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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
山の都“✕✕✕✕✕✕”

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86.落ち込むことと平気

 神殿からフォッシリムに帰るまでの30分。どうしてか皆無言だった。

 恐らく、皆色々と考えることがあるのだろう。俺自身も、まだ頭の整理が追い付いていなかった。


 まさか、俺が使える魔法を生み出したのはエウレさんだと思わなかった。どうして俺達を誘拐した人達がその方法を知っていたのか、どうして俺だけ成功したのか、その理由はわからない。

 しかも、俺の知らない魔法がいくつかあった。まさか、時間を繰り返していることすら俺が無意識に発動した魔法だとは思わなかった。


 けれどもそれならば、これからの旅は楽になるだろう。わざわざ最初まで戻さなくていい。必要な所まで戻せばいいのだ。


 そんな事を考えていると、いつの間にかフォッシリムに着いた。地下施設に入ると、ウルティオさんが部屋から飛び出してきた。そして、俺達の顔を見てホッとした顔をする。


「皆、無事で良かったよ」


 けれども、皆何も言わなかった。いつもは神殿での出来事を嬉しそうに話すソフィアですら、だ。

 そんな異変にウルティオさんも気付いたのか、少し不安な顔をする。


「……何か、あったのかい?」

「あはは。まあ、色々と。えっと、とりあえず見たことをお話ししましょうか」


 俺はきっと今回もいつもの流れだろうと、そう提案した。

 ああ、でもソフィアがいると話はややこしくなるし、ゼノも巻き込まれるのは嫌だろう。そう思って、口を開く。


「そうだ。ウルティオさんの部屋に行った方がいいですか? それなら……」

「そ、それは助かるけれど……」

「ま、待ってくれ!」


 そう言って、ゼノは俺の腕を掴む。


「な、なあ。皆で話そうぜ! 別に二人じゃなくてもいいだろ!?」

「えっ? でも、ゼノはいいの?」


 ゼノはウルティオさんの事が苦手だった。だからそう言ったのは意外で、けれどもゼノは焦ったように言う。


「いいから! というか、皆もその方がいいよな!?」


 その言葉に、皆少し暗い顔をしながら頷く。けれどもそんな様子を見ていると、俺の方が心配になった。


「なんだか、皆疲れてない? 俺は平気だから、別に……」

「……いや、逆になんでおまえは変わんねえんだよ」


 ゼノの言葉に首を傾げていると、今度はソフィアが俺の腕を掴んだ。


「ねえ、クロノ。今日は一緒に過ごそう? ねっ?」

「う、うん……。いいけどどうして……」

「だ、だってクロノが……」


 ソフィアが何かを言おうとしたら、リトラが突然ソフィアの前に出た。そして、どうしてか俺を睨む。


「わ、私達、あの映像見て、ちょっと気分が落ち込んでるのよ! だから、私達のために今日は一緒にいて!」


 ああ、そうかと俺は思う。確かに、あの映像は衝撃的だったし、エウレさんが死ぬとは思わなかった。コンコルスさんが死んでいる姿も悲惨で、俺でもあの正解はわからない。

 だからこそ、皆ショックだったのかもしれない。もしかして俺が冷たすぎるだけなのかも。そんな事を思いながら、俺は頷く。


「わかった。皆がそう望むなら喜んで。あはは、俺、ちょっと冷たいかな」


 そんな事を言えば、リトラはそれを証明しているかのように、俺から目を逸らした。




「エウレ様が……、映像の中で死んでいた……?」


 ウルティオさんが驚いていた目で俺達を見る。

 あれから食堂に集まって、ウルティオさんに映像の事を話していた時のことだった。


「そんな、まさか……。でも、確かに……」

「あくまで予測ですが……。けれども、ウルティオさんは以前おっしゃっていましたよね? コンコルスさんからアミクスを大事にして欲しいと頼まれたって話を、ご先祖さんから聞いたとか。アミクスは国との争いの少し後に作られたとも言っていましたし、辻褄は合うのかと」

「そう……、だね……。良く覚えているね……。でも、そうか……。嘘だと信じたいが……」


 どうしてウルティオさんがそこまで動揺しているのか、俺にはわからなかった。けれども他の人もショックを受けていたから、俺の感覚がおかしいのだろうか。

 そんな事を思っていると、ゼノが怪訝そうな目でウルティオさんを見て口を開く。


「なんでそんな疑ってんだ? なんかてめえの知ってることと違いでもあんのか?」

「あっ、いや、違うんだ。私は女神様がエウレ様だと思い込んでいてね。もし女神様の謎を突き止めたら、会えるかもしれないって信じていただけだよ。だってあれ程の発明をした方だ! 不老不死の薬を作って500年生き続け、私達を試していてもおかしくなどない! ……と、思っていたんだけどねえ」


 そう言ったウルティオさんは明らかに落ち込んでいて、心から会えることを夢見ていたのだと俺が見てもわかった。確かに、エウレさんは凄い人で、そしてウルティオさんも尊敬していた。きっと色々聞きたかったのだろう。

 けれども、一つ収穫があったということだけは伝えなきゃと、俺は口を開く。


「でも、皆が魔力を持てるヒントだけは無事わかりましたよね! それを知れたことは、大きな収穫になるかと」

「確かに、まさか別の魔力を使って馴染ませるという行為が必要だとは思わなかったよ。どうりで見つけられないはずだ。でも、これで近いうちに……」

「ダメだよ」


 そう言ったのは、意外にもずっと皆が魔力を持てることを望んでいたはずの、ソフィアだった。

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