夢のかたち
春も深まるある日の午後。
飯田俊(TOKI)は、いつもより少し早めに学校を終え、怜雄(REI)と約束した楽器店へ向かっていた。
「今日こそ……ついにギターを買うんだ」
胸の奥が高鳴るのを感じながら、彼は歩を進める。
渋谷の小さな楽器店。
ガラスケースの中には、様々なエレキギターが美しく並んでいた。
店主の親切な説明を聞きながら、俊は一番気になっていた白いストラトキャスターを手に取る。
弦を軽く弾くと、澄んだ音色が店内に響いた。
「いい音だ……」
心が震える。これが、自分のものになる日が来るなんて。
隣では、州都(KANURE)がじっとドラムセットの前に立っていた。
「俺も……中古だけど、ドラムセットを買ったんだ」
州都の顔には、久しぶりの真剣な輝きがあった。
三人は楽器を手に入れた喜びを胸に、それぞれの夢に向かって走り出す。
「これで練習も本格的にできるな」怜雄が笑いながら言う。
「いつか、俺たちの音がこの街に響くんだ」
俊は固く決意した。
家に帰ると、俊はギターケースを大切に抱えながら母親の前に立った。
「見て、これが俺の夢の一歩だよ」
母は一瞬黙った後、ゆっくりとうなずいた。
「あなたの夢なら、応援する」
涙がこぼれそうになった俊は、胸の奥に温かいものを感じた。
これから始まる彼らの音楽の旅路。
「April Mosaic Planet」は確かな一歩を踏み出したのだった。
ギターケースを背負い、ドラムのスティックを手に、飯田俊(TOKI)、矢野怜雄(REI)、伊藤州都(KANURE)の三人は、初めての練習場所へと足を踏み入れた。
狭いけれど音が響くスタジオの中、3人はそれぞれの楽器に向き合う。
俊は新品の白いストラトキャスターを手に、心臓が高鳴るのを感じていた。
州都は中古のドラムセットの前に座り、スティックを握る手に少し力を込める。
怜雄は持ち慣れたアコギを抱えながら、笑顔を浮かべていた。
「じゃあ、最初はリズムを合わせるところからだな」
怜雄が声をかける。
「オレ、ドラムはまだまだ初心者だけど、頑張る」
州都は静かに答えた。
最初はぎこちなく、それぞれの音がバラバラに響いた。
だが、徐々に互いの音を聴き合い、少しずつ呼吸が合い始める。
「いい感じだ、もう一回!」
俊の声に、三人の集中力が増す。
疲れも感じ始めたころ、州都がぽつりと言った。
「やっぱり、思ったより難しいな……」
「でも、できるようになりたいよな」
怜雄の笑顔に、俊も頷いた。
練習が終わる頃には、三人の間に小さな自信と絆が生まれていた。
「これからだ、きっと」
俊は新たな決意を胸に抱いた。
春の夕暮れが窓から差し込み、未来への期待で満ちていた。