第四節 「アステラ先生の魔術講座」
リベイル王国領、俺にとって最初の町シュタットの宿屋。時間はおおよそ昼ごろだろう。
「えーっと? 魔力は血の流れと同じ……んで、手から放出する感じがいいかな?」
「アステラお姉ちゃん……もうちょっとわかりやすく……」
「もうちょっと、と言われても私にとってこれが分かりやすいと思ったんですが……?」
俺とクーは絶賛、魔術の勉強中だ。
時はさかのぼって、俺たちが朝食を食べた後。
「……ふむ……それで……これがこうですか……」
アステラは部屋で、ずっと禁書と睨み合いをしていた。クーはまだ食い足りないのか外の屋台を見て回っている。
「禁書をずっと見てるけど、どうしたんだ?」
「ん、あぁナオヒトさん。いえ、見たことない魔術がかなり増えていたので、一つずつ解読をしていました」
「解読? そういやアステラってさ、元々は何をしていたんだ? あぁ、嫌だったら別に言わなくてもいいぞ?」
「別に構いませんよ。以前、私は学者のようなことをしていました。といっても、誰も読めない本を解読するだけでしたけど」
なるほど、学者だったのか。
「それに一人旅が出来るほど私は強くないってことは戦えるってことだよな?」
「はい、といっても使える魔術を使って退ける程度ですよ。禁術も使いこなせていませんし」
でも、戦えるだけましだ。……そういえば――
「アステラはこの本を最初から読めたのか?」
「いえ、自力で解読しました。訳の分からない文字が多かったので一つ解読するのに1年以上掛かりました」
1年以上とかマジか。……ん? 解読できたってことはあれを持ってるんじゃ?
「それじゃあさ、禁書解読ってスキルを持ってないのか? それだと一瞬で――」
「……え? 今なんと?」
「え、だから禁書解読ってスキルを持ってないかって……」
「なんですかそのスキルは!?」
えっ、えっ? 何この反応、心臓が飛び跳ねたんだけど!? というかアステラさん、人変わってますよ!
とりあえず、信じて貰えてなさそうなので俺のステータスをアステラに見せてみた。すると――
「なっ!? 本当にあった……!? まさか、会得と使用以外もあるなんて……。ナオヒトさんはこれを使って初めから読んだのですか?」
「いや? 確か最初からこのスキルが無くても読めたけど?」
「……ナオヒトさん。あなたはいったい何者なんですか……?」
それは俺が一番聞きたいよ!
「……一応、人間だぞ?」
「……まぁ良いです。その話は一旦置いておきます。次はこちらから質問しますが、いいですか?」
「おう、いいぞ」
「では、単刀直入に聞きます。ナオヒトさんのスキルに私と同じ禁術使用を持っていますが、禁術以外の魔術は使えますか?」
……そういや使ったことないな。穂乃香と澪に教わっとけばよかったか?
「いや、使えないと思う。たぶん教われば出来ると思うんだが……」
「そうですか。では、私が教えましょう。すいませんが、クーさんも連れてきてください。魔術はコツさえつかめば誰でも使用できます」
おぉ! それはありがたい! さっそくクーを連れてくるか!
という、出来事があってからのこのグダグダ感。現在は、火属性の魔術を練習中。
アステラ先生曰く、人なら誰でも体内に魔力を秘めていて、その魔力は血のように体中を循環している。魔力量(MP)は人それぞれであり、レベルに関係なく上限を上げることが可能。魔術は体内になる魔力を自分のイメージで放出することにより使用することが出来る。ただし、少しでも操作を誤ると暴走し、コントロールが格段に難しくなる。
とのことらしい。魔力が血液のように回ってるっていうのは、まだ理解できる。だがうまく手から魔力が出てくれない。クーは魔力が体中にあるという説明だけで困惑中だ。
「もうちょっとやり方替えてみるか? んー……魔力=血液って例えるならいっそ、出血をイメージすれば……」
出血をイメージと言っても指を切って血が出た程度である。すると小さいが手にしっかりと火の玉が出てきた。イメージとしては間違ってなかったらしい。
「お兄ちゃんすごい! 私も頑張らないと……!」
「まだまだ小さいですが、イメージは出来るようになったようですね。まさか短時間でできるとは驚きました」
アステラ先生からお墨付きを貰った。これで、どうやらクーもやる気が出てきたらしい。
こうしているうちに数時間後、外が暗くなった頃。
「やったー! 出来たよお兄ちゃん!」
クーの手には、これまた小さい火の玉。どうやらやり方を俺と同じにしたらしい。
「おぉ! やったな、クー!」
「おめでとうございます。ナオヒトさんも凄いですが、1日経たずに使えるようになったクーさんも凄いです」
これで俺とクーは禁術以外の魔術を使うことが出来た。ちなみに、俺はあの後何度も繰り返して顔と同じくらいの大きさまで出来るようになった。
「疲れたなぁ。外も暗いし、夕飯食べに行くか! 昼も食べてないし」
「私もおなか減った―! はやくいこ!」
「そうですね。私もおなかが減りました」
了承もとれたし、さっさと食べに行くか。
「明日は少し早めに町を出るから食べ終わったら早めに寝ろよ?」
「はーい!」
「わかりました」
こうして、俺の旅2日目が終えた。明日からはシルヴァ法国領に入れるかな?
感想で気づきましたが、アステラが禁書を読める理由、というより読めた理由を書いてなかったので、ここで書かせていただきました。
ご指摘してくださった方、ありがとうございました。
第2章に出てくるエルフの女の子の名前をまだまだ募集しています。※次回で締切予定
参考にしたいので感想、評価、と共にお待ちしております!
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