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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
山の都“✕✕✕✕✕✕”

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81.知ってる魔法と知らない魔法

 神珠を取るのはいつも俺の役目。別に誰に言われたわけでもなかったけれど、進行をスムーズにするために取っていたら、俺の中で勝手にそう思うようになっていた。

 けれども、今回俺が神珠を取っていいのかわからなかった。間違えた道を進もうとした俺に、取る資格があるのかわからなかった。


 そんなことを考えながら神珠をぼんやりと見ていると、ソフィアが少し気まずそうに俺の方を見ながら言う。


「えっと、神珠、私が取っていい?」

「うん、いいよ」


 いつも俺が取っているから、余計な事を考えずに俺が取った方が良かっただろうか。そんなことを思いながらも、俺は天井を見つめた。

 いつも通り、映像が天井に映し出される。見えたのは、まるでフォッシリムの地下世施設にある研究用の部屋だった。


 きっとまた、エウレさんから見た視点なのだろう。そう思っていると、扉が激しく開く。


『エウレ様!』


 そこには、例のウルティオさんに似た人がそこにいた。


『……どうした』

『国の兵士が、すぐそこに……!』

『そうか。心を決めねばな……』


 そう言って、エウレさんは立ち上がった。


『コンコルスはどこにいる?』

『えっ、あっ、それは……』


 ウルティオさんに似た人は、言い淀む。その言葉にエウレさんは何かを察したのか、ウルティオさんに似た人の肩を強く掴んだ。


『コンコルスはどこに行った! 頼む! 教えてくれ!』

『……交渉、しに行かれました。けれども、国の兵士がここまで来ているという事は、つまり……』


 そう言って、ウルティオさんに似た人は目を伏せる。その後、まっすぐな目でエウレさんを見る。


『もう、いいですよね。兵器の使用許可を』

『……あと少し、ほんの10分だけ、待ってくれ。私がやる。だからその間に、住民たちに地下に避難を』

『……! かしこまりました』


 そう言って、慌ててウルティオさんに似た人は、部屋から出ていった。すると、エウレさんは黒い石を取り出した。

 その石は、なんとなく似ているなと俺は思う。忘れもしない、妹を失ったあの日、俺達を連れ去った人たちが俺に何かをする前に持っていた石。その後背中に痛みが走り、気を失った。


 と、エウレがナイフを取り出した。そして、突然自分の腕を切った。そして持っていた石を埋め込む。


『ははっ。私が回復魔法持ちで良かった。傷の修復と魔力を馴染ませること、同時にできるのだから』


 そう言いながら、エウレさんは外に出て、空に向かって手を伸ばし、手のひらを上に向ける。


『ダーク ボール』


 あれ? と、俺は思う。エウレさんが放った黒い玉は、いつも俺が使うダークボールと全く同じものだった。それは周りも思ったのか、ゼノが俺に向かって言う。


「あれって、おまえがいつも使ってるやつだよな」

「うっ、うん」

「ってことは、おまえが魔法使えるのって、もしかして……」


 そう言って、俺とゼノはソフィアの方を見る。ソフィアもまた、映像を真剣な顔で見ていた。


「同じ技術だよ。でも、魔力を馴染ませる……? それが、足りなかったの……? でも、クロノは……」


 そう呟くソフィアの上で、また映像が変わった。一先ずは映像に集中しようと、俺は天井を見上げる。

今度は兵器の前だった。ウルティオさんに似た人が、部屋に入って来る。


『エウレ様。避難が完了しました。兵器はどこへ落とせば……』

『この兵器は使えない。私の魔力を入れないと、解くことができない』

『なっ、何故……! コンコルス様の交渉が失敗に終わったのも、兵器の力を信じて貰えなかったからでしょう……! 一度見せつけなければ……! そうでないと、フォッシリムは……!』


 そう言うウルティオさんに似た人の肩を、エウレさんはポンと叩く。


『安心しろ。私がやると言っただろ』


 そうしてエウレさんは、部屋の外に出た。


 場面は変わる。エウレさんの目の前には、無数の兵士がこちらに向かって来ていた。恐らく長であろう男が、一歩前に出てエウレさんを見る。


『エウレ・カウザプリマ! 貴様を、悪魔と契約し国を混乱に貶めようとした罪で、連行する!』

『……その前に、一つ聞く。コンコルスはどこにいる』


 エウレさんがそう言うと、男は鼻で笑う。


『意味の分からないことをわめいておったから、その場で殺してやったわ。だが貴様は殺さぬ。見せしめとして、貴様の首を民の見える所に飾るためにな!』


 その言葉に、エウレさんは拳を握りしめた。けれども、大きく息を吐き、兵士を見つめる。


『……悪いが、もう悪魔と契約してしまった、といえば、どうする?』

『なに……?』


 男が一瞬怯んだすきに、エウレさんは空に向かって手を伸ばす。


『インフィニット ダークソード!』


 その瞬間、無数の剣が兵士に降り注ぐ。突然の事に、男も、そして後ろにいた兵士にも混乱が起こる。


『な、なんだと……!? 貴様の魔法は回復魔法のみだったはず……! この黒い魔力はなんだ……!?』

『言っただろう? あなた達の言葉で説明すれば、悪魔と契約したのだと。まあ、実際は貴様らの恐れる魔道具で、誰でも使えるようになるがな』

『魔道具……? そんな馬鹿な……。いや、本当に悪魔と契約したのか……。しかし、こちらにはこれだけの兵士がいる! いくら悪魔と契約しても、敵うわけなどない! やれ!』


 その言葉に、兵士たちは少し怯えながらも魔法で攻撃を始めた。それをエウレさんは、見慣れたシールドで防いでいく。

 けれども、同じ魔法を使う俺だからこそわかる。この数に、エウレさんが敵うはずない。

 だから、負けるのだろうか。そんなことを思った瞬間だった。


『ナイトメア』


 それと同時に、黒い靄が周囲を覆う。それは、俺の知らない魔法だった。

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