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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
山の都“✕✕✕✕✕✕”

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87.思い違いと繰り返し

「ダメ……! 絶対ダメ……!」


 悲痛な顔をしながら言うソフィアに、ウルティオさんは首を傾げる。


「ソフィア……? 一体どうしたんだい? 君も皆が魔力を持てる世界を望んでいただろう?」

「望んでたよ? でも、本当に私達がやろうとしてることって、本当に正しいの? こんな魔力、本当に皆が持っていいの? それに、この魔力のせいでクロノの妹だって……」

「ソフィア」


 ウルティオさんは、ソフィアを落ち着かせるようハッキリとした声で名前を呼び、目を合わせる。


「どうしてそう思ったのか、何を見てそう思ったのか、もう少しわかりやすく聞かせてくれるかい? それに、クロノ君の妹さんと今回の件は別の事、だろう?」


 そう言ったウルティオさんの言葉に、ソフィアはどうしてかハッとした顔をして、そして俯いた。そして、暫く黙り込んだ後、涙を流しながらウルティオさんを見る。


「あのね、クロノがね、その魔法使って、クロノの妹を生き返らせようとしたの。クロノの命を使って、だよ? 私達が皆に与えようとしてた魔法って、そんな事が簡単にできちゃう魔法なんだよ?」


 なるほどと俺は思った。きっとソフィアは、人によっては悪い使い方をする人がいるということを危惧しているのだろう。確かに皆が時間を巻き戻したり人を生き返らせたりすると、世界はぐちゃぐちゃになる。

 そんな風に思っていると、ウルティオさんはどうしてか信じられないような目をして俺を見た。


「クロノ君。何故、そんな事を……」

「えっ……? だって、皆が魔力を持つためのヒントも無事わかりましたし、俺の願いを叶えるために、これ以上皆を危険な目に合わせるわけにはいかないって思ったので……。それに、これ以上皆に迷惑かけたくないし。でも、リトラが言ってくれたんです。まだ俺の事が必要だからって。だから、せめて魔法を使うのは、全てが終わったらしようって、思って……」


 そこまで言って、皆の目を見てようやく気付いた。また皆は、困惑した目を俺に向けていた。


「おい、待ってくれ。生き返らせる魔法は、二度と使わねえんじゃ……」

「えっ、いや、使わないって言うのは、この旅の間はって意味で……」

「妹を生き返らせるのは、女神に叶えてもらえばいいだろ!?」

「いや……、俺の願いがどうにかなるなら……、その……、もっと世のためになる願いの方が……。ほ、ほら、ゼノも言ってたでしょ? ねっ?」

「いや、そういう意味じゃ、なくて。俺も皆も、てめえに死んで欲しくねえんだよ」

「えっ、なんで?」


 思わず出たのはそんな言葉だった。

 だって意味がわからなかった。あれだけ迷惑かけて、なのに死んで欲しくないなんて、意味がわからなかった。


 ゼノが、震える声で口を開く。


「なんでって、だって俺も、皆も、おまえに助けられてばっかりで、だから……」


 ゼノの言葉に、ソフィアとリトラも頷く。


「そ、そうだよ。私達、クロノがいなかったら絶対死んでたもん」

「そうよ。私達、助けられてばっかりで、なのに死んでもいいって思うわけないじゃない」


 その言葉を聞いた瞬間、ああそうかと俺は思った。

 俺は今まで未来を知っていたから、それでなんども助けることができたから、だから価値のある人間に見えているのだろう。本当は、何度も皆を殺したことを知らないで。


 けれども、これからの事はわからない。未来なんて知らない。だから皆の事を助けられない。失敗の道を選んで、皆を困らせる未来しか見えなかった。


「違う、俺、本当は……」


 そう言おうとして、リトラが自分で死んだ姿が頭に蘇る。言った瞬間、全てがおかしくなった過去の時間軸の出来事。


「ごめん、やっぱり何もない。……もう、部屋に戻るね」


 そう言って、逃げるように部屋から出ようとする。けれどもゼノに、腕を掴まれてしまった。


「待てって。言いたいことがあるなら言えって!」

「な、何もないから!」

「さっき何か言いかけただろ!?」


 不安を滲ませたゼノの顔を見て、ああまた俺は失敗したと思った。未来がわからないから、何を言えば皆がどんな反応をするのかわからない。だからこそ、俺は簡単に失敗する。もしやり直せるなら……。

 そう思った瞬間、一つの事が頭に浮かんだ。


 あれ、俺、魔法で簡単にやり直せるんだっけ?


 そう思った瞬間、それならばと先程の会話を思い出していく。そして、ここだろうと思った場所に決めて俺に魔力を流し始める。


「おい、何を……」


 その瞬間、目の前の光景は少しだけ変わった。


「不老不死の苦しを作って500年生き続け、私達を試していてもおかしくなどない! ……と、思っていたんだけどねえ」


 先ほど聞いたばかりの台詞。本当に簡単に戻って来れたのだと、嬉しくなる。けれどもそんな感情を出さないように気を付けて、俺は眉を下げる。


「……残念、ですよね。映像はそこで終わりです。……あの、思ったより疲れが出てたみたいで、ちょっと休んできていいですか?」


 俺は無理矢理、話を切った。ここで魔力の話にならなければ、あの流れにはならないだろう。


「かまわないけど、クロノ君がそんな事言うなんて、珍しいね」

「あはは。無事神珠を取れたからでしょうか。いつも、このタイミングで疲れて眠くなっちゃうんです」


 寝不足なのは、丁度アミクスの件でバレていた。だから、少し心配そうな顔を俺に向けながらも、余計な事を言う人はいない。


「何か質問があれば、皆に聞いてください」

「わかったよ。ゆっくり休んでおいで」


 ウルティオさんにそう言われたあとすぐに、俺は自分に与えられていた部屋に戻った。

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