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特殊書籍研究所  作者: 飛べない豚
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世界線往復 (未完)

この物語が何冊目の特殊書籍かは数えません。

 俺は変な育ち方をしたらしい。

 そんな俺が普通の高校に入学して通学しているのが不思議だ。

 俺には前世の記憶がある。

 俺の前世は45才くらいまで生きた。

 そして住む世界は血みどろの世界だった。

 今のような上品な世界じゃない。

 最初は狩りをしていた。

 そのうち冒険者。

 そして傭兵と言う風に仕事を変えて行った。

 最後は狩りと畑の両方をやりながらのんびり過ごしていたんだが、崖から足を滑らせてその後死んだらしい。

 少し飲んでいたのと、年取って勘が鈍ったせいだと思う。

 

 そして気がついた時その記憶を持ったままこの世界に生まれた。

 親は育児放棄でいつも変わる父親はDVのし放題だ。

 だが俺は殺されなければ良いと思っていた。

 いつの間にか児童相談所に保護されて施設に預けられ、そこから中学、高校に通えるようになった。

 これは秘密だが、俺は人を一人殺している。

 何番目かの父親だったが、特にこいつは母親にも俺にもDVがひどかった。

 俺は中学二年生だったが、仕方がないからこっそり殺そうと思った。

 けれど前世と違ってこの世界は殺人にはうるさい。

 酒を飲んで風呂に入ってるところを一思いに襲って、包丁で解体した。

 冒険者時代はよく魔獣を解体したものだ。

 湯舟の中の死体を水で流しながら血はすっかり抜いた。

 血抜きは解体の基本だ。

 内臓や脂肪や筋肉は小分けして黒いビニール袋に入れておいた。

 まずそれを自転車で運んで、山の中に作っておいたA地点に運んだ。

 目印のある木の傍の草を剥がすと土嚢袋で塞がった穴が出て来た。

 土嚢袋を全て取り除くと大きな穴が出て来た。そこへゴミ袋の中身を捨てる。

 そして土嚢袋の中の土を被せる。

 踏み固めながら土を入れるが、全部の土は埋まらない。

 穴が平らに埋まったら、草の塊を被せる。根を付けたままだからすぐ周囲の草と同化してしまうだろう。

 余分の土は少し離れた所に投げて、空の土嚢袋を回収する。

 使ったゴミ袋も回収する。

 急いで家に戻って肉がついたままの骨をゴミ袋に入れて、自転車に載せて今度は山の中のB地点に運ぶ。

 B地点は予めA地点と同じように掘った穴を土を入れた土嚢袋で埋めて上に草を被せている。

 勿論根付きのままだから枯れないし周囲の草と一見見分けがつかない。

 同じように土嚢袋を取り除いてぽっかり空いた穴に骨を入れる。

 そして土嚢袋の中の土を上からかけて穴を埋めると草の蓋を被せる。

 余った土は離れた所に投げる。

 そしてポケットにいれておいたそいつの歯は途中の川に投げる。

 そして家に戻ると土嚢袋もゴミ袋も

男の衣服も正規の燃やせるゴミ袋に詰めてゴミステーションに出す。

 更にそのとき、男の持ち物を片っ端から見つけて一緒に捨てる。

 風呂場は洗剤を使って念入りに掃除をして窓を開け空気を入れ替え、芳香剤をかけておく。

 母親は夜遅く飲んで帰って来たが、父親は家に帰って来なくなったと言うとあっさり「そう」と言ってそのまま寝た。

 ここまで話すと俺は殺人狂というかサイコのように思われるかもしれないが、俺は前世ではごく普通の人間でこんなことは当たり前のことだった。

 もっとも死体処理に苦労したのはこの世界が殺人を犯罪として厳しく取り締まるからだ。

 前の世界では重要でもない男が一人道端で死んでいたって、詳しくは調べもしない。

 一応調査するがそれで終わりだ。


 ところで俺は通っている高校ではボッチだった。全校集会が臨時に開かれ、ビッグファイブとかいう頭のネジが緩んだ坊ちゃんや嬢ちゃんの近くにいたんだが、床に魔法陣が浮かんで光ったときには「やばい」と思った。

 そして白い部屋に行き、爺さんみたいな神に説明を受けてから俺はどこかの山の中に飛ばされたんだ。

 説明を受けた時に分かったんだが、俺が転生させられたのは、前世で生きていた世界だった。

 しかも同じ王国だった。

 俺の顔は水に写して確かめたが、前世の若い頃と同じ顔をしていた。

 スキルを確かめると、なんと『世界間移動』だった。

 試しに戻って見ると、俺は元の姿に戻って大騒ぎをしている全校集会の場所に戻っていた。

 こっちでは日本人の高校生で向こうでは白人の青年だ。

 そのまま学校は臨時休校になり俺たちは全員帰宅させられた。

 と言っても俺は施設に戻った訳なんだが。

 俺たちの施設は山の中にあり、通学には苦労するが、一種の勤労体験学習もかねて農園をやっている。

 施設の子供たちで畑を耕したり収穫をして販売もしているのだ。

 ところが今年は鹿による獣害が目立つのだ。

 折角蒔いた豆の種が新芽を出したと思ったらそれを容赦なく食べて行くのだ。

 俺は頭に来て夕方こっそり罠をあちこちに仕掛けた。


読んで頂いてありがとうございます。

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