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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
山の都“✕✕✕✕✕✕”

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65.見抜かれたことと見抜かれなかったこと

 結局、あれから眠れたのは4時間ぐらいだった。それでも、太陽が昇ったことに気付かない地下空間だから、眠れたほうかもしれない。

 だいたいは日が昇るころには目が覚めていた。けれども今朝は太陽の光がわからなかったから、いつもよりも眠れた気がする。


 ただ、目が覚めてから素直に食堂に朝食を食べに行ったことを、俺は少し後悔することになる。

 もうすぐお昼の時間になるという頃、リトラは起きてきた。


「よう。随分遅いお目覚めじゃねえか」

「うっさいわね! 昨日は眠れなかったのよ!」


 からかうように言ったゼノに対して、リトラはギロリと睨んでいった。その後、感情の分からない表情で、俺の顔をじっと見る。


「……クロノは、いつ起きたのかしら?」

「えっ? あっ、えっと……」

「朝ごはんの時には起きてたよー。いつもは一番に起きてるけど、今日は私とかゼノの方が珍しく早かった!」

「そう……」


 俺の代わりにソフィアが答えると、リトラは一瞬俺の顔をギロリと睨んだ。けれども、すぐにため息をついて目を逸らす。


「……昨日、眠れないからって、クロノも私と同じ夜遅くまで起きてたのよ。しかも、アミクスが見る限りは、ずっと寝不足の顔をしてるんですって」

「確かに、よく見るとクマ濃いな。なんで寝れてねえんだ?」

「えっ……? あはは、慣れない旅で、緊張してたのかな?」


 ゼノの質問に、俺はなんとかそれっぽいことを言った。それでも皆不安そうな顔で俺を見るものだから、少し申し訳なくなる。


「ちゃんと寝とかねえと、いつかガタが来るぞ?」

「そうだよ! それにここはアミクスがいるんだから、安心して眠るチャンスだよ!」

「つかよ、今日も眠れてねえなら今からでも……」

「おや? どうして皆ここに……?」


 と、聞こえた別の声に、俺は逃げるようにその声の主のほうを見た。


「ウルティオさん!」


 そう言って俺は、過去の時間軸と同じタイミングで来てくれたウルティオさんに駆け寄った。眠くもないのに眠らされて、時間を無駄にしたくなかった。


「クロノ君、久しぶりだね。ソフィアにリトラさんも……。後、もう一人増えているようだけど、新しい仲間かな?」

「はっ? あっ、えっと……」


 ウルティオさんがニコリと笑ってゼノの方を見ると、ゼノはどうしてか一歩後ずさった。隣で、ソフィアが満面の笑みで答える。


「うん! ゼノって言うの! イグニスベルクで仲良くなったんだよ! 最初は魔石とか嫌ってたんだけど、今では理解して受け入れてくれて、魔石を使った剣も使ってくれてるんだ!」

「ほう。イグニスベルクの……。あそこはなかなかに魔力に対する忌避の感情が強いと思っていたが……。受け入れてくれて嬉しいよ」

「あっ、いや、別に、あいつ……、その、魔力持ちにもクロノみたいなお人よし野郎もいるって知ったし、誰かを守るためなら魔力持つのも悪くねえっつうか……。とりあえず、俺だけじゃねえ、イグニスベルクの奴らはクロノに感化されちまったってだけっす」

「そうか。クロノ君が……」


 そう言って、ウルティオさんは俺をじっと見つめた。


「凄いね、クロノ君は。私はイグニスベルクの人たちとは一生分かり合えないのだと思っていたよ」

「あはは。俺は、きっと分かり合える道があるって信じて、必死に探しただけです」

「分かり合える道、か。まるで君は……」


 ウルティオさんはそれだけを言って、口を閉じた。そして、ニコリと笑った後、何もなかったかのようにゼノの方を見た。


「ゼノ君、だね。私はウルティオ。ソフィアと一緒に、魔道具の研究をしています」

「あっ、えっと、ウルティオ、さん……、の事は、ソフィアからクソほど聞いてます……」

「あはは。そうか。想像がつくよ」


 ウルティオさんはそう言って笑った後、まじめな顔で俺たちを見た。


「この状況を見る限り、やっぱり2つ目の神珠はイグニスベルクにあったのかな。そして、3つ目の神珠は……」

「そうなの! ここのあったんだよ! 神珠がここって教えてくれたの!」


 と、ソフィアが大きな声でウルティオさんにそう言った。


「神珠の光がね! ぷつんって消えたの! それでね! それでね!」

「ソフィア、待って。とりあえず私の荷物を置きに行きたいんだけど、いいかな? そうだ、一緒においで。歩きながら聞くよ」

「うん! わかった!」


 ウルティオさんはソフィアに向かってニコリと笑った後、俺にだけ聞こえるようにこっそりと言った。


「後で、クロノ君から何があったか聞かせてもらえるかい?」

「あはは。はい、勿論です」


 俺がそう言えば、ウルティオさんはニコリと笑った後、後ろにあった荷物をもって、ソフィアと一緒に消えていった。


 ウルティオさんが見えなくなった後、ゼノが俺に話しかける。


「……あの、ウルティオってやつ、おまえに何言ったんだ?」

「あっ、後でこれまでの冒険の事を教えてって。前もそうだったんだけど、ソフィアの説明壊滅的にわからないみたいで、俺が代わりに説明したんだ」

「……そうか。それなら大丈夫か」


 そう言いながらも、ゼノは眉間にしわを寄せながら、ウルティオさんの去っていったほうを見た。そんなゼノに、俺は過去の時間軸と同じ質問を投げる。


「……ゼノは、ウルティオさんのこと、苦手?」

「……ああ。なんかその、だな。笑顔のくせに人を陥れるようなクソみてえなこと考えてた貴族の奴らに似てる気がしてよ」

「ウルティオさんはそんなことないと思うよ。実際話したら優しかったし、ソフィアの事を育ててくれた人って聞いてるし」

「そうか、ソフィアの……。まあ、そうだよな。俺が敏感になってるだけかもしれねえ」


 そう言いながら、ゼノは小さく息を吐く。

 どうしてゼノがそう感じたのかはわからない。けれども、俺は二人が仲良くなってくれたらよいと思う。

 それに……。


「はぁあ! この世がてめえみたいなクソまっすぐでお人よし野郎ばっかだったら、誰も疑わなくて安心していられんだけどな!」


 ゼノは過去の時間軸と同じように、そう言った。

 確かに俺は、誰かを陥れる事なんて考えたことはない。けれども、未来を知っている俺の行動はすべて演技で嘘で、俺の望む未来に誘導している点ではゼノの言う貴族と同じだろう。

 そんな俺を見抜けないのだから、ウルティオさんのことも勘違い。そう思えてならなかった。

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