第三節半 「一方その頃 ①」
今回も短めかな?
アステラが目覚めたころ、“森の迷宮”内にて。勇真、穂乃香、澪、勝也、アリシアの5人と、十数名の騎士がいた。
「はえ~。迷宮ってやっぱこんな感じなんだね。雰囲気がゲームと一緒だ」
「澪ちゃん、楽しんでるでしょ。駄目だよ? いつ魔物が出てくるかわからないんだから」
「ごめんごめん。今は集中しなきゃだよね。直仁の分も頑張らないと!」
現在、“森の迷宮”第6階層のド真ん中。これまでスライム、ゴブリン、ジャイアントモス、ウルフ、キラーラビット等、多くの魔物と遭遇したが、そのレベルのせいか容易く突破してきた。だが、戦い慣れてない5人は疲れが見え隠れしていた。今は、その疲れを癒すために休憩中だ。
「そういや勇真。ちゃんと力の配分、出来てる? シリウスさんに言われてたでしょ?」
「うーん、まだ難しいな。たぶん僕が力を入れ過ぎてるんだと思うけど……」
勇真は以前にシリウスから言われたことを実践しようとしていたが、なかなか上手くいかない。
「魔物が怖いんだろ? だから力が入るんだ。俺だって肩に力が入りすぎてちょっと痛いぐらいだしな」
「魔物が……か。勝也の言う通りだ。僕は魔物が怖い」
「そんなのみんなそうだよ? 私だっていつ死ぬか不安だもん。穂乃香だって後ろにいるけど、後ろからいつ攻撃されるか不安でしょ?」
「うん。攻撃されたら回復出来るけど、それでも痛いことに変わりはないから」
全員が魔物への恐怖心を持っていた。前にフェンリルと戦ったときには無かった。いや、あのとき穂乃香が狙われたときまで無かったのだ。
「みなさんは戦場にいたんですよね……」
「あー……。そういやアリシアはあのとき直仁に止められてたもんね……」
「直仁君が、あの鎖で引き止めたんだよね?」
「はい……」
アリシアはあの轟音を聞いたとき、今すぐにでも駆けつけたかった。しかし、直仁に止められたのだ。
「……ねぇ、アリシア。早く直仁と仲直りしなよ? あー見えて直仁ってかなり繊細だから」
「だ、大丈夫ですよ! 馬車に乗ってるときに仲直りしました。愛称も貰いましたからね!」
「愛称……。アリシアちゃん羨ましいなぁ……」
「なに言ってるの穂乃香……。ニックネームでしょ? どんなの?」
「アプリという愛称を頂きました!」
その一言を聞いて、2人は絶句した。
「あ、アプリ……ね? たぶん頭文字をとったんだと思うけど……」
「う、うん。……クーちゃんのときは良いと思ったけど、今回はさすがに直仁君でも……」
「? どうされました?」
「い、いや、うん……。アプリ……いいんじゃない?」
「わ、私もいいと思うよ!」
「そうですよね! いいと思いますよね!」
「「(そんな良い笑顔されたら、センス無いとは言えない!)」」
アリシアの笑顔に押された澪と穂乃香。そんな和やかな雰囲気も終わりを告げる。
「よし、そろそろ休憩を終わろう。少しでも進んでおかないと直仁に怒られる」
「そうですね。騎士の皆様、そろそろ前進しましょう。陣形は先ほどまでと同じで、ユウマさんを先頭で」
『ハッ!』
こうして5人と騎士たちは再び最下層へ向けて前進する。魔神との戦争に終止符を打つために。
*
魔界にある1つの城にて。
「大魔王様!」
「どうした、デモニスよ」
慌てて駆け寄ってきたデモニスにただならぬ雰囲気を感じ取った。
「リベイル王国に送ったフェンリルの呪縛が解かれました!」
「……ほう? ということは負けたのか?」
「いえ、どうやら“鎖”が切られたようです。確認してみたところ、途中から鎖がありませんでした」
その言葉を聞いて眉をしかめる大魔王。
「どういうことだ? 何故、“鎖”が切れた。あの鎖は私でさえ切れないものだ。あれを切ることは“霊具”でさえも無理なんだぞ?」
「そうです。あと、もう一つ報告が」
「なんだ? まさかそのフェンリルが反旗を翻したなどと言うのではあるまいな?」
「……そのまさかでございます。フェンリルが勇者側に就きました」
思わず頭を抱える大魔王。
「……まさかとは思っていたが。そのフェンリルは今どこにいる」
「現在、勇者の一人とシルヴァ法国へ向かってると報告が」
「残りの4人はどこだ?」
「どうやら迷宮へ向かったようです。その中にはリベイルの王女と騎士もいると」
「そうか……」
報告を聞いて作戦を練り始める。迷宮はともかく、あのフェンリルを手懐けた奴は厄介な存在だ。早めに消しておかなければ……。
「……ではシルヴァ法国には“スレイヤーズ”を向かわせて、ついでに竜狩りもやれ。迷宮には……そうだな。サキュバスを向かわせろ。“エルダー”もだ。だが、向かわせるのはもう少し深く潜ってからだ。いいな?」
「お任せあれ」
城の中にある部屋に複数の魔族が集まっていた。
「あらぁ? “スレイヤーズ”が招集されるなんてぇ、ただ事じゃないわねぇ?」
その魔族の一人、妖艶なオーラを漂わせる女が言う。
「それを言われたら“エルダー”がここに来たときはさすがに驚いたぞ? なぁ? 弟たち」
「そうだな! 兄者!」
「確かに、私もそう思いましたよ兄さん」
“スレイヤーズ”と呼ばれた3人がそれぞれ言い放つ。3人は兄弟なのだ。
そんな中、部屋に入ってくる者がいた。
「集まったな。これから言うことを心して聞け」
「こっちは準備できてるぜ? デモニスさんよぉ」
「私たちもぉ、準備できてるわよぉ?」
「よろしい。では大魔王様からの命を伝える。お前たちには――」
こうして再び勇者たちに新たな脅威が忍び寄ろうとしていることを勇者たちは知らない。
“森の迷宮”:リベイル王国領とシルヴァ法国領の国境にある迷宮。周りが森だらけという理由で付けられた。最下層までの階層数不明。現在、20階層まで存在を確認。
“霊具”:以前に勇者自らが作り上げた武具。勇者と心を通わせた精霊が宿っている。本物の霊剣もその一つ。総数は不明だが、どこかに封印されているという言い伝えがある。
*
3連休ではしゃぎ過ぎて投稿するの忘れてました! お待たせして本当にすいません orz
一方その頃がほのぼの回になってしまったのは大きな誤算でした。悪い意味で。
実は戦闘回を入れようと思ったら休憩だっていうね。意味わかんないね。
まぁ、そんなことは置いといて。一方その頃 ①でした! これは続けて投稿せず何節か書いてから間に挟む程度ぐらいにやります。次回こそ戦闘回を!
第2章に出てくるエルフの女の子の名前をまだまだ募集しています。
参考にしたいので感想、評価、と共にお待ちしております!
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