第六節 「初戦闘と初禁術 ②」
僕達はようやく城壁の外に出た。そこで見たのはとてつもない大きさの魔物と、それに立ち向かう数千もの騎士の姿があった。近くには巨大なクレーターもあった。
「来たか! 勇者達!」
「シリウスさん! 今どういう状況ですか?」
「この国の騎士全員でアレと交戦中だ。しかし効いてる気がしない」
確かに、何度も攻撃は当たってる。でも傷があるようには見えない。
「さっきもとんでもない攻撃のせいで何人もの仲間が犠牲に……」
中で聞いた音だ。あのクレーターの原因か……。
「今はなんとか善戦していると思うが、何が起こるかわからない。気を付けてくれ!」
「わかりました。僕たちも行こう!」
こうして僕たちの戦いが始まった。
「僕がタゲを取る! 澪と勝也はその間に攻撃、穂乃香は僕に回復を頼む!」
よくあるゲームでの戦略だ。直仁ならこうするような気がする。騎士の指揮はシリウスさんに任されているから口出しはしない。
「いくぞ! 【聖なる盾】!」
初めてステータスを見たときに調べたらどうやら標的を自分に向けるスキルらしい。これならやれる、そんな気がした。
「グアアアアアアアアアアッ!」
魔物の咆哮。血のような赤い眼が僕へ向く。
「来い! この国は僕たちが守る!」
「ガウッ」
言い切った瞬間、魔物が全速力で突撃してくる。至って単純な動き、だがそのスピードが速い。防ぎきれるか……いや、防ぐんだ!
「はぁぁぁッ!」
とてつもない威力のタックル。なんとか防ぎきったが、かなりジリ貧だ。
「大丈夫!? 援護するわ! 十六夜流納刀術二ノ型、刹那ッ!」
「俺も行く! くらえっ!」
澪と勝也の連撃。魔物には――
「グゥ!?」
どうやら効いたらしい。
「勇者達がやったぞ! 俺達も続け!」
シリウスさん率いる騎士たちも攻撃をする。さっきは効いてなかったが、こっちは効いたらしい。
「エリアヒール! 勇真君! これを繰り返せばもしかしたら!」
「あぁ! 続けていくぞ!」
「グゥゥ……ガゥアアアア!」
「くッ! 噛みつきはさすがにヤバイよな……」
防いでたらたぶん喰われてた……か? まぁそれはさておき
「勇真! あとは任せろ! せやッ!」
「こっちも任せて! 実戦は初めてだけど……炎の魔法と合わせて! 十六夜流納刀術三ノ型、大文字ッ!」
魔術を使えるということは聞こえていたけど、本当だったんだ。それにしても、かなりの熱気だ。体が焼けそうなくらい熱い。なるほど、これが魔術なんだ。魔法じゃなくて魔術、ってツッコむ余裕はないけどッ!
「エリアヒール! シリウスさん!」
「任された! 総員、突撃の構えッ! 突撃始めッ!」
『うおおおおおおおおおお!』
改めて凄いと思った。たった一人でこの人数を指揮するなんて、ただ練習しただけでできるわけがない。やはり実力が違う。
「グゥ……」
かなり弱ってきているのではないか。これなら勝てる! そんな予感がした。だから僕はみんなの士気を高めるために
「みんな! 敵はもう弱ってきてる! あともう少しだ!」
こう言った。その瞬間――
「ガアアアアアアアアアアア!」
突然吼えた。
「なッ!? まだこれだけの力があるのか!?」
「グルルルルルルルル……」
魔物はこちらを目で見回しながら様子を窺っていた。そして、その矛先が穂乃香へ向く。
「「えっ……?」」
なんで穂乃香へ向く? 僕は【聖なる盾】を使っていたのに……?
「……まさか!? ユウマ! ホノカの元へ急げ! もしかしたら……あの一撃が来るかもしれん! 早く!」
あの一撃……?
「スゥゥゥ……グゥアアアアアアアアアアアア!」
息を吸い、口から黒い炎球を吐き出した。
「あ、あれは……? もしかしてッ!」
さっきまで勝つと思っていたのに急に嫌な予感がした。あの炎球は、恐らく巨大なクレーターの原因だ。その一撃は穂乃香へ向かう。
「クソッ! 間に合え!」
全速力で走る。だが、地面に躓き倒れてしまった。それにさっきまで立ち尽くしていたんだ。駄目だ、間に合わない、間に合うはずがない。嫌だ、こんなところで誰かを失うなんて! 僕が……僕が注意を散漫にしていたからッ。クソッ!
「い、嫌ッ! こっちに来ないで! 助けて! 助けて、直仁君ッ!」
叫ぶ穂乃香。僕はあまりの恐怖で、目と耳を塞いでしまった。
*
「えっ……?」
敵の目が私へ向いた……。もしかして狙われてる!?
「スゥゥゥ……グゥアアアアアアアアアアアア!」
私は咄嗟に避けるために逃げた。それでも、追いかけてくる炎球。もしかしてここで死んじゃうの……?
「い、嫌ッ!」
嫌だ、こんなところで死にたくない。私は帰らなきゃいけないから。
「こっちに来ないでッ!」
それが無理なことなんて自分自身が分かってる。だけど、こんなときだけど昔のことを思い出す。いつでも、どこでも、どんなところでも手助けしてくれた彼を
「助けてッ!」
ここに来るはずがない、私が唯一愛する彼の名を……
「助けて、直仁君ッ!」
ゴオオオオオオオン!
鳴り響く轟音、とてつもない衝撃を感じる。……感じる?
「…………ん、ん? あ、あれ? 私……生きてる?」
私は生きてた。足はあるし手もある、顔もある。どこにも痛みはない、五体満足だった。そして目を開けたら――
「……ッ!? な、なんでッ!?」
ありえない。目の前には縦に張られた何本もの鎖と
「大丈夫か? 穂乃香」
ここにいないはずの彼がいたから。
以上、②でした!
ん? まだ禁術出てないじゃないか、だって? 安心してください! まだ③があります! ……はい、想像以上に長くなって自分自身、ビックリしてます。
まぁそんなことはさておき、初の魔物と戦闘です。いやぁ……きっつい。戦闘描写をうまく表現できてないですね。自分、めんどくさがりなので途中から省略してしまうんです……。うまい言葉が見つからない。それがまだ続くとなると胃が痛い。ですが、頑張って③も書いていくのでゆっくりお待ちください。
それでは次回に、またお会いいたしましょう。




