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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
山の都“✕✕✕✕✕✕”

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83.誰のためと自分とあんた

 最初から全て間違えていたのだ。そのことに、ようやく気が付いた。

 皆を巻き込む必要なんてなかった。最初から、こうすれば良かったのだ。


 俺は、皆を見る。皆が死んだ光景が、とめどなく頭に流れていく。


「ごめんね。今まで散々振り回して。痛かったよね。苦しかったよね。大丈夫。もうこんな時間は終わらせるから」


 ああ、でも、唯一良かったことといえば、皆が魔法を使える世界はきっと実現するという事だろうか。

 エウレさんは、神様の力なんかなくても実現していた。どうして俺だけが実験に成功したのかはわからないが、きっと魔力を流して馴染ませれば、成功するのだろう。


 それならば、もうこの旅はここで終わりでいい。もう危険なことをする必要はない。

 だってここで、全ての願いは叶うのだから。


 目に入ったのは、皆の困惑する顔。

 きっとまた、何か困らせている。だから、終わらせなきゃ。


「俺、皆と一緒に旅できて良かった。皆の事、大好きなんだ。だから、もう俺の都合で……」


 その瞬間だった。パシン、と音が鳴って、頬に痛みが走った。思わず、流す魔力を止める。


「ばっかじゃないの!!」


 そこには、目に涙をためながら俺を睨む、リトラの姿があった。


「何をしようとしたの!?」

「へっ……?」

「だから、何をしようとしたのって言ってんの!!」


 リトラの言葉に、俺は少し動揺しながらも口を開く。


「えっ、ええっと、妹を……。メミニを生き返らせようと……」

「……誰の命を使ってよ」

「えっ……? 俺の、だけど? 流石に皆の命を使うことはしないよ?」


 もしかして、誰かの命を使おうとしたのだろうか。そう思って、俺は弁明する。

 けれども、ゼノも俺の所に近付いて来て、俺の腕を強く握る。


「てめえの命って、ふざけんなよ! なんでそんな事すんだよ!」

「えっ、だって……。俺の願いが叶うなら、もう危険な旅をしなくていいでしょ? 皆が魔法を使える世界も、実現しそうだし。ゼノだって言ってたじゃん。仲間の誰かが犠牲になってまで進みたいなんて思わないって。もう、誰も死ななくて済むよ?」

「は? おまえ、何を言って……」


 一瞬、ゼノが俺を握る腕が緩まる。俺もそろそろいいかと、俺はゼノの手を俺の腕から離す。これから魔法を使うのだから、間違ってゼノの命を使うなんてことはしたくなかった。

 けれども俺の腕は、別の細い手に掴まれた。


「……別に、あんたのためじゃないんだってば」

「へっ……?」

「何度も言った! 別にあんたのためじゃないって! あんたのためじゃない!! あんたのために、旅に付いて来たわけじゃない!! 私が!! 選んだの!! 私が!! これからも旅をしたいの!!」


 リトラの言葉の意図が理解できずにいると、再びリトラが叫ぶ。


「あんたが私達のこと好きとか知らない!! あんたの都合なんて知らない!! なのに、勝手に決めつけて、勝手に私達のためって死のうとして!! 勝手に気持ち押し付けんな!!」

「えっ、でも……」


 皆の事が好きなのは事実だ。俺の都合であることも間違いないはずで、けれども上手く言い返せない俺がいた。

 そんな俺に向かって、リトラは続ける。


「勝手に死ぬなんてふざけんな!! 私達のためって何!? あんたがいなくなって、これからの旅はどうすんのよ!!」

「え? まあ続けたいなら、ゼノが……」

「こいつ一人でどうにかなるわけないでしょ!? 私達のためって言うなら、生きてどうにかしなさいよ!!」


 そう言って、リトラは俺の服の裾を掴む。

 それは、出会った頃のリトラのようで、けれどもその時のリトラとは違った。


「……あんたのことなんて、どうでもいいの。あんたのために、旅をしてるわけじゃないの。……でも、あんたがいないと、困るのよ」


 その言葉に、魔法を使おうと力んでいた体は緩んでいった。

 もう、リトラには必要にされていないと思っていた。けれども、まだ俺が生きることで、役に立てることがあるのだろうか。


「そっか。わかった。ごめんね。魔法は使わないよ」


 俺がそう言えば、リトラは力が抜けたようにしゃがみ込んだ。

 そんなリトラに手を伸ばそうとすれば、今度はゼノに手を掴まれた。


「もう、やんねえんだよな」

「う、うん……」

「約束だからな」


 そう言った後、ゼノはリトラの方を見て、背をさする。


「……一瞬、頭がフリーズしちまった。悪かった」

「……あんたのせいじゃないわよ。もっと、私が……」


 そんなやり取りを見て、きっとリトラは俺よりもゼノの方が必要なのは間違いないのだろうと思った。けれども、それでもリトラは、少しでも俺を必要としてくれているのだ。

 メミニはいつでも生き返らせられる。それならば、リトラの役に立ってからでも遅くないだろう。


 と、ソフィアが俺の腕を掴む。


「あ、あのね。私も、クロノに生きて欲しいよ。死んで欲しくない」


 ああ、ソフィアも、俺に少しでも必要性を見出してくれているのだろうか。ぼんやりと、そう思う。

 だから生きて欲しい。だって俺はまだ僅かにでも役に立てているから。


 ああ、でも、いつメミニを生き返らせればいいかな。そんなことを、ぼんやりと思った。

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