第十章 「これから」
俺とクーが王の間についた頃には、すでに穂乃香と澪、アリシアの3人が来ていた。男連中の不甲斐なさに呆れる……。
「そ、そうなの!? アリシアちゃんも……」
「あなたも毒牙に……」
「もしかして、穂乃香と澪は……」
ちょいちょい聞こえる話し声。詳しい内容は聞き取れないが、絶賛ガールズトーク中らしい。話を途切れさせるのは気が引けるが、仕方がない。
「おはよう、みんなやっぱ早いな」
「な、直仁君!? お、おはよう。……今の話聞いてた?」
「いや、ほとんど聞こえてなかったが?」
「よ、よかったぁ」
何がよかったんだ? まぁ気にしないけど。
「こらこら、不審がられるでしょーが。とりあえず、おはよ!」
「そうですよ? 不審に思われてしまいます。……おはようございます」
澪はいつも通りの挨拶だな。アリシアは……まだ機嫌が悪いな。あまり話しかけないほうがいいか?
「ほら、クーも挨拶」
「お、おはようございます……」
挨拶はできるな。まだ壁があるが、いつかは普通に話せるようになれるかな。
「おはよう。クーちゃんっていうんだ? いい名前を付けて貰ったね」
「おはよー。ほんと可愛い名前だね!」
「おはようございます。これからもよろしくお願いしますね?」
こいつらにならきっと、心を開くことが出来るかな。
「そういや、男連中はまだ来てないのか?」
「勇真と勝也はまだ来てないよ。ったく、二人も直仁を見習ったらいいのに……」
それには同意する。あの二人は前から朝が弱い。本当に困ったものである。
「はぁ……、あいつらを起こしてくるわ。クーはここで待っててくれるか?」
いい機会だし、ちょっと親睦を深めて貰うか。
「うん、いいよ。早く戻ってきてね?」
「あぁ。なるべく早く戻ってくる」
とにかく、さっさと起こしてくるか。
「お、遅れてごめん」
「本当にすまん」
部屋に着いた瞬間、罵倒される2人。俺を見習えだの、俺とは大違いだの、ひどい言われようだな。
「おかえり、お兄ちゃん」
「おう、ただいま」
こっちに寄ってくるクー。……なんか良いことあったのか、いい笑顔だ。
「どうした? なんかあったのか?」
「お兄ちゃん、あのお姉ちゃんたちっていい人だね!」
おぉ、もう打ち解けたのか。
「だろ? 俺が信頼しているやつらだからな」
なにが、どうなって打ち解けたのかは分からないけど、とりあえず良かった。
「おぉ、みな集まってるようだな。どうだ? よく眠れたか?」
そうこうしているうちに国王が来た。
「はい、よく眠れました」
「そうか、それはよかった。では今から、これからについて話し合おう」
「お父様、まだシリウスが来てませんが」
「シリウスには指示を与え、既にこの城から離れている。」
ここから離れてるのか、それならしょうがないか
「わかりました。それで、私たちはこれから一体どうすれば?」
「うむ。そうだな……そなたたちには早速だが、アリシアと共に迷宮へ向かってもらう。と言ってもいきなり迷宮と言われてもまだわからぬだろう?」
おぉ、迷宮とかマジであるんだな。
「はい。まだ知りません。どんなものなのか教えて貰えませんか?」
「わかっておる。今から説明する。迷宮というのは――」
魔物が跋扈している場所だそうだ。言ってしまえば巣窟だ。そして迷宮は生きているというのだ。どうやら過去に迷宮で亡くなった騎士の遺体を回収しようとしたが、そこに遺体どころか遺品すら見つからなかったらしい。まぁゲームでよくあるやつだ。そして、俺たちをそこへ連れて行く理由は最下層にあって、どうやらその最下層に辿り着けばなんでも願いを叶えるという言い伝えがあるそうだ。しかし、そこへ行くには騎士では歯が立たない。だから俺たちを連れて行くとのことだ。だが―ー
「すいませんが、俺は行きません」
「なッ!? 何故だ! 禁術があれば迷宮の踏破が容易に――」
確かに容易になるだろう。でも――
「それでもです。俺は……そうですね。クーと一緒に世界を旅したいと思います。俺たちは世界に来て、本の情報を得た。しかし、本のみの情報です。今の情報ではありません。だから俺は世界を見て回りたいと思っています」
「クーも!? いいの?」
「いいんだよ。俺が一緒に行きたいんだ」
「お兄ちゃんと一緒……」
異世界旅行とかラノベとかでよくある内容だったし……やってみたいじゃん? それに――
「じょ、情報なら本のみで十分――」
「本とは、あくまで過去の情報です。だってそうでしょう? 過去に調べたこと、もしくは知ったことを書いただけ。それを更新してるわけでもない。俺たちはこの世界について知らなさすぎです」
「だ、だが――」
「王様」
「ど、どうしたホノカよ」
おう、こっちも聞きたいわ。どうした穂乃香?
「失礼かもしれませんが、直仁君を止めるのはもう無理だと思いますよ?」
「な、何故だ」
「だって、私たちはずっと一緒にいました。だから今どう思っているのかが、すぐにわかります。彼は、今すぐにでも旅に出たいと思っています。すいませんが、そういう人なんです」
おう、恥ずかしいな。でもなんか最後、オカンみたいだったな。
「……そうか。残念だが諦めるしかないか」
本当にすいません、と心の中で土下座。
「では……そうだな。旅には金は必要だろう? こちらである程度金を用意しよう」
「そんなことして頂くわけには……いえ、すいません。やはりご厚意に甘えさせて頂きます」
見栄を張ってしまったけど、厚意には甘えるべきだよな。
「ありがたい。いつ旅立つのか教えてくれぬか?」
「いつ旅立つかはまだ決めていません。そうですね、みんなが迷宮に向かう日と同じにしましょうか」
「そうか、分かった。では、話を戻すが勇者とアリシアよ。そなたたちは3日後に向かってもらう。装備などはこの城にある宝庫から選んでもらう。すまぬがユウマの武器は決まっておるから、他の者は好きに選んで構わない。アリシアにも後でリベイル王国に伝わる装備を渡してやろう。明日から出発までの段取りは――」
そうやって、話は進んでいった。といっても俺は後半あたりから話に混ざっていなかったが。
そして3日の時が過ぎて行った。
第2章に出てくる奴隷の女の子の名前を募集します! 種族はエルフで年齢が98歳(人間でいう12,3歳くらい)、武器が弓で風と雷の魔法が得意な子です。あと、大きい(予定)です。どこがとは言いませんが。
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