最終節 「それぞれの旅立ち」
あれから3日後、城壁前にて。
「ナオヒトよ、そなたのために旅に困らない程度の金貨を用意した。もちろん、これだけでは世界一周は難しいだろうから道中の町でギルドに立ち寄るがいい。……そうだな、最初にどこを目指すのか教えて貰えぬか?」
どこに行くかは3日の間に決めてある。ここから一番近いシルヴァ法国だ。
「最初はシルヴァ法国へ向かうつもりです。一番近いので」
「そうか、なら丁度いい。この推薦状をシルヴァ法国にあるギルドに持っていけ。クーシアの分もある。そこには私の友人がおるのでな。名前はフリードという名だ。受付嬢に伝えればいい」
「フリードですね。分かりました」
ペンとメモ帳があれば、メモることが出来たのだが。まぁ覚えるしかない。
「あぁ、あとこれとこの本も持っていけ。どの国にも入国の際に必要な手帳だ。本来はギルドで手に入れることが出来るのだが、まだ入っておらんからな。紛失した場合はギルドで支払えば再発行してもらえるが、大金が必要になるから気を付けろ。本に関してはこれもお前に一任する」
パスポート的なものね。無くさないようにしないとな。
「わざわざ、ありがとうございます」
「構わぬ。では次はユウマたちだ」
「全員、【鑑定眼】の習得と宝庫から装備は取ってきておるな?」
「「「「はい!」」」」
【鑑定眼】は【神の目】の劣化版だ。物の能力を見る、それしかできない。
そして、迷宮側の装備は宝庫から取ってきていた。ちなみに自分とクーの装備は別で渡されたお金で用意した。
「特にユウマ。前に渡した“霊剣”はしっかり持っているな?」
「もちろんです。しっかりと腰に差してあります」
霊剣とは言ってしまえば聖剣みたいなものらしい。……しかしその霊剣には1つだけ問題があった。
この剣、実は――
◇――――――――――――――――◇
名前:偽霊剣 エクス
能力
・偽りの輝き
・レプリカ
◇――――――――――――――――◇
――偽物なんだよなぁ。しかし、みんなが見ると霊剣となってるらしい。やっぱ神の目って便利。
「うむ、あとアリシア。お前にも杖を渡したが、慣れたか?」
「はいお父様。まだ完全には使いこなせていませんが、実戦で使いこなせるようにいたします」
こっちはちゃんとした杖だった。
◇――――――――――――――――◇
名前:ケルケイオン
能力
・光闇融合
◇――――――――――――――――◇
どうやらこの杖だけで光と闇属性の魔術が使えるらしい。……強くね?
「よし、確認は終えたか。ではみなの健闘を祈る!」
そして俺たちはリベイル王国から旅立った。
はずだが、実は道中同じルートなので途中まで俺たちも馬車に乗せて貰っていた。アリシアと同じ馬車とは予想外だったが。ちなみにクーは隣でぐっすり眠っている。
「……」
沈黙がすごく重い。顔もあれから一度も見れてない。もしかしたら仲を修復するのは永遠に無理かもしれないなぁ。そう思っていたら――
「ナオヒト」
唐突に呼ばれた。ちょっとビックリしたのは秘密。
「な、なんだ?」
何の用か聞いてみると
「……本当に旅をするのですか?」
「えっ?」
予想してなかった質問に思わず顔を見てしまった。
彼女は不安そうな顔をしていた。
「いえ……もしや私を気遣って、離れようとしているのではないかと……」
えっ、今までそう思われてたの!?
「いや、そういうわけじゃないから。普通に俺が旅をしてみたいと思って――」
「一緒に迷宮に行けたなら、そこでなんとかして仲直りしようと思っていました。でも、ナオヒトが旅をすると聞いて……。私、心配で……怖くて……」
思わず涙を流すアリシア。まさか、ずっとそう思っていたのか?
「心配って……何が心配なんだ? 俺が死ぬかもってことか?」
「い、いえ! そういう意味じゃなくて……その……」
「俺はむしろそっちのほうが心配だぞ?」
「わ、私は大丈夫……です。実戦経験は少ないですし、怖いですけど。別に私は――」
「んー……じゃあ、アリシアが危機に陥ったら必ず助けに行く。それでどうだ?」
仲間は見捨てず必ず助ける。俺のモットーだ。
「ど、どうやって――!」
「あー……とりあえず直感?」
そこは考えてなかった。でも俺の直感って9割5分当たるし?
「……わかりました、あなたの直感を信じます。もうそろそろお別れですね」
ちょっとは疑えよ! ……まぁいいや、そろそろ到着か。
「最後に……私に愛称を付けて貰えませんか?」
どうしてそうなった!? 本当になんで!? 一応考えるけどさ?
「えーっと……まぁどうしてそうなったのかは置いといて。そうだなぁ……アプリ姫、アプリってのはどうだ?」
ただ名前の頭文字を取っただけ。これはネーミングセンス皆無だな。
「アプリ……アプリ……ありがとうございます。大切にしますね♪」
まさかの気に入ったそうです。まぁそれならいいんだけど。そうしていると馬車が止まった。
「姫様、分かれ道に着きました」
付いたのか。クーを起こさないと……ってすでに起きて外に出てた。
「そうですか……ナオヒト。ご無事をお祈りしています」
こういうの言われるってなんかいいな。
「あぁ。さっき言ったこと、信じ続けてくれるなら絶対に助けに行くから」
「私は……あなたを信じます!」
アリシアもこんな風に笑うんだな。いい笑顔だ。
「じゃあ俺たちは行きます。またいつか会えることを」
「はい! それではまた!」
こうして、俺とクーの旅が、アリシア達の迷宮攻略が始まった。
*
「チュートリアルクリアおめでとう、みんな♪」
そこは机、椅子、壁等、なにもかもが白い空間だった。そこに1人の人物がいた。
「こんな想定外の結末を迎えるなんてね。正直、驚いたよ」
その人物の中では、直仁たちがフェンリルを討伐し、全員で迷宮へ向かうはずだった。
「まさか、禁術を覚えて、フェンリルの呪縛を解き放ち、挙句の果てにはその子と旅立つなんて。さすがナオヒト君だ」
すると、どこからかまた1人の人物が現れた。
「どうした? ≪選定者≫よ。また、面白い奴を選んだのか?」
「面白いどころか、その次元を超えてるよ! ≪審判者≫も見てみたら?」
「ほう、そんなにか。では我も見てみるとしよう」
「そうするといいよ♪ 彼らの物語はまだ始まったばかりだしね?」
そして2人は映像をみる。
「期待しているよ? いずれキミたちがこの世界を救ってくれることを……」
その言葉を残して。
偽りの輝き:偽霊剣のみが持つ特殊能力。持ち主を選ばず、持った瞬間輝く。強化能力ではない。
レプリカ:偽霊剣のみが持つ特殊能力。身体能力を僅かに上昇させる。
光闇融合:ケルケイオンのみが持つ特殊能力。光と闇属性の魔術を使用することが出来る。同時詠唱、合成魔術も出来る。
*
今後は上のように新スキル、能力が出たらその解説を書きます。
第2章に出てくる奴隷の女の子の名前を募集しています!
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