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それもまた、“愛”故の過ちか…前編

ノロの脅威から一応の回復は見せたものの、未だにどこかに隠れてるんじゃないかとビクビクしながら過ごしてます。

オレクロンⅢ世って言います。


周りから平凡だの馬鹿だの税金泥棒だの呼ばれながらも、細々としがない王様業やってます。


話の初っ端だから皆さんには理解出来ないと思いますが、敢えて呟かせて下さい。


「…どうしてこうなった…」


ため息を吐き出して、オレの精神が擦り尽きないように理不尽な状況ながらもちょっとした手違いと偶然が織り成した不幸な状態なのだと、自分の頭に刷り込ませる。


で、オレが今一体どんな状況に置かれているのかと言うとですね、縄で身体をグルングルンに巻かれ、身動き一つ、寝返りすら出来ない、まさにSM…っじゃなくて、捕まってます。


もう一度言います、オレ捕まってます。


だってセイナさんと仲良く優雅なランチタイムを堪能して、食後のレモンティーで一服してた筈なのに、気付いたら木造の正に質実剛健!な荷馬車の荷台の床に寝転がって這いつくばってたら言いたくなるよね、呟きたくなるよね!?


「大人しくしていて下さい」


オレは、オレを拉致ったんだろう犯人からそう言われたので黙って頷いた。


もう何でも良いから誰か早く助けて下さい…。


※※※※※※


その頃、王宮では…。


「貴方達は一体何をしていたのですか!」


「「「………申し訳ありません」」」


王の執務室にて、国の中枢を担うイジメンズが王付きのメイドであるセイナさんからお叱りを受けていた。


「何故、この国で、最も警護が厳しい、この王宮から、最も護らなくてはならない、この国の王様が、誰の目にも見つからずに、居なくなると言うのですか!?応えてみなさい!」


クロンには見せたことのないような怒りの形相で、イジメンズ達に激昂する。


「…面目次第もございません…」


パァーンッ!!!と乾いた音が響く程にセイナが謝りの言葉を上げた宰相のアディンの頬を平手打ちしたのだ。


「一国の宰相位の人間が、謝罪すれば赦される事ではありません!」


セイナの言葉にアディンはぐぅの音も出ない程、顔を俯けて後悔と苦痛の表情を浮かべて押し黙った。


「セイナ様、全てオレの責任です」


シリウスが一歩前に出る。


「…だから、だから何だと言うのですか」


「貴方に責任があるから、だからどうしろと言うのですか?…答えなさいシリウス」


先程まで、アディンに対して激昂していた表情から、冷え切った氷を思わせる視線でシリウスを睨む。


武官であるシリウスも息を喉に摘まらさせて、黙り込んだ。


財務官のニコラスは、最早何も言い出す事が出来なかった。


※※※※※※


イジメンズがセイナ様…、セイナさんに叱られている頃、オレは寛いでいた。


「…どうしてこうなった…」


快適だから問題無い、モーマンタイなんですけどもね。


目的地に着いてから、荷馬車の荷台に簀巻きで寝転がって這いつくばっていたオレは、ヤバいオレ売られちゃうのか?なんてよく分からない考えをしていたのだが、拉致犯は丁寧にオレを縛っていた縄を解くとその場でオレに向かって平伏したのだ。


「陛下に対して、手荒な扱いを致しまして申し訳ありませんでした!」


突然の謝罪に、えっ何で?!と驚いたオレは拉致犯に事情の説明を求めた。


すると拉致犯は、説明ならば私の主が致しますので、宜しければ主の所までご案内させて頂けないか言われたのだ。


事情が分かるならば、それで良いかな分かんないけど、と思ったオレは拉致犯(何気に老け顔美形)に伴われて、彼の主が住んでいるなかなか立派なお城に向かったのだった。


でお城に着いたら、超VIPな待遇で持て成しを受けて今に至る。


あーヤベェー、チョー気持ちいぃ~。


ゆったりとした椅子に座りながら、なんかもうどうでも良いわ~、と今まで王様業をこなす為に凝り固まっていたアタマがドンドン緩くなっていく。


コレか!前王と前のクロンが他人に仕事を押し付けてまで求めた世界と言うのは…なんて考えながら持て成しを受け続けていると、オレの前にオレを拉致った犯人を後ろに連れた金髪の極上美女が現れたのだった。

年末忙しい!ニートのクセに生意気だ?これでもこき使われてるんですよね、だるぃ…。

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