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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
岩の村“イグニスベルク”

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56.正直と隠し事

「……なんか、数日前の俺とおまえらに似てるな。まあ、これはもっと壮大な話だったけどよ」


 映像が途切れた後に最初に呟いたのは、ゼノだった。


「ちょっと前の俺だったら、王都毎ぶっ飛ばせって意見に同調してたけど、てめえみたいな魔力持ちもいるって知っちまったから、単純にそう言えねえぜ」


 そう言って、ゼノは俺に向かって困ったように笑う。


「あはは。まあ俺は生まれつきの魔力持ちじゃないけど」

「でも、てめえを見てたら、他にもいるって期待しちまうんだ。んで、そいつらを殺したら、それこそ俺は悪人になっちまう」

「……それは、俺もそう思う」


 ゼノは、今まで悪い魔力持ちしか知らなかった。だから、魔力持ちが絶対的な悪に見えていたのだろう。

 それはイグニスベルクの人たちも同じ。だからこそ、ダイヤスネイクとの戦いで、そうでない魔力持ちもいることを知ってくれて、魔力持ちというだけで敵とみなすようにならなくなったのだと俺は思っている。


「……でも、あの装置は実際に使われたのかな」


 俺は、いつものようにそう呟いた。別に、何か意図があるわけではない。

 3つ目の映像を、俺はまだ見ていない。だからこそ、この先に何が起こったのか、俺は知らないのだ。


 俺の純粋な疑問に、ゼノも真面目な声で答える。


「……どうだろな。街一個ぐらい滅んでても、国は隠蔽してそうだし」

「だよね。唯一言えることは、魔力持ちが力を持つ権力の構造は、変わらなかったって事だけど……」


 そう言いながら、俺はソフィアの方を見た。ソフィアは一人、ぶつぶつと考え込んでいる。

 ソフィアが考え込んでいるのは過去の時間軸と同じのこと。その理由はもう少し後に教えてもらえるだろうが、念のためいつもの時間軸と同じようにソフィアに質問を投げかける。


「ソフィアは、何か知らない? あの装置がどうなったか」


 俺がそう尋ねても、ソフィアは俺の声が聞こえていないのか、ずっと何かを考え込んでいた。そんなソフィアの顔の目の前で、俺は手をひらひらと振る。


「ソフィア……? どうしたの? 考え込んで?」

「へ……? あっ、ごめん! 考え事してた!」


 ソフィアは一瞬びくりと体が跳ね、俺から一歩離れる。


「何か気になる事でもあったの?」


 俺がそう尋ねると、ソフィアは少しごまかすようにきょろきょろとしながら目を逸らす。


「あっ、えっと、なんでもない! あはは……」


 そう言ったソフィアが何かを隠しているという事はバレバレで、隣にいたゼノも不審な目でソフィアを見ていた。

 そんな目に気付いたのか、ソフィアは頭をかきながら口を開く。


「あっ、えっと……。ちょっと私の知ってる歴史と違うというか……。えっと、うん……。ごめん、もう少し頭の中で整理させてから話させて」


 その言葉に、俺はソフィアを安心させるように笑顔で頷く。


「わかった。ただ、整理できたら教えてくれると嬉しいな。女神様の伝えたい事を知るためには、この世界の事を少しでも知っておいた方が良さそうだし」

「うん。わかった。近いうちに話すね」


 そう言って、俺は部屋の真ん中に浮かぶ赤い神珠を見る。


「とりあえず、神珠を持って戻ろうか。次の行先もわかるだろうしね」


 俺がそう言えば、他の三人も頷いた。その反応を見て、俺は赤い珠を取る。

 すると、リンピアナの時と同じように一本の光がまっすぐ伸びた。


「これが、次の行く方向だっけか?」


 ゼノの疑問に、俺は頷く。


「そうだと思う。少なくともイグニスベルクには、前回取った青い珠に導かれてここに来たから」

「んで、2つ目の神珠があったなら、もう間違いないだろうな。でも、ここじゃ北か南かもわかんねえか」

「とりあえず出ようか」


 俺の言葉に、皆頷く。そして、俺達は神殿を後にした。




 俺達が神殿の扉を開けると、勢いよく立ち上がるアルカルさんが見えた。アルカルさんは、恐らく俺の少し後ろにいたゼノの方を見たのだろう、ほっと息を吐いた後、俺達全員を見て、それから近付いて来た。


「……無事だったか」


 アルカルさんの言葉に、ゼノは笑う。


「ああ、じじいなんて必要なかったぜ。まっ、強い敵とかはいなかったけどな」

「……夢を見せられるんだったか。ということは、全員目を覚ましたのだな」


 アルカルさんの言葉に、ソフィアは目を逸らす。


「あっ、えっと……。私に関しては、クロノに精神介入してもらって無理矢理起こされたというか……」


 その言葉に、アルカルさんは思わず吹き出す。


「貴様は正直だな。まあ、無事だから笑える話ではあるだろうが」


 そう言いながら、アルカルさんは俺の手元にある神珠を見た。


「……本当に、あったのだな」

「はい。そして、次の行先も示してくれています」


 アルカルさんは、光を出している神珠をじっと見つめる。


「その方角は……、いや、一度外に出よう」


 アルカルさんがそう言えば、ダイヤスネイクも後ろから静かに俺達の元に近付いて来た。そして、暫くじっと見つめた後、元来た穴の方へ向かう。

 穴は一方通行で、決して迷うことはないだろう。けれどもどの時間軸でも、ダイヤスネイクは帰り道を案内してくれる。


 ダイヤスネイクは、ネロデルフィン程感情はわからない。けれども、これはダイヤスネイクなりに俺達を慕い、心配してくれているような気がして、少しだけ心が温かくなった。

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