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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
山の都“✕✕✕✕✕✕”

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74.決心と諦めないこと

「それにしても、ソフィアはどこに行ったのかしら」


 ソフィアに新しい案を説明しに行くと決めた後、リトラがポツリと呟いた。勿論、この流れを経験したことがない俺も、ソフィアの行き先などわからない。

 そんな俺達に向かって、ウルティオさんは口を開く。


「ソフィアは自分の部屋にいると思うよ。嫌なことがあると、たいてい部屋に籠って布団を被っているからね」


 その言葉に、俺たちはソフィアの部屋に向かった。


 けれども、あれだけ泣いていたソフィアの部屋に入れる無遠慮さは持ち合わせていなかった。それは他の皆も同じようで、ソフィの前で顔を見合わせる。


 と、ガチャリとソフィアの部屋の扉が開いた。


「あれ? みんな? どうしてここに?」


 そう言ったソフィアの目は真っ赤で、きっと沢山泣いたのだろうということは、容易に想像ができた。けれどもソフィアの目にはもう涙はなく、いつもの笑顔に戻っていた。


「えっと、ソフィア……」

「ごめんなさい!」


 突然、ソフィアは頭を下げた。


「……あのね、子供みたいな我儘言ってるって、自分でもわかってたんだ。ティオおじさんの言ってた通り、アミクスは全部作られたものだって。だから、私への優しさだって全部プログラムされたもので、だけどそんな優しさに甘えちゃって……。それが、皆からの優しさをダメにしようとしてることっていうのも、わかってるんだ」


 そう言ったソフィアの手を、リトラが優しく握った。


「そんなこと言わないで。ソフィアがアミクスの事をとても大事に思ってるってこと、皆わかってるわ」

「でもね、アミクスも友達だけど、皆も友達なんだよ。初めてできた、本物の友達」


 そう言って、ソフィアはまた少し涙を潤ませながらも笑う。


「それに、忘れてない。私が皆を、女神様の事に巻き込んだってこと」

「そんなことないわ! 私は別にただ……、ほんとに純粋に興味があって……」


 リトラの言葉に、俺も頷く。

 ソフィアが、自分がこの旅に巻き込んだのだと思って悩んでいたことに驚いた。だって……。


「そもそも、願いは俺のためじゃん。それなら、寧ろ俺が皆を巻き込んでるだけで……」

「ううん。違うの」


 けれどもソフィアは、そう言って首を振った。


「違うの。違うんだ。ごめんね、まだ言う勇気はないんだけど、巻き込んだのは私なの。だから……」


 ソフィアは、泣きながら笑った。


「アミクスを、壊していいよ」


 どれだけの決心でその言葉を言ったのだろう。ソフィアの声は、震えていた。

 なのに、ホッとしてしまう自分がいた。今のソフィアなら、俺たちの見つけた作戦を言えば納得してくれる。そう思ってしまう自分がいた。

 そんな自分に嫌になる。自分の描いていた未来を諦めるとは言えないで、その癖他の人の望みを諦めることには安堵して。


 そう思ってしまうと、先ほど皆で決めたことすら何も言えなくなってしまった。そんな情けない俺の代わりに、リトラが口を開く。


「……ソフィア、実はね。私たちもあれから、色々話したの」


 そう言って、リトラは俺の代わりに、アミクスを修理できるように壊す方法があることを説明してくれた。リトラの言葉に、再びソフィアの目から涙が溢れ出す。


「それじゃあ、アミクスの事、まだ完全に諦めなくていいんだ」

「……勿論、確実にそう壊せる保証はないわ。期待させといて、結局無理になるかもしれない。でも……」

「リトラ、ありがと。それはね、ちゃんとわかってるよ。でもね、やっぱり私、女神様のこと何もせずに諦めたくないって気持ちもあって、でもね、アミクス壊すのはやっぱり嫌って気持ちもあって……。だからね、やれることやって、それで無理だったら、きっと仕方ないって気持ちになると思うの」


 ソフィアの言葉に、リトラも優しく笑う。


「そういうことなら、わかったわ」

「俺が絶対にアミクスを上手く壊してやるぜ!」


 横から、ゼノもニッとした顔で現れる。


「うん! 頼りにしてる!」

「てめえに強くしてもらった剣だからな! 安心しろ!」

「私も、回復しかできないけど、後ろでフォローするわ。……まあ、怪我はあまりしないで欲しいけど」

「そりゃ、俺だって死にたくねえしな!」

「もう、皆大好き! ほんと、皆と友達になれて良かった!」


 そんなやり取りに、俺は上手く入れずに見ていた。

 素敵な素敵な友情で、前に進むことを決めるキラキラとした場面。そんな時に、また嫌な感情ばかり浮かんでしまう。


 頼られるのは俺でありたかった。リトラからフォローすると言葉を貰うのは、ゼノではなく俺でありたかった。ずっとずっと、どの時間軸でもその言葉を貰うのは俺だったのに。

 そんな醜い自分に、必死に蓋をする。これ以上、不要な人間になりたくなかった。


「……クロノ?」


 と、何も言わない俺を、リトラが少し心配そうな顔で覗き込む。少しだけ、俺の心が潤った気がした。


「えっ、どうしたの?」


 俺は、なんてことないフリをしてそう言った。こういう時は、下手に言い訳をする方がややこしくなるということは、もう繰り返すうちに理解していた。


「あっ、いや、難しい顔をしてた気がしたの。気のせいならいいわ」

「そう? それより、ソフィアに説明してくれてありがとね。俺が言う流れだった気がして」


 そう言って話を逸らせば、リトラは少し驚いた顔をした後、顔を逸らす。


「べ、別に誰が言うとか決まってなかったじゃない! なによ、そんなこと気にしてたの!? 別にあんたのためじゃないし! ソフィアに言いやすいのは私かなって思って言っただけよ!」


 リトラのツンツンした、照れ隠しのような言葉。これどももう、勘違いはしない。きっと、リトラは自分のために言っただけなのだから。

 それでもいい。自分のために動くリトラの方が、きっと上手く進むのだから。

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