表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

ジャ

俺とギオンとショウは、ゴブリン討伐を済ませて、冒険者ギルドに戻る。

すると、なにかギルド内罵声が聞こえる。


魔導士らしき女と戦士の男が揉めている。


「だから、あの女はダメだって、パーティがまた潰れるわ」

と魔導士らしき女は戦士の男に言っている。


「なんでだ、レベルも高いし、気もきく。いいじゃないか」

と戦士の男は言っている。


「パーティを潰したいの?」

と女は言った。


「パーティは潰したくねぇけど」

と戦士の男は口ごもった。



間で、一人の少女がうつむいたままじっとしている。


俺は、モヒカン頭の受付嬢に話しを聞く。

「何かあったの?」


「えっと……、

あの子は、ちょっと特殊な子で……。

加入をめぐって揉めてるのよ。

うんちょっと待って、センさん。あのギオンさんと、ショウさんとパーティ組んだの?」


「うん、組んだよ」

と俺は答えた。


「いや、結構厄介だって噂だよ。やめといたほうがいいんじゃない?」

と受付嬢は言った。


「あのさ、俺、まともそうに見える?」

と俺は尋ねた。


受付嬢は下から上までじっくりと見る。

腕を組んでしばし考える。

「そうだね。センさんらしいわ。お似合いかも」

と受付嬢は言った。


「だろ」

と俺は言った。


「という事は、彼女も狙い目かもしれない」

と受付嬢は言った。


「どういう事?」

と聞くと、


「あの子、間にいる子ね、レベルは高いんだけど、職業が遊び人で、戦闘では使えない。その代わり、男性相手の商談なら、大幅に有利にできるって能力を持ってるの、ただしパーティクラッシャーって言われていて、彼女が入ったパーティは必ず彼女をめぐって男同士が揉めて、争いが始まり、崩壊するの」

と受付嬢は言った。


「性格が悪いの?」

と俺は率直に聞いた。


「私は性格が悪いとまでは思わないわね。男に媚びるところはあるけど、それは仕方のない事だし、それに私もそうだけど、冒険者って孤児院出身が多いじゃない。彼女のいた孤児院は娼館の近くにあって、その影響を受けてるんじゃないかって話。だったとしたら、不運なのかもね」

と受付嬢は言った。


「どう?彼女含めて4人パーティ。違和感ある?」

と俺は受付嬢に尋ねた。


「センさんなら、大丈夫そうだね。違和感はないわ。オモシロいんじゃない」

と受付嬢は言った。


俺は「ちょいあの子を勧誘していいか?」

とギオンとショウに尋ねると。

境遇が似てるからと、快諾してくれた。


喧嘩はまだ続いている。


割りこんでしまおう。

「ちょっと待て。この子を入れたから、パーティが崩壊したって言ってるが、本気で言っているのか? 」

と俺は言った。


「そうよ。この子はパーティクラッシャーなのよ」

と女は言った。


「そうだ。こいつはパーティクラッシャーだ」

と周りからも声がする。


「じゃあ、なんでこの子を入れたら崩壊した。どうやって崩壊したんだよ」

と俺は聞いた。


「この子を取り合って、男性のメンバー同士が揉めるのよ」

と女は言った。


「なるほどな。それは確かに、この子の取り合いで崩壊したのかもしれない。しかし、それはこの子が悪いのか?」

と俺は言った。


みんなポカンした顔をしている。


「少し聞いたが、この子は遊び人という職業だ。戦闘向きではない。

どちらかというと、戦闘では弱い。

だから愛想を振るまく。

でもそれは自分に危害をくわえられないように、守ってもらおうと考えたゆえの結果だ。

それを勝手に好意だと勘違いして、喧嘩を始めて自滅したんじゃないのか?

仮にAという男だけに愛想を振る舞えば、いざというとき、Aという男以外には守ってもらえない、必然的に、他の男にも愛想をよくする。

客商売なら、普通のことだろう」

と俺は言った。


周りから

「たしかにそうかもしれないな」

という声が聞こえる。


「この子が加入したことで、パーティが崩壊したのなら、そのパーティは、そもそも信頼関係もなにもなく、しかもアホだったという事だ」

と俺は言った。


クスクスと笑い声が聞こえる。

「たしかにな、女の取り合いでパーティ潰れて、それを女のせいとかありえないよな」

そんな声が聞こえる。


「その女はずるい、女の武器なんか使って」

魔導士らしき女は言った。

化粧っけはない、なるほど。そういうことか。

この女、あの戦士の男が好きなんだな。

「あんたの気持ちは少しはわかる。

でも、それなら、男に気持ちを伝えたのか?好意を伝えたのか? 」

そういうと、女は顔を真っ赤にした。


戦士の男は、何を言っているのか理解できていないようだ。


「なぜ女の武器だとわかっているなら、それを磨かない。

冒険者だろ。

スキルは磨くだろ。それがわからないわけでもないだろう。

彼女に、魅力で負けないように、努力しようとしたのか?

それをしないでおいて、ずるいもなにもないだろう。

そうやって、正義ズラした批判するほうが、よっぽどズルい。

いまあんた自分の顔を鏡で見る事ができるか?

嫉妬で歪んだその顔を」

と俺は言った。

女は顔を抑えた。


「あんたはキレイだし、十分魅力的だ。ただその嫉妬という醜い化粧を落とさないと、好きな男はなびかないぞ」

と俺は言った。

女は、戦士の男を引っ張って、外に出て行った。


もめ事がおさまり、冒険者ギルドは、元に戻った。

俺は、問題の女性に近づき、

「という訳で、うちのパーティに入らないか?俺はセン、彼女はヒーラーのギオン、こっちは武闘家のショウ」

そう言った。


「変わり者ね」

と問題の女性は言った。


「そうだよ。自覚がある。でもそれは君もだろ」

と俺は尋ねた。


「そうね。あんたのところなら、居心地はいいかもしれないわね。でも私、悪い女かもしれないよ」

と問題の女性は言った。


「そうかもな。でも俺らは、もっと悪いかもしれないよ」

と俺とギオン、ショウは手を差しだした。


「私はジャよろしくね」


(カーン、カーン、カーン)

街の門を閉じる鐘の音がする。


活気のあった市場は、一転夜の気配に包まれる。


街のあちらこちらに植えられた白い椿のような花は、鐘の音とともに散る。


それはまるで、一つの時代が終わる事を示唆するように。


無常……


そんな、言葉が頭をよぎった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
祇園精舎が完成!! 楽しく拝見しております
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ