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君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
湖の村“リンピアナ”

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19.湖の底と行く方法

 俺達が昨日ネロデルフィンと戦った場所に行くと、恐らく足音で気付いたのだろう、すぐにネロデルフィンは水面から顔を出した。


「あっ、ネロちゃんだ!」


 ソフィアの言葉に、ネロデルフィンは首を傾げる。それを見て、俺は笑いながら言った。


「君の名前だってさ。ソフィアが付けてくれたんだ」

「きゅー!」


 ネロデルフィン嬉しそうに、けれども昨日の言葉を覚えているのか、少し潜っては控えめに顔を出し、喜びを表した。そんな様子に俺は癒されながら、ネロデルフィンを撫でようと手を伸ばす。


「調子はどう?」


 俺がそう尋ねると、ネロデルフィンはご機嫌そうに手に頭を摺り寄せた。


「随分と懐かれたようじゃのう」

「あはは。そうみたいですね」


 俺は笑いながらも、ネロデルフィンをじっと見つめた。そして、最初の時間軸では深く考えずに言った質問を、今度は意図的に尋ねる。


「俺達、湖の底に行きたいんだ。どうすればいいか知ってる?」


 俺がそう言えば、ネロデルフィンは少し潜って、そして水面に背中を出した。

 最初、ネロデルフィンは俺達が水の中で呼吸できないことを知らない状態での、無邪気な提案だと思った。だから俺は、いつもの時間軸と同じように困ったように笑ってみせた。


「あはは、乗れって? でも、俺達は水中では息できないよ?」

「きゅー? きゅー!」

「問題ないって? でも……」

「きゅー!」


 俺がなかなか背中に乗らずにいると、ネロデルフィンは一旦水面から顔を出して、そして人一人が入れるほどの泡を出した。そして、その泡の中に俺を入れる。


 泡の中は、ツルツルしているようで意外と吸着力があり、滑ることはなかった。俺は泡ごと体を浮かされ、そしてネロデルフィンの背中に乗せられた。

 泡はネロデルフィンのベールにくっつき、固定される。


 と、ネロデルフィンは俺を乗せたまま、水の中へ潜っていた。


「凄い……!」


 水の中でも息ができることは、もう知っている。けれども、水の中に潜るという経験は、何度しても不思議な感覚になった。

 下を見れば、底の見えない青黒い世界が広がっている。けれども上を見れば、太陽の光がキラキラと輝き、その中を無数の魚が泳いでいた。


 そんな光景に見とれていると、ネロデルフィンは再び水面へと上がる。すると、視線が俺に集まっている事に気が付く。

 俺は手を見ている三人に手を振りながら、大声で叫ぶ。


「聞いて! 潜っても大丈夫だった! 呼吸も出来た!」


 俺の言葉に、ネロデルフィンは得意げにポーズを決める。そんなネロデルフィンに癒されながらも、俺はネロデルフィンを撫でながら口を開く。


「ねえ、ネロちゃん。後二人乗せてもらうことはできるかな? 白髪の女の子と、茶髪の女の子なんだけど」

「きゅー!!」


 ネロデルフィンは、わかったと言うように鳴くと、再び2つの泡を口から出した。そしてその泡にリトラとソフィアを入れ、ネロデルフィンの背中に乗せる。


「わー! ネロちゃんありがとう!」

「きゅー! きゅー!」


 ソフィアの言葉に、ネロデルフィンは再び嬉しそうに鳴く。


 と、微笑ましそうに俺達を見るディゼルナさんと目が合った。


「ディゼルナさん、行ってきます!」


 俺はディゼルナさんに向かって手を振りながら叫んだ。


「気を付けてな!」


 ディゼルナさんも、手を振りながらそう叫んだ。


「ネロちゃん、このまま湖の底に連れて行ってもらうことはできる?」

「きゅー!」


 ネロデルフィンはそう鳴いて、そして水の中に潜った。




「わー、凄い!」


 水の中に入った瞬間、ソフィアは叫んだ。水の中でも、ソフィアの声はハッキリと聞こえた。


「凄いよね。それに、ネロちゃんがいてくれて良かった」

「ほんとだよ! 実はネロちゃん見た瞬間から考えてたんだ! ネロちゃんの魔法を研究したら、潜る方法見つけられるんじゃないかって! だから、今日はネロちゃんに色んな魔法見せてもらおうかと思っていたんだけど……。まさか連れて行ってくれるなんて思わなかったよ!」

「あはは、そうだね」


 ふと思う。もし洗脳に気付かずネロデルフィンを倒してしまっていたらどうなっていたのだろうかと。

 ネロデルフィンを助けて湖の底に行く方法は、俺とリトラの魔法が無ければできなかった偶然だ。特に俺の魔法は特殊で、洗脳が解けるなんてことは通常だと有り得ない。

 可能性があるとすれば、ソフィアのような研究者の存在だろうか。ネロデルフィンを討伐するにしても、魔力を使わない戦闘方法が必要だった。そしてソフィアは、ネロデルフィンの魔法を通じて湖の底に行く方法を見出そうとしていた。


 魔法が使えない者との共闘。それが神珠を手に入れる条件なのかもしれないと、俺はふと思う。だって、俺達がこれから見るものは……。


「あっ、見て! 建物みたいなのが見えてきた!」


 と、ソフィアがそう叫びながら、目の前に見えてきた建物を指さした。それは、まるで神殿のような場所で、もう空からは僅かな光しか届かないはずなのに、その場所だけ光が差す場所のようにハッキリと見えた。そしてネロデルフィンの出す泡のようなもので覆ってあった。

 俺は、ネロデルフィンに呼びかける。


「ねえ、ネロちゃん。俺達をあそこに運んでもらうことはできる?」

「きゅー!」


 ネロデルフィンは、俺達の入った泡を背中から浮かせ、神殿へと運んだ。俺達の入った泡が神殿を覆う泡のようなものに触れると、くっつき、そして繋がった部分が消える。

 そこから、俺達は神殿に降り立った。


「凄い……。私達、本当に湖の底に来ちゃった」


 ソフィアが、感動したように声を震わせて言った。


「そうだね」


 俺も、少しだけ緊張しながら、その神殿を見つめる。


 大丈夫。ここから、強い敵が現れるわけではない。からくりを知っていれば、攻略できる場所。


 そう思いながらも、俺はチラリとリトラを見る。


 出来るなら、リトラも自力で抜けられますように。


 俺はそう願いながら、神殿の中に一歩踏み出した。

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