ほうるもん料理
皆戦いに慣れて来たので、今度は少し遠征にチャレンジする事にした。
走り龍討伐だ。
走り龍討伐はそれほど危険性は高くはないが、常に移動するので、探すのが一苦労で希望者が少ない。
ニコニコショップの店主が3か月前に冒険者ギルドに依頼を出したが、まだクエストを受注すらしてもらってないらしく、世話になった事だし受ける事にした。
長時間のクエストなりそうなので、野営しながら、走り龍捜索をする。
干し肉と固いパンを食料用に持ったが、今回はほうるもん料理にチャレンジしたい。
食料品店で遠征用の小型調味料セット購入した。
なにか美味そうな魔物に遭遇できればいいのだが……。
そんな事を考えていると、さっそくギオンがベストの裾を引っ張っる。
皆に警戒体勢を取らせ、俺はスリングをセット。
慎重に索敵を開始する。前方300mほどの距離に、片牙猪を発見した。
片牙猪は優先討伐種に指定されている。いわゆるネームドだ。
それほど強くはないが、戦いなれしており、被害者も多数いる。そのため報酬は大きい。
俺は戻り、報告する。
念のため、ギオンとジャは木に登らせた。
ショウにもなにかあれば逃げろと言った。
俺は石に麻痺毒を、ショウはメリケンサックに麻痺毒を、ギオンとジャも鞭に麻痺毒をつけた。
俺は慎重に近づき、スリングで投石、見事に頭にヒット。
そのまま倒れた。
俺とショウは警戒しつつ、近くよる。
失神していた。俺は杭で頸動脈辺りを突き刺す。頸動脈から勢いよく血が噴き出る。
ステータス画面が開き
(50G入りました。分配金は12.5Gずつ。ここから源泉徴収され、8.75Gになります)
と表示される。
3分後回収班が到着。
即座に解体し始めた。
皮、牙、肉、骨を回収し、内臓と脂、横隔膜辺りの肉を除去した。
「内臓と脂、横隔膜辺りの肉は捨てるのか」
と聞くと、
「保存が効かないから捨てる。自由にして良い」
と言われた。
3人は
「じゃあ次に行こうか」
と言った。
俺は
「待て。ちょっとこれを試したいから、1時間ほどくれ」
と言った。
俺はまず脂を集める。そして革のブーツに塗ってみる。
艶がでた。やはりこれは革用のメンテナンス用品になる。
次に横隔膜辺りの肉を切る。
これはハラミだ。
内臓もチェックする。
これはレバー。これは心臓。
そんな具合に肉を仕分ける。
彼女達は、遠目で気持ち悪そうに見ている。
俺は火をおこし盾を火にかける。
彼女達は、完全にひいている。
それゃそうだろう。
絵面は最悪だ。
盾に脂を塗り、俺はハラミやレバーを並べ、調味料で味付けをする。
猪の肉は寄生虫が心配なので、よく火を通す。
いい匂いがしてきた。
彼女達は、ポカンとした顔をしている。
俺はハラミを一口食べる。
口のなかで広がる肉汁。
美味い。焼肉だ。
俺はさらに肉を焼く。
「食べてみろ。美味すぎる」
と俺は言った。
3人は恐る恐る焼肉を食べる。
「うま」
3人同時に言った。
肉は割りとたっぷりあったはずだが、一気になくなった。
それから、食べ物といえば、クエスト後のほうるもん料理が定番になった。
それから皆の健康状態は急激に良くなる。肌もつやつやしており、いつも元気だ。
以前はショウは酒ばかり飲んでいたが、ほうるもん料理を食うようになって、ほとんど酒を飲まなくなった。
ギオンに至っては、前は
「魔物がいる……」
と怯えた感じだったが、
「魔物がいるよ。美味しいかな」
に変わったのだから、人間どうなるかはわからないものだ。
俺たちはようやく走り龍を見つけた。
アウカサウルスという恐竜に似ている。
後ろ足ががっちりしており、前足が極端に短い。
体長は5mほどあるだろうか。
横になると、身長が168㎝の俺と同じくらい。
遠くからでもわかる巨体だ。
あの感じだと、足は速く、多分武器は蹴りとシッポ。
シッポの場合、攻撃範囲が広く、かわしにくい。
まず、ギオンとジャはムリだ。攻撃範囲が狭い。
あとショウは、装備がメリケンサックなので、難しいだろう。
となると、俺だけか。
俺は理由を説明して、3人を安全なところに移動させる。
石に麻痺毒をしみこませ。
スリングで狙いを定める。
的は小さいが目だ。
見事に目にヒット。
(うぎゃーおおおおおおおおお)
凄まじい叫び声と共にそのまま倒れた。
俺は警戒しつつ、近くよる。
ピクピクしている。俺は杭で頸動脈辺りを突き刺す。頸動脈から勢いよく血が噴き出る。
ステータス画面が開き
(300G入りました。分配金は75Gずつ。ここから源泉徴収され、52.5Gになります)
と表示される。
10分後回収班が到着。
即座に解体し始めた。
皮、牙、肉、骨を回収し、内臓と脂、横隔膜辺りの肉を除去した。
「残りは自由だな」
と聞くと、
「あぁ。お疲れさん」
と言われた。
回収班にねぎらいの言葉をかけられたのは初めてだった。
事が済んだを知って、3人がやってきた。
突然ギオンが叫ぶ。
「仲間が来た」
「もとに戻れ」
俺は叫ぶ。
3人は元いた場所に隠れた。
走り龍は、仲間を呼んだようだ。
しかも体はこちらのほうが大きい。
明らかに怒り狂っている。
ギルド側のミスだ。
通常大型の魔物を狩るこの手のクエストは、討伐数の正確な記載が求められる。
難易度が格段に上がるからだ。
走り龍討伐の1と2では、単純に2倍の難易度ではない。
約3倍の難易度に膨れ上がってしまう。
2だと知って、受けるパーティはいなかっただろう。
俺も受けなかった。
スリングは距離があるから、しかも相手が動いていない状態なら当たりやすいが、いまの状況は不利だ。
俺は再びスリングに麻痺毒を含ませる。短剣と、杭にもだ。
絶体絶命のピンチ。その時、きらっと光るものが見えた。
(ヒュン)
弓矢だ。弓矢は走り龍の目を貫く。
よし今だ。
俺はスリングで逆方向の目を狙う。
(うぎゃーおおおおおおおおお)
凄まじい叫び声と共にそのまま倒れた。
俺は警戒しつつ、近くよる。
ピクピクしている。俺は杭で頸動脈辺りを突き刺す。頸動脈から勢いよく血が噴き出る。
ステータス画面が開き
(300G入りました。分配金は50Gずつ。ここから源泉徴収され、35Gになります)
と表示される。
どういう事だ。ヘルプが2人ということか。
俺がそう思っていると、遠くから冒険者らしきものが2人近づいてきた。
二人ともキレイな顔をしているが、男性のようだ。
白と銀色の装備に、剣と弓矢。
「危ないかと思って手出ししたが、必要なかったか?」
身長の高い男がそう聞いた。
「いや。あの弓がなかったら、俺の攻撃も当たっていたかどうか……
ありがとう。俺はセン」
と俺は言った。
「私はダッタン。彼はキースだ。走り龍の叫び声が聞こえて、その方向に向かって行った走り龍がいたから、追いかけてきたんだ。災難だったな」
とダッタンは言った。
「あぁ。驚いた。もしよければ、一緒に食事でもどうだ。ほうるもん料理を作れるんだが、走り龍は食ったことがないから、味は保障しないが……」
俺がそういうと、ダッタンはキースのほうをちらりと見て、
「今日は遠慮しておくよ。もう報酬は頂いているしな。また機会があれば」
と言い残し、去っていった。
事が済んだを知って、3人がやってきた。
みんな泣きそうな顔をして、俺に抱きついてきた。
こうやって心配してくれる仲間がいるって、ありがたい事だなとしんみりとなった。
8分後回収班が到着。
即座に解体し始めた。
ともあれ、ほうるもん料理の時間だ。
俺が肉を焼きだすと、彼女達の目はらんらんと輝きだした。




