第五節 「竜の統治者現る」
シルヴァ法国、本国の神殿にて。仕事を終えた“統治者”がぐったりとしていた。
「やっと仕事が終わったのじゃ……」
「……あなたは全部の3割しかやってないでしょうが」
「よく働いてくれる従者で助かるのう!」
サボり癖がある“統治者”に対して仕事熱心なもう一人の竜人。この竜人は統治者の秘書兼従者だ。
「こっちは働いてくれない主人でとても困ってます! しっかりと働いてください。過労死してしまいます」
「竜人はそんなことでは死なないのじゃ♪」
「まったく、屁理屈ばかり言わないでください! もうちょっとだけ真剣に――」
「ん? なんじゃこの気配は? ……面白そうな気配じゃのう♪」
この国の領地とは、言ってしまえば“統治者”の縄張りなのだ。自分の領地にいる人物ならほぼ全員の場所を把握している。それ故に、外から侵入してきた存在の場所と気配さえ分かってしまう。
「……どうせ行くんですよね? お供します」
「理解が早くて助かる♪ ではさっそく行くとするかの。」
統治者とその従者は飛び立つ。自分の縄張りに入ってきた異質な存在へ向かって。
*
「アステラ、今どこらへんか分かるか?」
朝の5時頃にシュタットから再び移動を開始した俺達。時間を確認すると現在、朝の8時頃。俺達はゆっくりと歩いて移動していた。
……ちなみに時間は腕時計で確認した。どうやら異世界の物だとしても普通に動くらしい。持ってて良かったと改めて実感する。
「えーっと……。恐らくですが、国境付近だと思います」
およそ3時間で国境付近か。いい感じに進めてるな。
「ってことは次の町まで残り3分の2くらいだな。このペースで進むぞ」
「はーい!」
「わかりました」
やっぱ旅は仲間がいると楽しいな。こういう会話ができるってのがより良い。
「ナオヒトさん、どうやらこの先で商人が盗賊に襲われているようです」
「うわ、マジか。急ぐぞ」
やっぱこういうイベントって起こるんだな……。
襲われてる場所に向かってみると――
「ヒャッハー! さっさと荷物全部降ろしてどっかいっちまえ!」
「そうだそうだ。お頭の気が変わる前にとっとと去ることをお勧めするぜぇ?」
『ギャハハハハハハハハ!』
商人らしき男が盗賊に襲われていた。……てか、どこの世紀末だよ。
「こ、この荷物は絶対に渡さんぞ!」
「ヘヘヘ、そうかい。なら……ここで死ねぇ!」
盗賊の一人が剣を振り下ろす。
しかし、その剣が下まで振り下ろさることはなかった。
「なッ!? なんだこの鎖……アギャッ!?」
「か、体がうごかねぇ! どうなって……ギャアアアア!?」
「それ以上動くなよ。動いたらコイツに噛み付かれるぞ?」
「ガルルルルル……」
剣が振り下ろされる前に鎖で体を拘束して覚えたての魔術で気絶させた。……近くにいたもう一人は火傷したかな?
さらに獣化したクーで脅すことも忘れない。
「ヒ、ヒィイイイイ!?」
「な、なんだてめぇらは!?」
「あ? あー……まぁ……通りすがりの旅人だ」
別に間違ってはいない。本当に通りすがりだ。
「ま、とりあえず全員拘束するから暴れるなよ?」
とりあえず手加減した魔術で気絶させてから動けないように拘束していった。近くで隠れていた奴も合わせると10人以上いた。
「助かったよ、もう少しで切られていた。私は食材を扱っていてね、お礼に好きなだけ持って行っていいよ」
「えっ、それじゃあ収入が減るじゃないですか。駄目ですよ、さすがにタダで頂くなんて――」
「別にいいさ。さぁ好きなだけ持って行け!」
すごく強引な人だな。まぁこれ以上断ると失礼かもしれない。
「分かりました。ではいくつか頂いていきます」
そう言って数種類の野菜を貰った。……異世界の野菜って元の世界と同じらしい。まぁネギが同じだったから薄々感付いてはいたけど。
その後、商人はシュタットの方へ向かった。あの町で売るものだったんだな。
「お見事です、ナオヒトさん。この人数を殺さずに拘束するとは」
「んー……でも、どうしようか。盗賊とか捕まえると何か貰えたりするのか?」
捕まえて引き渡すと大半のラノベなら、何かしらの報酬が貰える。もしかしたらと思って聞いていると――
「貰えますよ。この人数だと…………すいません。どうやらまた新しい反応が近づいてきています」
「盗賊の仲間か?」
「いえ、それが……空からなんです」
「……えっ? 空からって……一体何が――」
バサッバサッ と空から聞こえる音。
「うーむ。わしが感じたのはこやつらからじゃな」
「この方たちからですか。一体誰が?」
「それはそこの男じゃな。異質な気配を感じる」
背中に翼がある。片方は白くて、もう片方は黒い。魔族かと思ったけど尻尾が悪魔っぽくない。なら――
「これが竜人か……。あんたたちは誰なんだ?」
一応警戒はしておく。てか俺たちって竜族に何かしたか?
「ほうほう。わしらに対して物怖じせぬとは。わしはシルヴァ法国を統治してる者じゃ。名前は明かせぬがな?」
「では、私も。私はこの方の秘書兼従者をしております。同じく名前は控えさせていただきます」
まさかのお偉いさんかよ!
「……何の用だ。俺たちは竜族に何もしてないし、会ったこともない」
「む? おー、すまない。おぬしに会いに来たのはただの暇つぶしじゃからの」
「……えっ?」
あえてもう一度言おう。
「えっ?」
実は、最初に書いたときは直仁が人を切るのに躊躇しなさすぎでヤバかったです。
盗賊を片っ端から拘束からの斬撃で、お前本当に日本人かよ! ってなってました。
最近更新ペースが落ちてきてますね。話の内容を考えてから投稿するまでおおよそ3日なんですが、何か用事があったりすると投稿するのを忘れてしまうんですよね……。
以後気を付けます。 orz
第2章に出てくるエルフの女の子の名前を募集しています。※次回で締切予定
参考にしたいので感想、評価、と共にお待ちしております!
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