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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
岩の村“イグニスベルク”

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51.待つ者と進む者

 ダイヤスネイクが俺達を連れて行った場所は、昨日俺達がダイヤスネイクと戦った場所だった。

 ダイヤスネイクは、傾斜の大きくなっている地面を暫く見つめた後、一点を掘り始めた。


 いや、性格には土を食べていると言った方が正しいのかもしれない。

 土は口の中に入っていき、それによってできた穴をダイヤスネイクの巨大で硬い体が通り過ぎることで周囲が圧縮され、崩れないトンネルとなる。

 そして、俺達はそのトンネルをダイヤスネイクの後に続き通っていく。


 と、コツンと何か硬いもの同士がぶつかる音がした。ダイヤスネイクが少し後ろに下がったので、俺達も少し後ろに下がる。すると、ダイヤスネイクは正面に向かって突進を始めた。


 何かが崩れる音がした。ダイヤスネイクが先に進み、その後に付いて行くと、そこには岩壁に囲まれた広い空間が広がっていた。

 そしてその奥には、恐らく神殿の入り口であろう扉が見えた。


「マジかよ。こんなとこがあったのかよ」


 ゼノが驚いた表情をしながらそう言った。

 と、アルカルさんがピタリと足を止める。


「ここからは、貴様らで行け」

「は? じじいは来ねえのかよ」

「おまえは俺に来て欲しいと願うか?」


 その言葉に、ゼノは少し気まずそうに頭をかく。


「べ、別にじじいなんかいなくても、俺達だけで平気だっつーの」

「なら良いだろう。俺はこやつとここで待つ」


 そう言って、アルカルさんはダイヤスネイクの体を撫でた。そんなアルカルさんに向かって、リトラは口を開く。


「……待つのは、怖くないのですか?」


 リトラの言葉に、アルカルさんは少し困ったように笑った。


「怖くない、と言えば、嘘になるな。もし貴様らが帰ってこなければ、己を責めるだろう。もし貴様らに付いて行き己の手で守ればと、死ぬまで後悔し続けるだろう。でも、そうだな。俺が待つという選択をした理由を答えよう」


 そう言って、アルカルさんは少し厳しい目をして俺達を見た。


「貴様らは、ここだけではない、これからも、女神の神珠を、そしてこの世のあるべき姿を追い求めるのだろう? そして、恐らくこの神殿は、試練の一つだろう。その神殿を俺が手助けして乗り越えられたとしても、次は乗り越えられるとは思えない。寧ろ、自分達で乗り越え成長する機会を奪い、悪い未来を作り出してしまうかもしれない。ならば、俺は信じて待ち、貴様らが一回り大きくなって帰ってくることを願う。それに……」


 アルカルさんは、優しい目をしてゼノの方を見た。


「帰る場所があれば、そして待ってくれている人がいると思えば、生きたいとあがくだろう?」


 そんな言葉に、ゼノは大きく目を見開き、そしてニッと笑う。


「じじいを悲しませるわけねえだろ? 信じて待ってろ!」

「ああ、待っている」


 アルカルさんにとって、きっと一番生きている事を望んでいるのはゼノなのだろう。ここの後継を任せたいと言っていた程だ。それ程までにアルカルさんはゼノを信じているのだろう。

 アルカルさんはゼノの頭を撫でた後、再びリトラの方を見た。


「でも、そうだな。この待つというのは、老いぼれの役目だ。貴様は俺とは違う。貴様には、貴様なりの役目がある」

「役目……」

「対等な仲間としての役目だ。本音と感情をぶつかり合わせてこそ、見える何かがある。俺みたいなじじいが本音と感情をぶつけても、対等じゃない相手では潰すだけだからな。対等な立場でないとできないことだ」

「本音と感情……。そんなの……、一度も……」


 リトラはそう言って、俯いた。けれどもすぐに、顔を上げる。


「ありがとうございます」


 そう言って、リトラは俺の方を向いた。そして、口を開いて、そして何も言わないまま閉じた。


「……まずは生きて帰ることが最初よね」


 そう呟いて、今度は俺とソフィア、そしてゼノを見る。


「神殿に入る前に、一度確認しましょう。今度は何を見せられるか、わかんないわ」


 その言葉に、確かにと俺も頷いた。次の場所は、前回よりも危険だ。抜け出せなければ、一人ずつ精神介入したとしても間に合わない。


「……でもよ、確認って言っても、何が起こるかわかんねえんじゃ」

「強さと正義。それがリンピアナで、ディゼおばあさんが言っていた事よ。そして、私たちは夢を見せられて、それぞれの大切な人が悪い事へ誘惑してきた時、その大切な人を殺して夢から出たの」

「そっか! そう言えば、アルカルさんも何か聞いたって言ってたよね!」


 ソフィアの言葉に、全員でアルカルさんの方を向けば、アルカルさんは頷いて口を開いた。


「強さと、冷静さだ」

「冷静……。くそっ、俺、すぐ感情的になっちまうからな……」


 そう言って頭を掻くゼノの肩を、リトラは掴む。


「それなら、ずっと唱えておきなさい? これから見えるものは全て偽物だって。そして、深呼吸して、冷静に何をすべきか考えるの。どう? できる? できないなら、あんたはアルカルさんと待ってなさい。……守ってくれるって言うから認めたけど、足引っ張るようならいらないわ」

「……いや、一緒に行く。わりぃ」


 ゼノの目もまた、真剣な目になる。

 実際、リトラの言葉は正しくて、これから起こることは冷静に何をすべきか考えなければいけない。


 今のゼノを見ていると、もしかしたらという希望が湧く。そうすれば、後はソフィアをどうにかすればいいだけだ。

 いや、今までと変わらなかったとしても、俺はやるべきことをやるだけだ。俺は心の中で、そう唱える。


 そうして、俺達は扉の前に立った。そしてゆっくり、扉を開いた。

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