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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
繰り返しの代償は

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97.後悔の時間と結果(リトラ視点)

 私の知る全てを話し終えた後、ゼノは自分の拳を強く握りしめ、唇を噛んだ。そして、震える声でこう言った。


『俺は、クロノを殺したんだな』

『……そうね。でも、意図的にではなかったと思うわ』

『んなの、わかんねえじゃねえか! てめえだって、全部は知らねえんだろ!?』


 慰めようとした私に向かって、ゼノは叫んだ。


『だって俺、最初はお前らの事ムカついて、殺すつもりで切りかかった! ……ああ確かに、あん時あいつに動き読まれてんのかって思ったことあったな。多分きっと、俺はおまえらのこと……』


 そう言ってゼノは、頭を抱えた。ゼノの手の平には、血が滲んでいた。


『ははっ。そりゃ、仲間を殺すような奴なんて信用できねえよな。あいつが全然頼ってくれなかったの、俺のせいじゃねえか。なのにあいつは、俺の事仲間に誘って、何度も巻き戻して……。ほんと馬鹿じゃねえの』

『でも、あんたがいなかったら、きっと私だけじゃクロノを守れなかったわ』

『……そう、だといいな』


 私の言葉に、ゼノは少しだけ肩の力を抜いた。


 ゼノの事は大嫌いだった。けれども、ゼノがいなかったら、クロノを救えなかっただろう。

 それに、人の事は言えないのだ。私が前に出なければ、クロノが生きた事もあったのだから。


『……あのね。私もね、皆に言わなきゃいけないことがあるの』


 次に口を開いたのはソフィアだった。


『あのね。元はといえば、私のせいなんだよ。だって、クロノの妹を殺したの、私だもん』


 ソフィアの言葉を聞いてすぐには、理解ができなかった。


『は? それってどういう……』

『だって、魔石を埋め込む方法見つけたの、私なの。あのね、フォッシリムの皆が実験してるの見てね、こうしたらいいんじゃない? って言ったら、魔物を使った実験では成功しちゃったんだ。それでね、人でもやろうってなって……。でも、魔物は抵抗しようとして魔力が流れてたんだと思う。パパやママ達が魔力の無い子供を連れ去って実験したら、皆死んじゃった』


 そう言ったソフィアは、ポロポロと涙を流し始めた。けれども、一緒に旅をしてきたソフィアを知っているからこそ、ソフィアを責める気にもなれなかった。


『馬鹿ね。実際に関係のない子供を連れ去って実験して殺したのは、あなたのお父さんとお母さんじゃない。ソフィアは悪くないわ』


 きっとソフィアは、純粋に大人がやっている実験に興味があって、そして方法を見つけてしまったのだろう。きっとそこに悪意はなかった。

 しかも、ソフィアはそれで誰かを殺すために伝えたわけではない。ただ単純に、見つけただけなのだ。


 けれどもソフィアは、泣きながら首を振った。


『でもね、私、それで沢山の人が死んだの知ってた。クロノが巻き込まれた事も、知っててクロノに声をかけた。沢山の子供が死んだことより、実験が成功してたことが嬉しくなっちゃった。これで世界を変えれるんだって。……旅をしててね、クロノが私のせいで苦しんでる事を知った。私の思い付いたことが、とんでもないことしちゃったんだって知ったよ。だけど、私は皆に嫌われたくなくて、何にも言えなかった。クロノは私達のこと沢山考えてくれたのに、私は私のことばっかり。もっとクロノのために何か考えられてたら、違ったのかな』


 ソフィアがそう言った後、次に口を開いたのはコンコルスさんだった。


『それを言ってしまえば、女神の伝説なんてものを作った俺に全ての原因がある。そして、その伝説を彼に教えたのも、無意識に時間を巻き戻す可能性を見落としていたのも俺だ。取り返しのつかない事になる前に、対策を考えるべきだった』


 そう言った後、コンコルスさんは小さく息を吐いた。


『そう、自分を責めるのは簡単だ。時には自分を責め、行動を改めることも必要だろう。けれども現実は、様々な物事が偶然に重なり合って起こるもの。そう、長く生きて思うこともある。そして思うのだ。誰かを責めるだけでは、何も解決はしないのだと』


 コンコルスさんの言うことはその通りなのだと、私達はすぐに思い知らされることになる。


『……そうだな。とりあえず、クロノを探しに行かねえと』

『そうね。恐らく今の私達がいるということは、時間は巻き戻っていないのでしょうし、きっと死ぬことも……』


 私がそう言った瞬間、扉が開く音がした。

 ここを知っている人は一人。クロノしかいない。一瞬、クロノが戻って来たのだとホッとした。


 けれどもクロノは、焦点の合わない目でフラフラと歩き、コンコルスさんの前まで来た。


『クロノ君……? 大丈夫か……?』

『コンコルスさん』


 クロノはそう言って、縋るようにコンコルスさんの服を掴んだ。


『お願いします。俺も、もう、解放してください』


 突然の事だった。そう言ったクロノは、赤黒い光に包まれた。それが誰かを生き返らせる魔法であることを頭が理解したのは、クロノが倒れてからだった。

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