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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
山の都“✕✕✕✕✕✕”

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60.言い伝えと矛盾

「……はあ、まだつかねえのかよ」


 ゼノが汗を拭きながらそう言ったのは、イグニスベルクを出てから数日が経った頃だった。

 ゼノの言葉に、誰も何も言わない。正確に言えば、何も言う余裕などなかった。


 俺達が歩いている所は、木々も無くなった岩肌の道なき道。しかもずっと上り坂なものだから、休憩の頻度は増やしているけれども、限度はあった。

 けれども、いつも通りであればそろそろ視界が開けるであろうことを、俺は知っていた。


 と、一番前を歩いていたソフィアが止まる。そろそろかと、俺も顔を上げる。


「着いたよ」


 そう言ったソフィアの言葉と同時に、視界が広がる。

 見えたのは、集落、ではなく、集落だったような場所。そう思えるのは、かつて建物があったように、レンガが四角を描いて崩れているから。

 実際本当に集落があったということは今後のソフィアの説明で分かるが、初めてここに来た時の第一印象もそうだったことを覚えている。


 けれども、その前にやることがあった。ソフィアが、不安そうに俺の鞄を見つめている。


「えっと、神珠は……」

「あっ、そうだったね」


 ソフィアの言葉に、俺は今気付いたかのように神珠を取り出した。

 神珠が指す光は、まっすぐその集落だった場所を示していた。そして、俺が少し前に進むと、神珠から出ていた光がプツリと消える。


「……イグニスベルクの時と同じだとしたら、神珠はここにあるのかな」

「そっかあ。神珠はここにあったのかあ。こんなにも長くいたのに、気付かなかったなあ」


 そう言いながら、ソフィアは自分の体をくるりと俺たちのほうに向け、手を広げる。


「ようこそ! 私の故郷、フォッシリムへ」

「……は?」


 ソフィアの言葉に、一番最初に声を上げたのはゼノだった。


「え、ここがおまえの故郷? つか、フォッシリムって、どこかで聞いた気が……」

「……馬鹿ね。女神様が見せてくれた映像に出てきたじゃない。エウレさん達が魔力なしの人たちをかくまってた場所よ。だけど、国がフォッシリムを攻めようとしてる、で、終わってたわよね」

「そういえば、そうだったっけか。よく名前まで覚えてんな」


 ゼノの言葉に、リトラはきっと照れたのだろう、ゼノから目を逸らす。


「べ、別に! それぐらい、覚えられるわよ……」

「すげえな! 俺、勉強はからっきしダメだったからよ」

「そっ、そうかしら? まあ、その、私もそこまで勉強ができるわけではないから、たまたまよ、たまたま……」


 そんな仲良さげな二人のやり取りに、俺は思わず目を逸らす。けれども深呼吸して、前と同じ情報を聞き出そうとソフィアのほうを見た。


「あの映像に出てきた場所が、ソフィアの故郷だったんだね。でも、知ってる歴史と違うって……」

「うん。私、ティオおじさんからね、フォッシリムは女神様が魔力なしのために作ってくれた場所だって聞いてたの。でも、そうだとしたら、エウレさんとコンコルスさんが作ったっていうあの映像と、辻褄が合わないというか……」

「その、エウレってやつが女神様、ってことじゃねえのか?」


 ゼノの言葉に、ソフィアは首を振る。


「あのね、国がフォッシリムを攻めたって話は歴史として聞いてるんだ。この瓦礫もその時のなんだって。でもね、女神様は強い魔法も使えて、それで国から守ってくれたって」

「……だけど、エウレさんは回復魔法しか使えない、だったっけ」


 俺の言葉に、ソフィアは頷いた。


「そうなの! だったら、強い魔法はもしかして映像に出てきた兵器なのかなって思ったんだけど、もしそうだとしたら、私たちのご先祖様は、その兵器を使ったのかなって……。そう思うと、ちょっと悲しいというか申し訳ないというか……」

「だから、言うか迷ったの?」


 俺の言葉に、ソフィアが一瞬固まったのを、俺は見逃さなかった。そして、ソフィアが何かをごまかすのと同じように、目をきょろきょろさせる。


「うっ、うん……。まあ、そんな感じ……」


 ソフィアの様子を見る限り、きっとまだ何か隠しているのだろう。けれども、過去の時間軸で聞こうとしたとき、ソフィアは少し顔を青くして震えていた。だからこそ、これ以上は聞かないと決めている。

 ただ問題は、恐らくソフィアが何か隠しごとをしていると、リトラとゼノも気付いていること。だから俺は、誰も言葉を挟めないように、すぐに言葉を続ける。


「別に兵器を使ったのはソフィアじゃないでしょ? なら、もし本当にソフィアのご先祖様が兵器を使う選択をしても、別にソフィアを責めるとかしないよ。それに、あの歴史を見てると、完全にその行為を否定できない気持ちもあるし」


 俺がそう言えば、ソフィアはパッといつものソフィアの笑顔に戻り、早口で話し始める。


「そ、そっかあ! よかったあ! あっ、それにね! 他にも矛盾があって、神珠を各地に置いて願いを叶える伝説を作った女神様がいるのも、本当に神珠があったから間違いないんだよね。しかも、女神様が見せた映像にフォッシリムが出てきてるから、ティオおじさんの言う女神様と同じ女神様だとは思うんだけど、そう思うとまたわかんなくなって……。イグニスベルクに残ってた伝説はエウレさんっぽいけど、リンピアナに残ってた伝説は強い魔法を使う女神さまっぽいし……。そもそもエウレさんは、なんでも願いを叶える力なんてないって考えたら、他に女神様となる人がいた……? とか」

「……それは、今考えても仕方ないんじゃないかしら? きっと次の場所で、……この場所がどうやって守られたかわかるわ」


 リトラの言葉に、ソフィアは確かにと頷く。


「確かにそうだね! ということは、次の神珠の場所を探すぞー! おー!」


 ソフィアの言葉に、俺も思わず笑顔になる。

 勿論、まだ過去の時間軸で神珠を手に入れ映像を見たことはない。けれども、直前まではたどり着いている。そして、その時どうすべきか、俺なりの答えを既に導き出している。


 上手くいくかはわからない。けれども、きっと大丈夫。

 そう願うしかなかった。

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