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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
湖の村“リンピアナ”

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23.人と神

 俺達が神殿の外に出ると、ネロデルフィンが待っていた。俺達の姿を見つけると、ネロデルフィンは嬉しそうに鳴いて海の中を泳ぎ、そして泡を出す。その泡は、ここに来た時と同じように神殿を覆う何かにくっつき入り口を開けた。

 ソフィアがそれを見て、助走をつけて泡の中に飛び込んだ。俺とリトラも、それに続く。そうして俺達は再び、湖の上へと戻った。




 村に戻ると、真っ先に駆け寄って来たのは村の子供たちだった。俺の魔法を見せた時と同じように、キラキラした目で俺を見る。


「ねえねえ、兄ちゃんたち、神珠を手に入れに湖の底に行ったって、ほんと!?」

「帰って来たってことは、無事ゲットしたの!?」


 子供たちの声に圧倒されながらも、俺は周りを見渡す。大人たちも、子供たちのように近付いては来ないが、興味津々の目でこちらを見ていた。

 俺は、見せるぐらいならと、神珠を取り出す。


「これだよ」

「すげー! でもなんか、思ったより普通の珠だな! なんか弱そうなビームが出てるくらいの!」

「でも、これ4つ集めると、お願い事叶えてもらえるんでしょ!? やっぱり凄い珠だよ!」

「確かに! 俺もいつか叶えて欲しいな! 兄ちゃん、姉ちゃん、どんな冒険したの!?」

「あっ、ええっと……」


 俺が困っていると、一つの足音が俺に近づいてきた。


「まずは休ませてやらんかい。大冒険から帰ってきたところじゃろ」


 ディゼルナさんがやって来て、子供たちをたしなめてくれた。今はもう来てくれるとわかってはいたけれども、最初はホッとした記憶があった。冒険で見た話を、子供たちに話しても良いかという判断を、当時の俺はできなかった。

 ディゼルナさんの言葉に、子供たちは少し拗ねた顔を見せながらも、しぶしぶ了承する。そうして俺達は再び、ディゼルナさんの自宅に戻った。


「……しかし、本当にあったとはのう。ワシも伝説を伝える者を見極める役割を担っておったが、半信半疑じゃった。なにせ湖の底に行く方法なんて、水魔法を使うワシでも検討などつかんかったからのう」


 家の中で、ディゼルナさんはお茶を出しながら、ポツリと呟いた。


「冒険の話を、聞かせて貰っても良いかの」


 ディゼルナさんの言葉に、俺達は頷く。

 それから、俺達は神殿の中で見た内容を話した。幻覚を見せられていた内容は誰も少ししか話さなかったけれども、それはディゼルナさんも察してくれたのか、深くは聞かれなかった。


 一通り、エウレさんの記憶らしきものも含めて話し終えると、ディゼルナさんは少し難しい顔をして俺達を見た。


「……全ての真実が明らかになるまでは、どんな冒険をして何を見たか、誰にもしない方が良いかもしれんのう」

「ええっ、なんで!? 意地悪な貴族の話も駄目!?」


 ディゼルナさんの言葉に、ソフィアは驚いた声を上げた。


「やめておいた方がよいじゃろなあ。このリンピアナで、村を助けた女神様の話が好まれているのは、圧倒的な力を持つ、自分達ではどうにもならない化け物を、神のような見たことのない方法で倒した救世主だからじゃ。しかし、ネロデルフィンは洗脳されていたことが明らかになった。しかも実際は、あんなに人懐っこく賢い生き物じゃった。だから既に何人かは思っておる。伝説に出てきた女がネロデルフィンを操り、倒すふりをして自身を女神に見せたのではないかと」

「えっ!? いや、確かにその可能性はあるかもしれないけど……。でも、それと冒険の内容は別じゃん! 皆歴史を知らなさすぎるから、あのムカつく貴族の話を知って欲しいし、世界を良くしようとしていたエウレさん達がいたってことも知って欲しいよ! 女神様の話なら、皆聞いてくれるよね!?」

「逆に、こう思う者もいるかもしれんのう。それを誰かに伝えるために、リンピアナに住む人間は都合良く使われたと。戦いに巻き込まれて死んでも良かったと。中には女神様を恨む人もおるかもしれんのう。それ程までに、お主らの話は神を連想するには生々しい」


 ディゼルナさんの言葉に、ソフィアは俯いた。実際にその通りで、もし一歩間違えたら、リンピアナにいた住民に大きな被害が出ていた可能性だってあった。俺自身も、女神様のやり方に納得がいっていない部分もあった。

 まだ少し納得のいかない顔をするソフィアに、ディゼルナさんは優しく諭すように言う。


「女神様が、何を伝えようとしているのかは、まだわからない。もしかしたら、何か世界のためを思ってやったのかもしれぬし、お主らの仮説通りどんな魔力でも生きやすい世界を望んでいたのかもしれぬ。実は願いを叶えるということをエサに、悪いことを企んでいるのかもしれないしな」

「そんな、女神様に限ってそんな事はないもん!」

「わからんじゃろう? それほどまでに、情報が無さすぎる。そして、情報が無いという事は、それだけ良い方向にも悪い方向にも好きなように解釈ができるということじゃ。そしてそれは、この村にも混乱を生むじゃろう。けれども、そうじゃな。もしこの先お主らが全てを明らかにし、お主らが託されたことがこの世のためになるとわかったのなら、ワシも協力しよう」

「……わかった。絶対、ぜーったい、女神様の真実を明らかにして、皆に伝えるもん」


 ソフィアの言葉に、ディゼルナさんは笑う。


「本当にお主は女神様が大好きだのう」

「うん。だって、いや、うん……」

「そもそもじゃ。お主の持つ魔力が無くとも魔力を使って扱える弓、お主らが見たというエウレという者が発明したという魔道具と、なんだか似たものを感じるのう。何か関係があるのか?」

「えっ!? あっ、ちがっ、えっと、たまたま? 偶然? 思いついたみたいな……。あはは……」


 慌てるソフィアに、ディゼルナさんは声を出して笑う。


「お主は嘘が下手じゃのう! 無理には聞かぬから安心せい!」


 実際、ソフィアが隠している事を聞くのはかなり先の話だ。いつか知ることになるのだから、ソフィアが話してくれるまで、俺も敢えて聞かないようにしている。


 と、ディゼルナさんはソフィアをじっと見て言った。


「しかし、そうじゃのう。その様子じゃ、変に隠していると村の者に不信感を抱かれてもおかしくやいのう。冒険の話は村の者に聞かれても、女神様に口止めされたと言ってもらうようにしようかのう」

「えっ!? 私、そんなに下手……? で、でも確かにそれなら簡単そう!」


 そんな二人のやり取りに、俺も笑う。間違いなくソフィアは嘘が下手で、けれどもこの嘘であれば、何かを隠している事がバレバレでも納得してもらえそうだ。


 ここまでは、記憶の中と大して変わらないやり取りだった。

 けれども俺は、一つだけディゼルナさんに聞いてみたい事があった。ここまで来たなら、今後に影響はないだろう。


「ディゼルナさん。もしリトラが予測したように、この世界が魔力で地位が決まらない世界になったら、ディゼルナさんはどう思うのですか?」

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