第八節 「本国へ向けて」
食後のセリフを修正。
「む? おー! もう戻ってきたのか。意外と早かったのう」
「あぁ、丁度今のメンツに欲しかったやつがいたから買ってきた」
そう言って後ろにいるエルフ、ミレリアのほうへ向く。
これで前衛2、後衛2のいい感じのパーティーになったんじゃないか?
「……てっきり見てくるだけかと思ったんじゃが……よく買えたの? しかもエルフとは」
「珍しいですね。エルフの奴隷とは驚きました」
確かに女の子しか見てなかったけど、エルフはこの子だけだったな。大半は人間だったけど、獣人もそれなりにいた。
ってことはかなり複雑な理由でこの子は奴隷になったのか……?
「それに……大きいのう……」
「はい、かなり大きいですね」
「?」
竜人の2人はある一点を見た。……うん、確かに大きいな。どこが、かは言わないが。
言われた本人は意味を理解してなくてよかった。うん、よかった。
「まぁそれはさておき、わしが思ってたより早く出てきたわけじゃが……2人を呼び戻すのか?」
「あぁ、そのつもりだけど。2人は今何してんだ?」
「2人ならそこの酒場じゃ。お腹がすいとったんじゃろ」
やっぱお金渡しといて良かった……。
てか、クー。朝ご飯を鱈腹食べたのに足りなかったのか……。
「まぁ、俺が見てくるからもう少しここで待っててくれ」
「うむ、承知したのじゃ」
さーて? どれだけ食べてるのか想像するだけで胃が痛いけど、見に行くとするか……ってなんでこの子も付いてくる? ……まぁいいや。紹介しないといけないしな。
そんなこんなで中に入ってみると――
「嬢ちゃん好きなだけ食べろよ!」
「いい食べっぷりだな! 俺のもやるよ!」
「うっへぇ、嬢ちゃんの胃袋はどうなってるんだ……?」
「俺のおごりだ! 好きなだけ食え!」
――なんか宴みたいになってんだけど!? 何があったの!?
それより、クーの姿は……あの食器の山の真ん中か! アステラも近くにいるな。
「おーい! クー! アステラ!」
「あっ! お兄ちゃん!」
「もう用事は済まされたのですか?」
「おう、俺の用事は終わった……って何が起こってこうなったんだよ」
「それは――」
どうやら、発端はやはりクーの周りにいる男連中らしい。
最初はただ酒を飲みながら軽く騒いでたらしいけど、クーが店に入ってきて好きなだけ注文したら注目されたそうだ。その後、その注文を全て軽々と食べてさらに注文したらこんなことになったらしい。
クー……食べすぎ注意だぞ?
「クー、そろそろ戻るぞ。まだ食べたりないなら待つけど」
「ちょっと待って! これ全部食べるから!」
今更だけど、クーの胃袋はブラックホールか何かなのか? これだけ食べてるのに一切、お腹膨らんでないんだが……
「おう、嬢ちゃん。もういいのかい?」
「うん! ありがと!」
「いいってことよ! さぁ、兄ちゃんと行きな」
そう言って、俺らは酒場から立ち去る。その後、店にいた男連中が夜まで噂を広げ続け、挙句の果てにその噂が世界中へ広がったのだが、それはまた別のお話。
「そういえば、ナオヒトさん。このエルフは誰ですか? さっきから付いてきてますが」
「あぁ、この子はミレリア。俺が買った奴隷だ」
「なるほど、それでは仲間ということですね。私はアステラと言います。以後、よろしくお願いします」
「クーだよ! よろしくね!」
「よ、よろしく……お願いします」
打ち解け……たわけじゃなさそうだな。まぁ当たり前か。
それよりも本国目指さないとな。
「うむ、集まったのう。じゃが、まだ食材を調達しておらんではないか」
「調達って……本国はそんなに遠いのか?」
「いや、今から向かうとなると夜遅くに到着するからのう。それなら、途中で一度、食事をとるべきではないかと思ったのじゃが?」
夜遅くになっちゃうのか……。それじゃ、俺がご飯を作るしかないか。
現在、午後5時。丁度、正午に町を出発して本国まで残り半分のところにいるらしい。
「どうぞ、召し上がれ」
そう言って作った料理をみんなの前に出す。
「何このお肉の塊?」
「そっちも気になりますが、この液体は一体……飲み物でしょうか……?」
「……ゴクッ……」
俺が作ったのはハンバーグ+αとミネストローネ。この世界には無い料理らしく、面白い反応だ。
覚悟を決めたように、口に運ぶ。さて、口に合うか。
「んー!? なにこれ! すごく美味しいよ!」
「確かに、凄く美味しいです」
「おい……しい……ッ!?」
味付けに関しては好みがまだ分からないから、自分を基準に調整した。正直、濃いかと思ったけど気に入って貰えたようだ。……どうした、何があったミレリア。
とりあえず、3人の口には合った。さて、竜人の口には――
「なんじゃこれは! 初めて食べたのじゃ!」
「本当に美味しいですね。しかし、こんな料理を見たことありません。名前は何というんですか?」
――合ったようだ。統治者はともかく、秘書のほうは料理が気になって仕方ないらしい。
「こっちの肉のほうがハンバーグ。んで、この赤いスープはミネストローネ」
「ハンバーグに……ミネストローネ……ですか、わかりました。ありがとうございます。はむっ……」
やっぱり自分が作ったの料理を美味しそうに食べて貰えると嬉しいもんだな。
……竜人の2人はともかく、クーとアステラ、ミレリアには、また近いうちに作ってやるか。
「美味しかった!」
「えぇ、本当に美味しかったです」
「美味しかった……です」
「はい、お粗末さまでした。食器は後で洗うからそこに置いといてくれ」
「うん! わかった!」
「わかりました」
「わかっ……りました」
まぁ、本国に着いてから洗うか。洗剤があるかどうか分からないけど、なんとかなるだろうし。
本国へ向けて、“自動運搬車”なる乗り物に乗って移動してる途中。
さっき、夕ご飯の匂いを嗅ぎつけたのか何体かの魔物と交戦した。だが、それ以来一切魔物と遭遇していない。……俺のラックのせいなのか?
「…………様、どう……本国に……。はい、……煙が……。先に……救援に……。……ありがとう……私は……」
あの二人、何の話してんだ? ちょっとしか聞こえないけど……何かあったのか?
でも、俺らが踏み込んでいい話でもなさそうだな。今は傍観してよう。
「もうしばらくしたら本国に着きますが、用を思い出したので私は先に戻ります。では、また」
そう言って外へ飛び出す。 何か急いでるようだけど……。
「……何かあったのか?」
「む? あぁ、心配しなくても大丈夫じゃ。本当にただの用事じゃからのう。到着するまで景色でも見て、ゆっくり待つのじゃ」
外はもう暗いし、明かりもないから何も見えないけどね!
……そんなこともあって、数十分後。“自動運搬車”がゆっくりとスピードを落としていた。 どうやら到着したらしい。
「着いたようじゃのう。では、コホン。ようこそ! ここがわしが治めているシルヴァ法国の本国じゃ!」
まだ、城壁の外だから中が分からないけど、中から漂う雰囲気がまったく違う。
なんかただ事じゃ無いっぽいけど、明日は恒例の観光といきますか!
疾風迅雷:ミレリアが持つ希少なスキル。風と雷属性の魔術の威力が増大。さらに、自身の速度が上昇する。
*
キャラが石化して、まったく話が進まずかなり間が空いてしまいました……。
次回は第1章でもやった第2章のキャラ紹介を挟みますが、さらにその次の第九節は、またそれなりの時間をいただくかもしれません。ですので、それまでお待ちいただけたら幸いです。
あと、前回に疾風迅雷の説明を忘れていたのでここで書かせていただきました。しばらくしたら第七節に反映します。
現在、新たな3つのお題で名前を募集しております。詳細は下のURLにて。
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