装備品の更新パーティーでの戦い方の刷新と
ついに俺らのパーティーは四人パーティーになった。
モブリスト、ヒーラー、武闘家、遊び人。
普通にRPGなら、詰んでる設定なのではという疑問も少し湧くが、気にしないでおこう。
ただ少し心配なのは、俺とショウが倒れた時のこと。
ギオンとジャにも、少しは身を守れるすべを教えておきたい。
2人のステータスをみたが、2人ともレベル30で、防御力や力、素早さもそこそこある。
なので、苦手意識さえなくせれば、自分の身を守れるくらいにはなるだろう。
とにかく、なにか武器になるようなものはないかと、俺達はニコニコショップに顔をだした。
鐘の音と共に開門し街には再び活気が戻る。
昨晩落ちたナツツバキの花がまるで真っ白な絨毯のように木の下に敷き詰められていた。
午後には、この美しい光景も土色に変わる。
ほんの刹那な輝き。
新しい蕾が開き、新しい花が生まれた。
時代は常に流転するもの。
カメラでなく、その光景を心に焼き付けよう。
そう思った。
俺の心は、また前を向き始めた。
以前は、無愛想だった店主が、今日はニコニコしている。
女連れだからだろうか。
皆所持金が少ないので、ワゴンセールを覗く。
おっ、メリケンサックがある。
これなら、ショウでも装備できるのでは?
「ショウ。これなら殴った時、拳を痛めないし、ダメージもあげれるぞ」
と言ったら、
「じゃあ、これを貰おう」
と即決していた。
奥の方に、使いこまれた黒い皮の鞭があった。
「これは?」
と店主に聞くと、
「これは猛獣使いの方が使っていたものです。鞭は不人気ゆえ、使う方が少ないのですが、中距離攻撃できますし、先に麻痺毒を仕込めば、麻痺効果もつけれます」
と言った。
「これどう?」
とギオンとジャに渡す。
さっと目の色が変わる。
薄っすら口元に笑みが浮かぶ。
「これ頂くわ」
と2人は同時に言った。
なにかが、はじけとんだのだろうか?
ギオンとジャは、鞭を持って、ニヤニヤしている。
店主は、
「今日は、いろいろお買い上げくださったので、店からプレゼントしたいものがございます」
と言った。
全て、0.1Gだ。合わせても0.33Gにしかならないのに、どういうことだ……、
よっぽど処分に困っていたのか。
店主は、
「こちらにございます」
と黒い皮でできたドレスと、黒い皮のブーツを持ってきた。
値札がちらっと見えた。
20Gと10G
俺は目を疑った。
「さすがに、プレゼントが高額すぎないか。さては先ほどのアイテムは呪いのアイテムとか」
と俺は尋ねた。
「そうですね。
たしかに怪しい話です。
実は私……中級貴族、
被服と美容を扱う大手商会の跡取りでございまして、
社交界で使うクチュールのデザイナーもしております。
私は3人がミューズだと、そう思い、私のデザインした服を着てもらいたいとそう思ったしだいです。
本来なら、専属のモデル契約をしなければならない話……、
たいへん失礼しました」
と店主は言った。
「じゃあ、3人分あるの?」
とジャは言った。
「すぐにご用意いたします」
と店主はいい、3人分の服が用意された。
ギオンの服は、ベルトがたくさんついたピチピチした黒の皮のつなぎ。
ベルトでサイズ調整ができるようだ。
ショウの服は、黒の皮のショートパンツにびょうのついた黒の皮のベスト。こちらもベルトがついている。
3人共になかなか似合っていた。
ガールズパンクバンドみたいだった。
「彼のはないの?」
とジャが言った。
「もちろんご用意いたします」
と店主は言った。
店主が持ってきたのは、
カエルの着ぐるみだった。
俺はしぶしぶ、着てみる。
みんな大笑い。
「こちらは耐水属性がついており、ジャンプ力の補正があります」
と店主は笑っている。
ためしにちょっとジャンプしてみる。
全然補正がついてない。
それを見てみんな大笑い。
「失礼。本当はこちらです」
と店主は、別の服を持ってきた。
ベルトが複数ついた黒の皮のパンツ。
びょうのついた黒の皮のベスト。
着てみると、みんなが
「おおっ」
と言った。
4人並ぶと、パンクバンドみたいだった。
それから、店主は人数分のブーツを持ってきて、
「こちらは、つま先に鉄板が入っておりますので、モンスター等を蹴ると、相手の骨を砕くぐらいの威力があります。くれぐれも人を蹴らないように」
と注意された。
そして店主に、
「着ていらした服は買い取りいたしますよ」
と言われた。
冒険者は定住しない。
荷物もリュックサック分しか持てないルールになっている。
なので新しい装備にした場合は、購入した店で下取りをしてもらう事が多い。
しかし、買い取りまでしてもらうのは、悪い気がする。
3人はさっそく服を渡している。
店主が恍惚な表情で、ニオイを嗅いでいる。
やっぱり変態か。
「なにニオイを嗅いでいる。やはりやましい気持ちが……」
と俺が聞くと、
「やましい気持ちはありません。
私には彼氏がいますので。
ニオイを嗅ぐのは、調香部門があるので、そこで香りを再現するためです……
こんなに香りまでが魅力的な方達は、そうおられません」
そう言った。
一瞬眉間にシワを寄せた3人だったが、まんざらでもなさそうだった。
その後、冒険者ギルドに行くと、
モヒカン頭の受け付け嬢が近くまでやってきた。
「やっぱりエイダイスプレー使って」
と頼まれ仕方なく使ってみることにした。
髪の毛を立てた俺の姿を見たモヒカン頭の女性は興奮のあまりに鼻血をだして、失神。
3人も急にしおらしくなった。
なんなんだ。
……
俺達は、とりあえずスライム多量発生の討伐クエストを受けた。
まず、ギオンとジャにスライムに攻撃を受けても痛くない事を知ってもらった。
それから、ちょっとした物理攻撃で簡単にスライムが倒せる事を知ってもらう。
なんせレベル30あるのだから、余裕だ。
そしてあとは、鞭でひたすらスライムを狩ってもらった。
2人とも、よっぽど鞭と相性がいいのか、ニヤニヤしながら、スライムを狩っていた。
俺は遠くのスライムにスリングの練習。ショウは目をつぶってスライムを倒す練習をした。
これをひたすら一か月。
そして、ゴブリンで同じく一か月。
キラービーで同じく一か月練習をした。
キラービーは麻痺毒を持つ魔物。
毒針は捨てられるので、そこから毒をひたすら集めた。
レベルこそ、あまり上がらなかったが、武器の熟練度はかなりあがった。
なによりよかったのが、ギオンとジャに自信がついた事だ。
どんなに強きものでも、鍛錬を怠ってはならない。
人の運命など、つかの間の灯火のようなものなのだから。




