
推薦書にどう書いてあったかは知らないけど、別に問題ないだろう。
あぁ……クーの目が燃えてる。火に油を注いじゃったか……?
「支部長さん、もうそろそろ始めましょう」
「フリードで構わない。それで、本当にいいのか? まだまだ時間は取れるが――」
「構いません。やりましょう」
「そうか。1人目はクーシアだったな。クーシアは前へ!」
クーが前に出てくる。アイザックさんの目も燃えてるなぁ……。
「それでは……始めッ!」
こうして1戦目が始まった。
「ハァッ! ヤッ! セイッ!」
「フンッ! その程度か。今度はこっちからいくぞッ!」
クーとアイザックさんの試合が始まって、およそ1分ぐらいだろうか。
2人の攻防が時間が進むにつれて激しくなっているように見える。いや、実際になってるのだろう。クーのスピードが徐々にだが、上がっている。だが、まだ本気を出してるわけじゃない。そんな気がした。
何故それが分かるのか。本当のところ、俺自身も分かっていない。それでも、クーが本気を出していないのが分かった。
まだ、数日だけど一緒に過ごした仲だからだろうか……。
「フッ、ハッ! セヤッ! 早いな……だがッ!」
アイザックさんスピードが一気に上がった!?
もしかして、アイザックさんも本気を出してなかったのか!
「うぅッ!」
クーの腕にヒット。受け流そうと思ったんだろうけど、流せなかったっぽいな。もうそろそろアレを使ってもいいんじゃないか?
*
「うぅッ!」
腕に当たっちゃった……。お兄ちゃんが見てくれてるのに……。
「その程度か! もっと本気を見せてみろ!」
なんか悔しい! そろそろ獣化して――
「あっ……」
ふと、お兄ちゃんを見ると、腕をポンポンしていた。
そうだ。私にはまだこれがあった! お兄ちゃんから貰った力が!
「そろそろ終わらせるッ!」
「まだ、終わらないよ!」
「何を言って……なッ!?」
*
「えっ……?」
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
アイザックって男がクーちゃんに向かって突撃した。あの速度なら、妨害が無い限り止まることは無い。いや、止められるはずがない。
でも私の目には、あの男がどこからか出てきた鎖によって動きを封じられている姿が映っていた。
「なんだ!? この鎖は!?」
そういうのも当たり前だ。クーちゃんがやったんだろうけど、どうやってやったのかが分からない。……あんなの見たこともない。
あの男は必死に振り解こうとしてる。レベル差はあるだろうし、普通の鎖ならもう既に抜け出してるはず、それなのに。
「これで決めるッ! ハァッ!」
「グッ……! ア゛ァ!?」
クーちゃんが一気に攻めて、男が壁に叩きつけられた。あの威力だとひとたまりも無い。
あの動きもそうだし、あの鎖だってそう。……なんなのあの子は……。
*
アイザックさんを簡単に吹き飛ばすとか、すげえなクー。
……でも、あの人は簡単にやられるような人には見えなかった。気を付けないと――
「気を抜くとは、余裕だ……なッ!」
「ア゛、ア゛ガッ!?」
あちゃー……ちょっと油断してたか……。今度は、クーにクリーンヒット。反対側の壁に叩きつけられた……。
だが、クーもこの程度でやられるわけがない。
「グゥルルルル……」
「クッ、それが本気というわけか……! 来い! お前の本気で!」
「グアアアアアアッ!」
まぁ、さすがに獣化するよな。
クーがアイザック目掛けて飛び掛かる。魔物相手なら余裕で当たるだろうけど――
「フンッ!」
「ガァッ!?」
嘘だろおい!? 剣を横に薙いだだけで吹き飛ばすとか、もう人間がすることじゃねぇ!!
……さすがのクーも諦めるんじゃ――
「スゥ……グアアアアアアアッ!」
おい!? 確かにそれは最終手段かもしれないけど……でも、それをやるとこの場所が……。
ドゴォォォォォォォォン……ガラガラガラ……ガシャ……
あちゃー……やっぱ崩壊するよなー。……これって弁償代いるかな?
「はいはい、そこまで!」
ここで、支部長が間に入る。まぁ会場がこんなことになったんだから当たり前だろうな。
ん? じゃあ俺を含めた残り3戦はどうすんだ? 続ける……わけないだろうし?
「第1試合はここで中止! アイザック、今までの戦闘で判断してくれ」
「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……。合格だ……。それに、あんたなら……聞かなくても分かってたんじゃないか?」
「別に? 試験の合否は試験官が決めることだから、僕が口出しするわけにはいかないでしょ」
「ぜぇ……ぜぇ……。こういうときだけ真面目になるんだな……。ったく、それより俺は続行不可だぞ。さっきの一撃で……少しだが負傷した。その子も、多少怪我をして――」
「うー……まだまだいけたのにー!」
「な!? 嘘……だろ……!? なんで無傷なんだ!」
まぁ、怪我なんてしてないよなー。
クーは、ああ見えてかなり頑丈だし、あの程度の一撃じゃ傷一つ付かない。
……まぁ元がフェンリルなんだし、頑丈じゃないはずがないんだけどさ?
「んー……少し待ってろ。別の試験管を――」
「えっ? この場所で続けるんですか? こんな有様なのに」
あ、思わず声が出てしまった。
「そうだ。これを直せる奴がうちのギルドにいるからな。そいつを試験官として連れてこれば、得だろ?」
「そんな人がいるんですか?」
「あぁ。ちなみに、そいつがこのギルドで一番強い。世界一ではないがな?」
「えっ……?」
マジか。一番強い……ってことはアイザックさんより強いんだよな。
ヤバい。すっげぇ興奮してきた!
「ほら、アイザック。肩を貸してやるから、医務室行くぞ。それじゃ、ちょっと待ってろ」
こういう話があと3つ続く予定です。
この度、体調不良が続いてしまい前回からかなり遅れてしまいました。次回以降は少しでもペースを戻すために、投稿間隔を短くする予定ですので、それまでお待ち頂けたら幸いです。
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