エピローグ
この部分は時間が一気に飛んで、薫の契約期間終了の一か月後になります。
333冊の特殊書籍をすべて読んで薫はぐったりとした。
薫自身は貧乏だからあまり贅沢な料理は知らない。
今まで強力粉をこねて寝かせておいた生地を伸ばしてネギと胡麻を巻き込んで伸ばし、また巻き込んで伸ばしてからごま油で焼く、粉ものの料理『春餅』とか、同じ生地を伸ばして打ち粉を付けながら切って茹で味噌ダシに生姜やニンニクで味を付け長ネギと油揚げで煮た「味噌うどん」などをやった。
それから竹串に蒟蒻、カマ天、鳴門を刺して茹で、甘味噌と生姜のタレをつけて食べる、まつり田楽もやった。
今日は最後だからそれ等全部に牛肉と白滝、玉ねぎ、シイタケ、長ネギを醬油、酒、味醂、砂糖、で煮たすき焼き風煮をつけた。
淡水化物が多いが最後だからうんとたくさん作った。
余分に余ったものはマジック冷蔵庫に入れておけば食べられる。
だからさらに例の生地をビー玉大に分けたものを薄い円状に伸ばして、白菜とひき肉で作った餡を入れた餃子も作った。
それを少しずつ食べながら、封筒に入れた30万円の給料を薫に手渡しながら女神は言った。
「私の名はピグマと言います。ここで一応私は、ある魔法をかけてこの特殊書籍研究所を封印します。封印しても、この中の特殊書籍は私の生命力を吸って少しずつ進化していけるでしょう。薫君、いままでありがとう。君が読んでコメントを寄せてくれた333冊の物語はきっと、君のコメントを羅針盤にして少しでも前にすすめることでしょう」
そう言うと、ピグマ神は手をさっと振った。
なにかが起きて、研究所全体が振動した。
「この世界はいま変わろうとしています。たった一人の読者神がブクマをしてくれました。そしてたった一人の、おそらくもう一人のかもしれません、その方が最大の応援評価をして下さいました。
だから、いま私はその方たちのエネルギーと私自身の生命力を合わせて、この研究所を封印します。
そしていま内部からこの力が外に漏れないようにして333冊の特殊書籍が完結するように力を尽くすことにします。薫君、君はいますぐここから出なさい。君がいなくなっても、君の幻影はこの中に残り続けます。だからさびしくありません。さようなら、そして元気で」
気が付くと薫は草原の上に寝ていた。
あの研究所があった筈の場所には石碑が立っているだけだった。
『特殊書籍研究所跡』と彫ってあった。
薫は暫くの間、そこに佇んでいた。
そして……
「きっと、きっと、全ての物語が完結すると、僕は信じています。ピグマ神さま」
そう呟いてから、そこを後にして、自分の世界に戻って行った。
今まで読んで頂いてありがとうございます。振り返ってみて印象に残る作品がありましたら、そこに行って感想代わりのリアクションのクリックをして頂ければ幸いです。なお、作者『飛べない豚』はこの作品と共に残り、秘かに封印の中で各作品の進化を目論んでおります。では皆様お元気で!(^O^)/~~~