そろそろ詳しい話でも…
やっとこさ中身を書こうかなと…。
オレ、クロンⅢ世です。
元庶民だったんですが王様業、やってます。
前回の朝議は、あんまり反対意見とかも出て来なくて殆どオレの案が通過しました。ヤッホィ!ってな感じに内心浮かれてたら…
「提案は朝議を通ってからが始まり、つまりようやっとアナタはスタートラインに立つ事を許されただけです。ですからこれからはこれまでよりも更なる努力が必要になりますから、浮かれないように」
「これで浮かれてられるなんてやっぱ平凡バカだな」
「その通り、これからは真に税金を使って事を進展させるのだから細心の注意と効率性、合理的な判断力が求められるゆえに、お前は国民の血税で生き長らえていられるという事を心により深く刻み込んで貰わんと困る」
とイジメンズから五寸釘をぶっ刺された。
素直に青二才と言われた方がまだテンション的には救いがあるんじゃないかなと憂鬱な面持ちなお昼時、オレは自室でセイナさんに給仕をして貰いながら、1人のささやかなランチタイムを過ごしていた。
「陛下、お聴きいたしましたよ。教育計画が朝議をお通りになられたそうですね」
少し嬉しそうに微笑みを浮かべたセイナさんがそう声を掛けてくれた。
「うん、セイナさんが色々と助けてくれたお陰だよ」
「いいえ、私など少し陛下からの質問にお答えしただけです。あの教育計画は陛下のお考えがあってのものです」
頬を少し赤らめ、優しく微笑んでくれる彼女に女性との付き合った歴のないオレは…。
ほ、ほ、ほ、ほ、…惚れてまうやろー!!!
と内心、黒縁メガネを掛けて叫びながら一応平静を保つ。
「に、にしてもさーオレがこの世界に来てもう半年になるんだよね」
これ以上褒められたら、セクシャルなハラスメントをしてしまいかねないと感じたオレは、話題を別のモノにすべくそう呟いてみたのだが、セイナさんが少し暗い顔を見せた。
「そうですね、陛下がこちらの世界に来られて前王陛下が王位を陛下に禅譲されてもう半年になりますのに、まだ戴冠式も碌に…」
「あ、いや、べ別にオレとして、そーいう面倒な行事はしなくてもいいと思ってるから…」
正直、そんなナンチャラ式みたいな重苦しい上に堅苦しくかつ本当に面倒くさい事には出たくないししたくないと思ってる。
「それにオレは自分の稼いだお金で生活してる訳じゃなくて、この国住んでる人達の稼いだお金で生活させて貰ってるから、もうそれだけで十分過ぎるから…」
「いいえ陛下!王たる者は国の誰よりも大きな責務を預けられている身なのですから、確かに税金を大切にする事も大事ですが陛下は常日頃から質素倹約に努めておられます!本来ならもっと大きな部屋で優雅にお食事して頂きたいのにこのような個室でお一人でなされて…」
オレ的には今の生活でもとてつもなく有り難く豪華に過ごしているつもりなんだけど、どうやらこれまで王宮に勤めてきたセイナさんにとっては、王様としてはかなり肩身の狭い生活をしているらしい。
それにもかかわらず、何も文句を言わず寧ろ常に感謝をするオレに多くなメイドさんや執事は感心し心を寄せてくれているらしい。
そして不遇な(別にそうではないが)オレの代わりにセイナさんが怒ってくれたので、オレはセイナさんの頭を撫でた。
「ありがとう、セイナさんの気持ちはとっても嬉しいよ。でもさまだ碌に王様業をこなせている訳じゃないし、出来る事も少ないからオレは今のままで十分過ぎる位なんだよ?それにオレはセイナさんみたいな人が傍に居てくれるだけで十分贅沢者なんだよ」
とハニカみながらセイナさんに答えるとセイナさんは火が出るくらい顔を赤らめてオレに頭を下げた。
…そう半年になる。
オレが前の、日常としていた世界からこの世界に来て、もう半年になる。
イジメンズに苛められながら、この世界の事、この国の事、この国の人達の事、様々な事を必死に勉強して来たので余り日にちの経つ感覚が緩くなっていたけど、もう半年経ったんだ。
そうあれはただただ平凡に生きてきたオレにとって(クライ)マックスなくらいな出来事が起こったのだ。
セクシャルなハラスメント、してますね。