フォーレスト・フェアリー (未完)
これは特殊書籍の13冊目です。
フォーレスト・フェアリーは、森の中で美しい声で歌う歌妖精。人々はその歌に聞き惚れる。
けれど同時に、こう思う。「なんて悲しい歌声なんだろう」と。
それは、悲しくて、寂しくて、切ない歌声だった。
私の名はバスチアン。歌など、吟遊詩人が町で一度や二度歌っているのを聞いただけ。だから、フォーレスト・フェアリーのことは知らなかった。聞けば、それは遠い昔の歌妖精らしい。吟遊詩人たちは、歌妖精から歌を授かり、歌を覚えるという。
その吟遊詩人のひとりが、歌妖精のことを歌ってくれた。彼女は年老いた女性だが、その歌声はまだまだ衰えていなかった。
「歌妖精は、ある日突然現れる♪
なにげない普通の人間が神の祝福を受けて♪
歌妖精に変身する♪
歌妖精になる者には、積もって溢れる思いがあって、その思いを歌にする♪
あるときはときめく恋の歌♪
またあるときは悲しい別れの歌♪
そしてすべての思いを歌い尽くしたとき、歌妖精は普通の人間に戻って姿を消す♪
これから紹介する歌妖精は、その名もフォーレスト・フェアリー♪
意味は森の妖精そのまんま♪
性別は分からない♪
少年のようでもあり、少女のようでもある♪
だから男女関係なく、その歌声は人々の心を捉えた♪」
薫は短かったなと本を閉じた。しかし少し長めにコメントを書いた。長めに書いたものを夢で伝えるのは転生神にとってかなり疲れることだとは思うが、これは彼女の希望だから仕方がないと、薫は自分で頷いた。そしてまた彼女の寝顔の上に紙を被せて、卯木の本を開いた。
読者にお願い。この特殊書籍を読んで「面白い」「続きをよんでみたい」という方は、リアクションをお願いします。それがあればこの話は続きが書かれることになります。宜しくお願いします。