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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
岩の村“イグニスベルク”

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32.無理矢理と話し合い

「ここは神からすら見離されたクソみたいな運命を持った奴らのたまり場だ! そんなところに神珠なんかあるはずねえ!」


 ゼノがそう言った理由を、俺は知っている。けれども知らないフリをして、俺は真面目な顔でゼノに問いかける。


「……ここは、どういう場所?」

「はあ? 知らずに来たのかよ! 呑気な野郎だな!」

「あはは。ごめんね。良かったら、教えて……」

「別にこいつから聞かなくてもいいんじゃないかしら」


 そう言って俺の腕を掴んだのは、リトラだった。


「はあ? なにを……」

「別にどうだっていいでしょ。リンピアナの時もそう。こいつは最初から私達の話を聞く気はない。なら、私達だってこいつの話を聞く必要はないわ」


 今回の性格のリトラもそうかと、俺は苦笑いする。リトラはどうしてか、ゼノをやたら毛嫌いしているのだ。

 俺は、リトラを落ち着かせようと口を開く。


「でもね、リトラ。俺達はこの場所の事知らないし、俺達が話を聞こうとしない限りは聞いてもらえないよ」

「別にこいつじゃなくてもいいでしょ。それより、すぐに私たちに襲い掛からず話を聞こうとしてくれたこのおじさんの方が、よっぽど話を聞いてくれそうよ」


 そう言ってリトラが、ゼノの隣にいた男の服の裾を掴む。その瞬間、男は鼻の下を伸ばしながら、機嫌良さそうに笑った。


「だはは! このお嬢ちゃんは、ゼノよりもおじさんがいいか! そうかそうか! なんの話かはよくわからんが、わかる事ならなんでも答えてやろう!」


 この展開は、一つ前の人懐っこいリトラの時と同じやり取りだ。まさか今のリトラも同じことをするとは思っていなかったけれども、確かにリトラのいう事は理に適っている。

 ただ、俺はどうしても、その男に聞きたいという気持ちは起こらなかった。だって仕方がない。この人は、どうせ女神の伝説の話を全く知らないのだから。だからゼノに騒いでもらって、とある人が現れてくれるのを待つ方がいいのだ。

 ……決してリトラにデレデレしている姿に腹が立っているわけではない。絶対に。


「じゃあ、どこか静かな場所に行きましょう? こいつのいない所がいいわ」

「おう! 案内してやる!」

「ありがと。クロノ、ソフィア、行こ」

「えっ!? あっ、うん! そだね!」


 ちょっとそれは予想外だと、俺は焦る。いつもは、俺かリトラがゼノと言い合って、それで騒ぎを聞きつけたあの人が現れるのだ。

 けれども、ここで断るのも不自然だ。ならば、なんとかあの人を呼んできてもらうよう、穏便に話を付けるしか……。


 そう思っていた時だった。


「ここにはねえって言ってんだろ」


 そう、ポツリと言ったゼノの言葉に、俺の背筋は震えた。リンピアナで何度もゼノと戦ったからわかるのだ。


「シャドウ シールド!」


 俺がシールドを展開したのと、ゼノが短剣を抜いた音が聞こえたのは同時だった。

 間に合った。けれども気を抜いてはいられない。


「同じ手にはやられねえよ!」


 ゼノは飛び上がり、シールドを避けて俺の頭上から切りかかろうとする。


「ダーク ボール!」

「っ、くそがあ!」


 ゼノは空中で背中に背負う大きな剣でダークボールを受ける。


「ダーク チェイン!」


 俺はその隙を見て、ゼノの片足を黒い鎖で掴む。けれどもゼノも体をねじり、短剣をこちらに投げつけた。


 流石に間に合わないかと、隣にいたリトラを庇う体制に入った時だった。一本の矢が、ゼノの短剣をピンポイントで弾く。ソフィアの弓だろう。

 俺はゼノがソフィアに気を取られている隙に、鎖でゼノを縛り付けた。


 瞬間、俺は我に返る。そしてやってしまったかと焦りが生まれた。

 見渡せば、憎しみのこもった目で俺達を見る、無数の目がそこにはあった。


 どうせいつかは、魔力持ちだとバレることになる。けれども、少なくとも彼らの仲間であるゼノを力で痛めつける姿を見せたくはなかった。


「……なんだ。おまえらゼノの知り合いだから俺達と同類と思ったが、魔力持ちか。しかも強い部類の」


 話を聞かせてくれると言った男が、嫌悪感を持った目で俺達を見る。そんな様子に、リトラは顔を青くして男の方を見る。


「待って、違うの! 私たちは……」

「ハッ、魔力持ち様が俺達を笑いに来たか?」

「違っ、そういうつもりじゃ……」

「なんの騒ぎだ」


 と、低い声と一つの足音が、俺達に近付いて来た。その声に少しだけホッとしつつも、いつもと同じ状況に進んでくれるのか、俺は少し緊張する。


「ア、アルカル様……」


 そう呼ばれた男は、背中に大剣を抱え、髭を生やした男だった。ここにいる誰よりも大きく、先程話していた男が小さく見えるほどだった。


「……貴様らは」

「えっと、俺達は……」

「じじい、そいつらの話を聞くんじゃねえ!」


 ゼノの叫びが、アルカルさんの足を止める。縛られた状態のゼノをチラリと見て、そして再び俺達を見た。


「……貴様らは、俺がゼノを離せと言ったら、どうする?」

「かまいませんが、俺達に襲い掛かるのをなんとかしてくれますか?」

「なるほど。あくまで正当防衛ということか」


 アルカルさんは少し考えた後、俺をまっすぐ見る。


「なんとかしよう」


 その言葉を聞いて、俺はゼノの鎖を離す。その瞬間、ゼノは俺達に切りかかる。


 瞬間、聞こえた金属音。それと同時にゼノは吹き飛ばされた。

 何があったかなんて見えなかった。ただアルカルさんがいつの間にか大剣を抜き、俺達の前に立っていた。

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