思い出すんじゃなかった…
はてさて、これからどーなるのやら
オレ、クロンⅢ世と言います。
…この名前、少し嫌になりました。
蛙の子はオタマジャクシとか言うひねくれた人達がいますが、結局蛙に成長するから変わらないですよね。
そう、前回のお話しは蛙の子は蛙でしかなかったって事で、半年前の出来事を思い出したオレはすこぶるブルー(略してすこブルー)な気持ちになった。
あの後からだ、玉無し王に王位を禅譲されイジメンズから教育というなのイビりを受け続ける羽目になったのは!
思い出すんじゃなかったなぁ…。
昼食後の一時を、黒歴史のrefrainに費やしてしまったため、その日の午後からの政務はやたらと気が滅入って仕方なかった。
そしてそんなオレにイジメンズは容赦などする筈がなく、これでもかと注意という名のイビりを繰り返したのであった。
そんな翌日の朝議にて、こんな提案があった。
「クロン陛下も既に政務をこなされるようになって半年になります。昨日のご提案頂いた教育案も、とても素晴らしい内容でありましたので戴冠式を催しては如何でしょうか?」
この提案は、昨日の朝議にてオレに疑問を投げかけてきた老文官。
名前をオルヴァン・ハイエルンさん、68歳。
この国の文化や歴史、教育といった分野を専門に働いて下さっている人でありその部署のトップらしい。
今まではオレを取り巻くオレ派(表向きオレの為に働いてくれている臣下、例:アディン、シリウス、ニコラスなど)と反オレ派(魂の違う奴に仕えたくないんですけどー的な臣下)、後中立派(よく分かんないから様子見ムード的な臣下)の3つに分かれている中の中立派の代表だった人でもある。
そんな人が戴冠式やろーぜ!とか言っちゃったので、均衡していた状況が中立派の人がオレ派に合流してしまい均衡が崩れてしまったのだ。
え、オレの言い方だと余計な事したな、みたいに聞こえてくる?バーロー、んなことったりめーに決まってんだろ!◯◯式とか面倒くさいからって最初に書いたっしょ!面倒に決まってるんですよ。お金掛かるからニコラスが煩くなりそうだし、アディンはアディンで仕事と皮肉を増やしそうだし、シリウスは…シリウスは、まぁよく分からんけどイジメンズは皆寄ってたかってオレへの苛めを強化するに決まってんですよ!
「流石にお三方も戴冠式を済まされればこれまでのような接し方は取られないと思いますよ?」
朝議であった事をセイナさんに話してみると、苦笑をしながらそう応えた。
「それよりも、オルヴァン様がそう仰られたのでしたらば戴冠式は実現する事になるでしょう。そうなれば陛下もこれまでのように夜会や社交パーティーへの出席を義務として求められるでしょう」
セイナさんが力強く拳を握っての力説に、かなり顔を引きつらせるオレ。
一つ質問をした。
「その夜会とか社交パーティーではさ、そ、その~…ダンスとか踊らないといけないのかな?というか、王様としては踊れないとダメ?」
上目遣い+小首を傾げてセイナさんに問い掛けてみるものの、その問い掛けへの回答は余りにも無惨なもので
「パーペキに必須ですよ?それに陛下のお顔とその黒髪を見た女性は、陛下を壁際の花などさせる筈ありませんわ」
モテモテ確実ですよ!とまた力一杯力説されたのだが、これからはダンスの練習も確実に追加されるであろう事をオレは遠い明後日をみながら認識したのである。
何気にクロンはもて顔持ち。
しかもこの世界だと黒い色は最上位の色ナンです!