第九節 「登録試験」
「みんな、おはようなのじゃ!」
「……まさか、もう来てるとは思わなかったわ。おはよう」
「おはよう!」
「おはようございます」
「おはよう……ございます」
本国に着いた俺たちは、夜遅いこともあって、一度宿屋に泊った。
町の案内を翌日に頼んだからだ。
「それじゃ、さっそく案内を……と言いたいところなのじゃが……。すまんのう、仕事がたまっておって、すぐに戻らねばならんのじゃ。代わりに、地図を渡すから好きに見て回ると良い。それじゃあの」
そう言い残して飛び立つ“統治者”。やっぱり昨日に何かあったっぽいな。まぁ俺らは口出ししないけど。
さて、それじゃあ観光を……と言いたいところだけど、まずはギルドに行かないとな。……まぁ、寝る前になってやっと気づいたんだが。
「んじゃ、最初はギルドに行くぞ。冒険者登録……でいいのか? それを済ませないと。あっ、アステラと、ミレリアは登録してるのか?」
「前はしてました。でも、死亡者扱いになったと思うので再登録しないといけないかもしれません」
「わ、私はまだ……です」
ってことは全員で登録する必要があるかもってことか。俺とクーの推薦状はあるけど、2人の分は無いから少し時間かかりそうだな。
歩くこと数分。俺たちは目的地である、冒険者ギルドの前に着いた。
雰囲気は奴隷屋とは全く違って、酒場みたいに華やかだ。
「ここがギルド……だな。結構、人が出入りしてるんだな。とにかく入るか」
入ってみると、中は本当に酒場のような雰囲気だった。いや、小さい子供もいるから、どちらかと言えばレストランのほうが近いかもしれない。
それより、登録したいんだが……どこで聞けばいいんだ?
「どうかしたか?」
突然、後ろから声をかけられた。
剣に盾、鎧も付けてる。この人は冒険者か。先輩ってことだな。
「ん? どうしたの? ガルス」
「いや、迷ってるようだったから少し聞いてみただけだ」
「そうなの?」
この人たちは、親切そうだ。
「はい。ここに来るのは初めてなので、どこに行けばいいかわからなくて……」
決して間違ってはいない。
ギルドなんて、ゲームとかラノベでの空想上のものだった。MMORPGとかでもギルドはあったが、それはあくまでコミュニティーの一つのような感じだった。それが今、目の前に存在することに胸が熱くなっていた。
「何しに来たんだ? 見た目からして……登録だな?」
「はい、そうです」
「それじゃあ、あそこのカウンターで出来るよ! また新しい後輩が出来るんだね~。それに4人も! 私嬉しいよ!」
お、おう。この女の人、テンション高いな。まるで、澪みたいだ。
「ありがとうございます。では」
「おう、行って来い」
テンプレ展開にはならなかったか……。ちょっと期待したんだけど。
「あのー」
「どうかされましたか?」
「冒険者登録? ってここであってます?」
「はい、間違いございません。登録されますか?」
「はい。あっ、あと、この推薦状をフリードって人に渡してほしいんですが……」
「支部長に、ですね。わかりました。では、少々お待ちください。支部長ー! フリード支部長ー!」
……王様の友人って支部長だったのか。お偉いさんじゃんかよ。
「どうした。俺に何か用か?」
「実は支部長に推薦状を渡してほしいと……」
「推薦状? 誰からだ」
「いえ、中身はまだ……」
「そうか。なら拝見しよう。……ふむ……ふむ……ハハッ、なるほど。あいつからか」
友人だからって、王様をあいつ呼ばわりとかすげぇなこの人。
「それで? これに書かているナオヒトは君だろうけど、クーシアはどの子だ?」
「この子がクーシアです」
「そうか。一応、推薦状がある場合は試験を受けずに登録するんだが、今回は2人とも受けて貰う。個人的に興味があるからな。残りの2人も登録か?」
試験って何やるんだ? 筆記? 戦闘? まぁどちらでもいいか。
「はい、2人の分もお願いします」
「ということは全員だな。わかった、それじゃあ付いてこい」
支部長の後に付いていくと、大きな扉の前に着いた。
大きさは、おおよそ3メートル前後ぐらいだ。
「着いたぞ。ここで、君たちに試験を受けて貰う。試験官を呼んでくるから先に入っててくれ」
「わかりました」
入ってみると、中はさながらゲームに出てくるコロシアムや闘技場のような円形の場所だった。広さはおおよそ半径100メートルといったところ。
正直、予想以上に広くて驚いた。
「4人ともいるな? ほら、入ってこい」
そう言って入ってきたのは、1人の男だった。服装からして冒険者だろう。
他にもいるかと思ったら、どうやら試験官はたった1人らしい。
「紹介しよう。彼は今回の試験官を務める、アイザック=オルスタン、ランクはAだ。」
「紹介に与ったアイザックだ。悪いが、俺はそんなに甘くないからな。厳しくいくぞ」
「では、試験内容を説明する。これから君たちには、アイザックと1対1で模擬戦をしてもらう。使用武器はこちらで用意するから安心してほしい。時間制限は、長くならない限り設けない。あと、この試験は不合格は無いが、良い結果が出た場合は最初からランクが1つ上がった状態で登録されるから、努力するように。以上、質問は?」
「はい、魔術は使用してもいいんですか?」
「構わない。魔術を主に使うやつもいるからな。他には? ……無さそうだな。では、順番を決めてくれ」
魔術は使用してもいいんだろうけど……禁術は……。考えても仕方がないか。
「んじゃ、誰からいく? ……って聞いても1番にいくやつは――」
「はい! クーがやる!」
いたよ。クーって意外と好戦的……じゃなくて、ただやりたいだけそうだな。
まぁとりあえず、1番は決まったから次は2番だ――
「それでは、私は2番目で」
マジですか、アステラさん。いや、この人は一度、試験を受けてるってことだよな。見本を見るために先に行ってもらうか。
それじゃあそろそろ俺も――
「じゃ、じゃあ私は3番目に……やりたいです」
ん? えっ、もしかして俺って最後なの!?
別にいいけど、最後は最後でなんか嫌だな……
「ってことは俺が最後ね……。順番決まりました」
「そうか。では早速試験を……と言いたいところだが、今回は特別に、事前に体を好きに動かして良いぞ。君たちの本気を見たいからな」
おぉ、アップしていいんだ。
じゃあお言葉に甘えて。俺は最後だから時間かけてもいいよな? ……あの実験をやってみるか。
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