⑤悪役令嬢爆誕
学園のお茶会。仲良くなった二人組とのお茶会。そこでナナリが爆発した。具体的には彼女の燃えるようなエネルギーが暴走を始めた。
「私、間違っていました」
「えっ唐突に何を?」
私のあげた決闘の戦闘記録書を開き、その魔法書で刻まれた戦いの記録が映像として具現化しテーブルの上で見れるようになっている。それを見ながら、ナナリは叫ぶ。
「決闘を『野蛮で醜い物』と断じていた事をです!!」
「「……」」
「リディア、なんとか言いなさいよ」
「あっ……うん」
私たちは言葉を失う。いきなりの叫び声に耳が痛い。
「あなたのお兄様は立派です。勝利したあの涙は嘘ではないわ。調べたら……4年間の苦節で初めての勝利。素晴らしい事です」
「そ、そうだね。俺もそれは感動したよ……でもな……あのあと、ケガしちまって……」
「復帰戦はいつかしらね。見に行かなければ」
「あっ……う、うん」
お嬢様は決闘にハマった。実際、決闘は競技化されており。魔法の力で技は派手に、有効打によるペナルティもつき、見栄えでポイントもついたりと一目で人間離れした一騎討ちが楽しめるため……プロリーグとして人気であるのだ。ダブル、トリプル、シングルとあり。一騎当千の活躍する兵士も生まれている。
ただ最近は他国の兵士ばかり活躍しており、今は国内の兵士が頑張ろうと躍起になっていた。まぁ、他国と言いつつ。亡命、国籍取得も出来るので名も上げやすいと優遇されており、挑戦者は多い。
「皆さんが見ていると聞いてましたが……ここまでしっかりした物だとは私はなんと愚かだったのでしょうか?」
「……べ、別の兄貴の試合があるけど。一緒に行く?」
「クラスは?」
「C……だけど。まだこれからだからさ」
「行ってみます」
「……わ、私も行くわ」
「兄貴に伝えておくよ。Cランクでもコロシアム入れないかもしれないし」
国営の賭け事もあり、ランクが低くても客は入る。オッズもあるが2択だからわかりやすい。だが、1日の試合、全当てなどもあって巨額の報酬もある。大会を実施したらそれはそれで盛り上がる。
「それにしても……いいの? お嬢様がそんなの熱中して。一応趣味としては荒々しいわよ」
「関係ないわ。もう、私はあの家の後継者でもないんですから。おーほほほ」
吹っ切れてるようで。
「うーん。こんなにハマると俺も熱くなって来たぜ。一緒に鍛えないか!! 俺が教えてやるよ」
「鍛える? なんで?」
「女だからって決闘できないわけじゃない。決闘の練習ぐらい付き合えるようになったら生で見せてくれるんだ。コロシアムの最前列でな」
「可愛がってくれる」と言うことだろう。なるほどリディアはモテる理由はそこだ。男勝りだが、胸が大きいし……男は女の子に甘い。こっそり揉まれているかもしれない。
「し、しかしね。私は今から鍛えても……」
「痩せるし、健康になる。良いことばかりだぜ。やろうぜ、まぁナナリはすぐに根をあげるだろうけどなぁ」
「はぁ? みてなさい!! 私はガルガンチュア家なの。大騎士王だった正当な血統よ。簡単に根をあげない。トル!! あなたも付き合いなさい」
「ぶっ!? えっ!?」
私は蚊帳の外だったのに内側に入れられて驚く。むさいのは嫌だ。
「おっ、これでトリプルで決闘できるな」
「えっ!?」
「チーム名はナナリの下僕シスターズね」
「えっ、えええええええ」
本当に私は巻き込まれた。私の意思関係なく。
「じゃぁ、先ずは筋トレから教えるぞ!!」
「やるわ、私!!」
「…………あのう。そ、そっちの青春はいらないかなぁ。令嬢学園だよ。そんな騎士養成学校とか軍学校とか衛兵学校とか……熱い所じゃないんだよ、ここは」
私は望む青春とは違うと思う。
「関係ないわ。友達でしょ?」
「友達になったの後悔してる」
「トルなら兄貴にも勝てる」
「いや、勝ててどうするの。私はか弱い女の子で恋愛したいの!!」
「「?」」
「その『わかりません』って顔をぶっ飛ばすわよ」
「やる気あるわね。あなた。喧嘩を吹っ掛けるなんて」
「畜生……顔がやる気で満ちてる……」
私はもう……普通の令嬢じゃいられないのかもしれない。こいつらのせいで。
*
「嘘でしょ?」
「ぜぇはぁ……」
「げほげほ……」
私はトレーニングをやりきった。そう、やりきってしまったのだ。それもハードめなトレーニングを。
「ああ、トルが滅茶苦茶つえぇ」
「私、負けない。あなたを……越えてみせる」
「………こんな学園生活いやだよぉ」
私は涙を流した。




