表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が知らないリトライ 〜仲間が死ぬ度に時間が巻き戻るので全員生存ルートを見つけたいのに、ヒロインの性格属性がたまに変わるので困ります〜  作者: 夢見戸イル
湖の村“リンピアナ”

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/85

18.見えない本音と気持ち

 ネロデルフィンの事件の後、俺達はディゼルナさんの家に戻って一晩休むために客室に戻った。けれども俺は、あまり眠れずにいた。


 過去の時間軸では、明日、リトラが死んだ。何度も何度も死んだ。あくまで最初の性格の時だけだけれども。

 どうしてか性格が変わってから、どの性格でも死ぬことは無くなった。けれども、今回の性格で大丈夫という保証はない。だからこそ、怖くて仕方がなかった。


「リトラ」


 俺はなんとなく、もう眠っているであろう、自分に背を向けているリトラの名前を呼ぶ。


「……なによ」

「えっ……?」


 俺は、返って来たリトラからの言葉に、心臓が跳ねた。そして、起こしてしまったのではと不安になる。


「ごっ、ごめん! もう寝てると思って、特に要はなくて……」

「……じゃあ、こんな時間に呼ばないでよ、バカ。もう寝る時間よ」

「ごめん……」


 俺は申し訳なくなって、謝った。


「……あんた、眠れないの?」

「えっと、うん……」

「そう。何か聞いて欲しいことがあるなら、聞いてあげてもいいけど」

「……ううん。大丈夫。多分もうすぐ寝れるから……」


 この時間を何度も繰り返していることなんて、言えるわけが無かった。明日リトラが死ぬなんて、絶対に言えない。

 それに、過去の時間軸でリトラとした、巻き戻っていることは伝えないという約束もあった。


 と、リトラが突然こちらを向く。暗闇で、表情は見えない。けれども俺に手を伸ばす影だけは見えた。

 けれどもリトラは手を引っ込めた。そして、また背を向ける。


「……もし明日、あんたの寝不足のせいで支障が出たら許さないから」

「……うん。そうだね」

「寝不足でしんどくなっても、絶対に置いてくから。自業自得なんだから」

「うん。わかった。ごめんね」


 リトラの言葉はその通りなのだけれども、どうしても俺が倒れたら、逆に心配して駆け寄ってきてくれるリトラが頭に浮かんでしまった。

 実際はそんなことないかもしれない。けれどもそんな妄想に安心してしまって、俺は無事眠りに付くことができた。




 あれから無事、俺は眠れたらしい。スッキリした頭で、俺は支度を済ませてディゼルナさんと一緒に再びネロデルフィンと出会った場所に向かって歩いていた。


「リトラ。昨日はありがとね。リトラと話してから、無事眠れたみたい」


 俺は、昨晩起こしてしまったかもしれないリトラにそう言った。


「別に私は何もしてないわよ。あの後すぐに眠ってたから、もう眠かっただけじゃないの」

「あれ……? もしかしてあの後リトラはまだ起きてて……」

「す、すぐ寝たわよ! 別にあんたのことが気になって起きてたとかそういうわけじゃないんだから!」


 今までのリトラの言動を考えると、きっと起きていてくれたのだろう。そんなリトラに申し訳なくなりながらも、嬉しくなる。


「ごめんね、リトラの睡眠邪魔しちゃって」

「邪魔してないってば! いつもいつも、勝手に私のこと決めつけないで!」


 リトラの言葉に、俺は一瞬固まる。

 確かに、勝手に決めつけていると言われれば、その通りだ。今までの時間軸と同じように、恋愛感情は別としても俺の事を好いてくれていると思ってリトラの言葉を捉えていた。

 けれども、確かに今回の性格ではどうなのかわからない。ただ俺が勝手に期待して、勝手に都合の良い解釈をしているだけなのかもしれない。そうなのであれば、リトラにとっては俺の言動は気持ち悪いだけだ。


「……うん。ごめんね」

「……っ。わ、わかればいいわよ」


 そう言って、リトラは少し苦しそうな、そして今にも泣きだしそうな表情をしながら、俺にそっぽを向く。

 と、ソフィアがリトラに駆け寄って何かを言った。


「だーかーらー! 私はクロノの事、好きでもなんてもないんだって!」


 きっと、ソフィアに小声で言ったのだろう。けれども森があまりにも静かだったから、ハッキリと聞こえてしまった。

 リトラの言葉に、ズキリと心が痛まないわけではない。けれども、だからといって、一度自覚してしまったリトラへの恋心を諦められるはずなんかない。


「……若いのう」


 ディゼルナさんがぽつりと言った言葉を、俺はどうとらえて良いかわからなかった。




 それから暫くして、誰も何も言わず歩いていると、ソフィアが口を開いた。


「でもさ。誰がネロちゃんを洗脳したんだろね」


 ソフィアの言葉に、ああどの時間軸でも聞く言葉だと俺はホッとしながらも、俺はいつもの時間軸と同じように口を開く。


「ネロちゃん?」

「ネロデルフィンの事だよ! 長くて言うの面倒くさいじゃん! だからネロちゃん!」


 この“ネロちゃん”という呼び方は、この村を出る頃には村全体に広がることになるのだが、ネロデルフィンがそれ程までに親しまれるのは良いことだろう。

 そんなやり取りをしていると、隣を歩いていたディゼルナさんが少し意地悪そうな目をしてソフィアを見た。


「洗脳に関しては、見当も付かんのう。なにせ、この村にはお主みたいな外の者がたくさん来るからのう」

「ええっ!? もしかして疑われてる!? 私別に洗脳とかできないよ!?」

「わかっとるわい! しかし、警戒はしておかなくてはならんのう」


 そう言ってディゼルナさんは、真剣な目をしながらネロデルフィンと戦った方角を見た。ネロデルフィンがいる場所に近付いているというのに、あの不気味な水の音はすっかり消えてなくなっていた。


 未だに、犯人が誰であるかはわかっていない。それに、過去の時間軸でもあれからリンピアナに何かあったとは聞いてはいなかった。

 犯人は少し予想できていた。もしその予想が正しいのであれば、きっともうリンピアナでは何も起こらないだろう。


 いや、そんな不確定な未来よりも、今は目の前の事を乗り越えること。リトラを死なせない。絶対に死なせない。

 そう自分に言い聞かせ、俺は一歩踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ