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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
山の都“✕✕✕✕✕✕”

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77.成功と次のこと

「アミクス!」


 ソフィアはそう叫んで、アミクスの所に駆け寄った。そして、落ちた頭を持ち上げ、抱きしめる。


「ごめんね。痛かったよね。ごめんね」


 そう言って泣くソフィアの頭を、ウルティオさんが撫でた。


「大丈夫だよ。この状態なら、修理は可能だ。体は綺麗だし、殆ど全てがアミクスのまま元に戻ると思うよ」

「そっか。良かった。本当に良かった……。皆、本当に、本当にありがとう」


 そう言って、ソフィアはアミクスの頭に顔を埋めた。


 良かった。そう思って、俺はホッと息を吐く。それと同時に、過去の時間軸ではずっと間違えた選択で進もうとしていた事を後悔した。

 自分では見つけられなかった。ずっと被害を最小限に抑えながらアミクスを壊すことが最善だと思っていた。結果として、リトラやソフィアを何度も殺した。

 イグニスベルクの時もそうだ。何か方法があるはずと偉そうなことを言いながら、リトラやゼノに言われなければ自分で方法すら見つけられない。そんな矛盾だらけの自分に嫌になる。


「とりあえず、アミクスを運ぼうか。おじさん一人では厳しいから、皆手伝ってくれるかい?」


 ウルティオさんの言葉に、俺は何も言わず頷いた。




 アミクスをなんとか運んだ後、俺達は各自部屋で休むことになった。今はウルティオさんが、アミクスの中にあるはずの鍵を探してくれている。

 それも、いつも通りであれば明日中には見つかるだろう。としかしあらアミクスが修復不可能なほど壊れていないからもう少し時間がかかるかもしれない。けれども、過去の時間軸のウルティオさんも、メンテナンスでは気付けないがわかりやすい所にあったと言っていたから、きっと見つからないという事はないだろう。


 だから、俺は次に俺が考えるべきことは、神殿でのことだ。しかも次の神殿は、いつもの神殿と勝手が違う。

 いや、俺達を試すという意味では同じかもしれない。次の神殿では誰かの犠牲が必要だと言われ、犠牲になる誰かを選ばなければならない。


 以前神殿に来た時、その文言を見て恐怖と驚きで何も言えなくなった。そんな時、クールな性格だったリトラが言った。


『……私が行きます』


 勿論、俺は止めた。リトラのことを、少しも危険な目に合わせたくなかった。

 けれどもリトラは言った。


『女神様が、本当に誰かを犠牲にするとは思えません。きっと何か助ける方法があるはずです。それなら、戦えない私より、戦える皆さんが残った方がいいはず。それに私は回復魔法が使えるので、何かあれば自分で回復できますし』


 そして、リトラは指定された場所に立った。

 一瞬の事だった。無数の槍が、リトラを突き刺した。守る隙すら無かった。そしていつものように、リトラと出会うあの日に戻っていた。


 あれを見た瞬間、俺は理解した。やっぱり、リトラを少しでも危険な場所に行かせるべきではなかったのだと。

 考えればわかることだった。女神様は、そんな甘い人ではないのだと。

 そりゃそうだ。リンピアナの件と言い、イグニスベルクの件といい、そこにいる住民が危険な目にあう可能性がある魔物を女神様自身が置いている可能性があるのだから。アミクスを壊すことだって、人の心があるようには見えなかった。


 けれども、進まなければいけない。だから、次の行動は決めていた。リトラではなく、俺が犠牲になる事を選ぶこと。

 勿論、死ぬつもりは無い。何が起こるか知っているからこそ、予測して魔法を発動させることができる。乗ると同時かそれより前に、シャドウシールドを発動させればいい。


 けれども、もしそれが失敗したらどうなるのだろうか。この作戦を思い描いてから、その不安は確かにあった。

 防ぎきれる保証は無い。防いだ後も、別の攻撃が来るかもしれない。そしたら、その記憶を持ったまま時間が巻き戻ってくれるのだろうか。

 巻き戻る分にはそれでいい。たとえ巻き戻ったとしても、他の誰かが死ぬほどの痛みを感じてなんて欲しくなかった。たとえその痛みを覚えていたとしても、死ぬ役割は自分でいたかった。……残念ながら、死んだ記憶は無いのだけれど。


 けれども、もし巻き戻らないのであれば。そうしたら、どうなるのだろうか。そう思った後、俺は小さく息を吐く。

 きっと変わらない。だって今の時間軸は、強くて頼れるゼノがいるのだから。リトラだって、ゼノを頼ってる。俺なんかいなくても、問題なく進むだろう。


 一つ前までの時間軸であれば、少し迷っていたかもしれない。俺を好いてくれるリトラを置いて行っていいのだろうかと。

 けれども、幸か不幸か、一番俺に好意を向けてくれていたリトラの時は、神殿に来なかった。そして、俺の事などどうでもいい、自立したリトラの時にここに来た。


 丁度良いのかもしれない。今のリトラであれば無理矢理俺を庇おうとしないだろうし、俺の案に頷いてくれるはずだ。失敗しても、きっと悲しまないだろう。

 唯一の心残りは、両親に妹のメミニを会わせられないであろうこと。流石に俺が死んでまで、俺の願いを叶える選択はしないだろう。もし失敗すれば、それだけは申し訳なかった。


 眠れない。休めと言われて、体は休めているだろうが、心は休まらない。

 俺は大きく深呼吸して、以前の記憶を何度も繰り返した。

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