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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
岩の村“イグニスベルク”

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44.知ってる人と知らない人

 一連のやり取りが終わった頃には、もう夜も明けかけていた。

 ここに俺達がいることを、他の人たちに気付かれてはいけない。だから俺達は再び外に出て時間を潰し、夜にここに来ることとなった。


 いつも通りであれば、次の日にアルカルさんが先代から聞いたという、神珠のある場所に案内してもらうことになっている。そこではまた色々と問題が起こるのだが、それを俺が知っているのはおかしいので、被害を最小限にするのが俺の役目だ。

 そのために、俺はゼノを呼んで、リンピアナであったことと、これから起こることを憶測で話せるレベルで伝えた。


「ふーん。その、エウレっつう回復魔法持ちと、コンコルスっつう魔力の少ない第三王子? が、魔力無しのために、ねえ。それが女神の伝えたい事ってか」

「そうだね」

「聞いてるだけじゃ目的は全然わかんねえが、その、コンコルスってやつ、第三王子って身分で、相当苦労したんだろな」


 そう言ってゼノは、少し何かを思い出すように、遠くを見た。きっと、ゼノのお兄さんの事を思い出しているのだろうことは、容易に想像が出来た。


「んで、てめえらが神珠手に入れた時は、クソやべえ魔物が出てきて、しかもはらわた煮えくりかえるような夢を見せられたってか」

「……ここでは、過去に強い魔物が襲ってきたみたいな話は無いの?」

「ねえな。だから何もねえと信じてえけど」


 ゼノも、少し不安そうな顔をしていた。

 実際、今回もまたその魔物は現れる。そして、それは勿論、イグニスベルクの人たちを巻き込んでしまうことにもなる。


「……いいのかな。このまま進んで」


 俺はいつもの時間軸と同じことを、ゼノに言う。勿論、可能な限りズレを起こさないためではあった。

 けれども同時に、全てが終わって少し荒れてしまったイグニスベルクを見るたびに、本当に俺達の進む道が正しいのかどうかわからなくなっていく。


「はっ、らしくねえな。俺の事を誘っておいて、今更かよ」

「……そう、なんだけど。俺達の我儘で、ここの人達を巻き込んでいいのかなって」


 そう言えば、いつもゼノは俺の背中をおもいっきり叩くのだ。


「巻き込む、かもしれねえ、だろ? 今、うじうじ言ってもしかたねえ。それに、じじいも何かあれば責任取るから進めって言ってただろ? ほんと、てめえは変なとこで気を遣うよな」


 そう、アルカルさんにもこれから起こりうる危険性を伝えはしたが、責任を取ると言ってくれている。けれどもそう言ってくれる理由は、かもしれない、程度だからだろう。

 けれども、もしその何かが起こる未来が確定事項だとわかっていたのなら、皆はどんな判断をするのだろうか。もしかしたら、やめてくれと言われるのではないか。そう考えてしまうのだ。


 何も言わない俺に、ゼノは真面目な顔をして俺を見る。


「それに、一応は、その……、女神も魔道具? とか使って、俺達の環境良くしてくれようとしてたんだろ? なら、その女神の考えてること知りてえよ。もしこの現状変えられるなら、尚更な」

「そう、だね」


 そのゼノの言葉に、俺はズルズルと進む方を選んでしまう。だからこそ、責任は取らなければいけない。

 大丈夫。俺が上手くやれば被害は最小限で済むはずなのだ。


 今回は、ゼノも一番俺を信頼してくれていることが、言動から伝わる。勿論、それに伴うズレはあるかもしれない。けれどもきっと大丈夫、そう信じるしかなかった。




 次の日の夜、アルカルさんに案内されたのは洞窟の中だった。昼間は鉱石が採掘される場所を、ランプ一つで歩いていく。


「凄い、凄い! ほんとによく見たらちょっとずつ鉄鉱石が生まれてる!」

「ソフィア、静かにね」

「うっ、だって~!」


 ソフィアが、ルーペのような何かを持って鉱石が生成される所を眺めるのもいつものこと。


「ついたぞ、ここだ」


 その言葉に、全員が立ち止まり、息を呑むのもいつもの事。


「……マジかよ。こんなとこがあったのかよ」


 隣で、ゼノがポツリと呟く。

 アルカルさんがランプで照らした先にあったのは、まるで宝石のようにキラキラと輝く、透明なごつごつとした壁だった。透明と言っても、反射して奥は見ることができない。そしてその真ん中に、石板がはめられていた。


「先人は、ここに一つ目の神珠を持って立てば、次が現れると言った」

「壊そうと思ったやつはいねえの?」

「無駄だ。剣が折れるだけだ」


 アルカルさんは、笑いながら言う。


「……もしかして、じじい、試し済か?」

「……ゼノ。こやつらがいない時に、ここの話を聞いたらどうする」

「……まあ、壊そうとするな」

「……そういうことだ」


 そのやり取りを少し微笑ましく思いながらも、俺はまっすぐにその石板を見る。アルカルさんが、進めと俺に指示をする。

 ここからは、気を抜けない。そう思って深呼吸をし、俺は神珠を取り出して石板の前に立った。

 瞬間、青い神珠が光り出す。


 瞬間、大きな音と共に全てが揺れ始めた。


「ハッ、マジかよ。そうくるか」

「想定外と言うべきか。こやつらの話を聞く限り、想定内と言うべきか」


 目の前に現れたのは、少し前まで壁だと思っていたものに覆われた、こちらを見下ろす蛇の魔物だった。

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