⑳⑦ナナリ興味津々
ご飯を女性陣だけで堪能し、私はある気配を察して驚き。魔法で探索をかける。すると、探りを入れているには私以外にもおり、そしてその魔力がよく知った者であった事で余計に焦りだす。
「お、お兄さん!?」
私は唐突に叫んでしまい、ナナリが私に近づく。
「どうしたのぉ、トル」
「……」
「沈黙を貫く」
「ナナリお姉さま。探索魔法で相手を逆探知しました。『男風呂』に居ます」
「リリィちゃん!?」
「なんだなんだ? 誰が居たって?」
リディアがつまようじでシィーシィーと言いながら聞いてくるのをナナリが答える。
「トルがお兄さんと呼んだけど。これって……実兄の事じゃない?」
「……」
私は沈黙を貫く。
「リリィ。わかる?」
「逆探知がバレた事と、魔力が似ているのでもしかしたら血縁かもしれません」
「おっ、トルの兄貴が来てるのか?」
「そうみたいね。『海に行っている』情報だったけどどういう事かしら?」
「……ナナリお姉さま。私は偽情報だったのではと思います。トルお姉さんのお兄さんは私も存じてる。凄くカッコ良くて、憧れる人が多いんです。剣も凄く変わったのを使ってます」
「フランベルジュと言う波の刃の大剣ね。家の剣よね。リディア、ちょっと男湯覗かない?」
「何でだよ。覗いてどうなる」
「私はお兄様とリディアの婚約者のチンチンが見たいわ。どれぐらいなのかね」
「はぁ!?」
「と言う訳で、皆。行ってくるわ」
「ちょっとまて!! リリィ、トル!! 奴を止めろ!! くそ、見せてやるか!!」
ナナリの奇行に私たちは振り回される事が確定し。あのリリィさえ、やらかした表情をする。
「リリィ、焚き付けたので後でお尻ぺんぺんの刑をお兄様方にしてもらいます」
「ごめんなさい!!」
「いや、男にやらせるなよ!!」
「……男たちにも可愛い悲鳴聞きたいでしょ?」
「ああ、しょうがないか。いいぜ、婚約者貸してやるよ」
「ひゃい」
リリィは年下だが。同じ同級生。罪はしっかりと受けてもらおう。ナナリの足はなかなか速く。そして、魔法によって3人に別れる。
「幻影!?」
「トル!! 本物は!!」
「ぜ、全員」
「あんな短時間にここまで制度の高い魔法を……お姉さま。教えが生きてますね」
「リリィ、尻叩きの回数追加ね。3人で別れます」
「ひゃう」
魔法を教えた本人が悲しい顔をする。なので許しとして「捕まえたら許される」との旨を伝えた。
「……お尻守るため頑張りなさい」
「お姉さん、許して」
「行動で示せ」
「おお、怖い怖い。つか、俺も見てぇけどな」
「……」
「睨むなって。そんなに見せたくないのか?」
「男湯に居るのが問題なんです」
「たしかに」
私たちは別れて追う。男湯にいるお兄さんに私は緊急で連絡を取った。魔力根がつながり、お兄さんと話が出来る。
「……トルもここを選んで来たんだだね。王家と仲良くしすぎでは?」
「お兄さんこそ、なんで海じゃないんですか?」
「あれは嘘さ。流石に追っかけを振り切りたいからね。もしも、見つけたならそれだけ優秀な子だから候補に上がるのさ。それよりも騒がしいけどなにか?」
「……私の友達が。男湯を覗きに行ってます」
「……は?」
「お兄さんがバレて一目裸を見てやろうと頑張ってます」
「凄い元気のいい子だね。トルの友達らしいよ」
「失礼な、覗き見は堂々としません。根から隠れて見ますよ。お兄さんもでしょ」
「流石にしない。それは恥だ」
「私たちは選ばないといけない立場ですよ?」
「体より心が大事だ。君もだろう?」
「そうですが。殿方の体はその……」
「……わかった。気を付けるよ。覗き見するならここで待ち構えるよ」
「すぐに上がってくださいね」
「もちろん」
私はひとまず、ナナリの暴走を回避することが出来たと胸を撫で下ろす。
「既に目の前にいるからね」
「ふぁああ!?」
私はどうやってそこまで行けたのかを考えて、窓の外から屋根づたいに続く道を見つけそこから身を乗り出す。令嬢と言うより獣のような彼女に常識の道は通じない。ナナリの耳に声が聞こえる。
「まぁ、カッコいい殿方ですこと。トルのお兄さんですわね。流石ですわ」
「君が王家の友達だね」
「親友ですわ」
親友と言われて全く嬉しくない状況である。私は屋根伝いに走り、多くの男性客の視線に気付かないように魔法で隠す。お兄さんはどうやら個室らしく私はそれだけで胸を撫で下ろした。
「名のある殿方と聞いてます。一戦どうですか? ちん○なくならないために」
「君は面白い女ですね。いいでしょう。賊を討った女傑でしょうがお灸をすえます」
「つべこべ言わずに抜けよ、拳」
声に焦る。個室で戦うとかアホである。私は慌てて魔法を詠唱して到着して驚いた。お兄さんはナナリの一撃で伸びており、何処から持ってきたかわからない縄に捕まっていた。
「確保!! とったどぉおおおお!!」
私は屋根から降りながら踵落としを殺すつもりでナナリに叩き込むのだった。
*
「私はトリに勝てない……なぜ勝てないの……」
私は縄でぐるぐる巻きにしたナナリとお兄さんを連れて部屋に戻ってくる。お兄さんは気絶したままで驚いた。
「私より強いと思ってたお兄さんが気絶とはね……」
私は頭を抱えながらお兄さんを介抱する。
「耐久に関してはトルのが上よ。顎に食らっても大丈夫でしょ」
「私の踵落としを喰らってピンピンしてるナナリに恐怖を覚えるわ」
「効いたわぁ、一瞬目眩がしたもの」
人間を辞めるような事をしている気がしなかったが、私はそれに心当たりが生まれる。
「もしかして私の薬を悪用した?」
「もちろん、鍛えて薬を飲んでパワーアップよ」
「トルお姉さん。尻叩きお願いしましょうか?」
「リリィちゃん……一緒に罰を受けましょ」
私たちは化物を育成したようだ。
「ふふ、力こそ解決する手段よ」
「力こそ問題起こす結果を生む手段です!! ゼロ様よんで説教させますね」
「私に説教なんて……」
「婚約者の姿のゴーレム用意し、一晩中遊んで貰いましょうね」
「あなた、なんておぞましい事を思いつくのよ」
「決定ね。猪女にはいいお仕置きよ」
私は彼女の顎を掴み、笑みを向ける。にらみ合いそして私は微笑む。
「……令嬢教育いっぱいしてあげる」
「俺、おかしいのかな? 俺の思う令嬢は全員違うよな?」
「リディア姉貴、私もそう思います。私も『無邪気』を武器にすること教えて下さった方ですし……」
「年相応なかわいらしさ何処へ行った……」
「私は皆さんに毒されました。お姉さんお姉さま姉貴の会話が大人ぽいです。もう、知らない少女ではいられないのです。虐められていた私は変わる事が出来ました」
「行きすぎた教育だなぁ。俺が普通だもんな」
「「それはない!!」」
「いいや、普通だわ」
私たちは文句を言い合い。その文句の合間にお兄さんのうめき声を聞いて私は起きてる事を察する。
「お兄さん、起きましたか?」
「ああ、やられたようだね……」
「お兄さん、弱かったんですね」
「………」
お兄さんは苦笑しながら、立ち上がり。私を見つめる。
「そうみたいだな。第一学園で腕も感覚も鈍ったよ。それにナナリちゃんを見てわかったが。トルが王家と離れられない理由がわかった。強い、ガルガンチュア家は」
「よかった。ご理解があって」
「ああ、個室に屋根から突入してくる令嬢なんて君だけだ」
「トルもですわ」
「あなたが居たからよ。どうしてお兄さんに興味を持ったのかしらね……」
「トルを見て面白そうと思っただけよ。にしてもあんまり似てないわね?」
「それはお兄さんは美形ですからね。女を捕まえるために」
「………言い方と言うものがあるだろう」
「だけど、ヘタレで選べてない」
「王家に近い者が多いんだ」
「なら、第一なんて行かなければよかったじゃない」
「トルが居るのが嫌なんだ。口説いている姿を家族に見られたくないだろう?」
「………私は見たい派です。恋愛みたいです。特に修羅場」
お兄さんが溜め息を吐き、そのまま騒ぎに気付いたゼロ様たちが顔を出す。
「おっ、そこのイケメン。トルのお兄さんですね」
「君は……ガルガンチュアの」
「初めまして。婚約者のゼロ・ガルガンチュアです」
「ゼロ!? 私は婚約者になったつもりでは!!」
「なら愛人か? 恋人か? それとも愛のなく、利益だけの関係で、娼婦か? 遅かれ早かれバレる」
「………くぅ」
「トル、母上の忠告を無視して選んだのは王家か。監視で実は追ってたが……母上の危惧の通りだな」
「……………………」
私は腕を組み、そして。ゾクゾクした。笑みを溢してスッキリした表情をする。
「母上の反対する付き合いを私はしたい。彼と恋愛し、堕ちる所まで堕ちますわ」
「トル!?」
何故かゼロ様が満面の笑みで私の名前を叫んだ。ああ、もう。後には引けない。
「じゃぁ、母上に報告を……」
「………トル。私があなたのお兄さん喰ってもいいの?」
「「「「!?」」」」
ナナリが縛られているお兄さんに近づき頬を舌で舐める。毒蛇が獲物を舐めて確かめるような姿に私たちは……
「ナナリ抜きでトランプしようぜ」
「それよりもお風呂入りましょう。ナナリ姉様抜きです」
「そうね。ナナリ抜きで風呂でゆっくりしたいわ」
「トルお前、混浴な」
「ゼロ、リリィちゃんの体を見るの?」
「ごめんなさい。冗談でした」
「ま、待ってくれ!! 助けてくれ!!」
「お兄さん……私とゼロの仲を秘密にしてくれたら助けないわけでもないです」
「でも、私は同じ弱味を無理やり作った方がいいと思うわ。それに友達として離れるの嫌よ」
「それでお兄さんを襲うのは変な話ですけどね。元々は首を突っ込んだナナリが……もしや。ナナリはお兄さんが監視で居ると知ってた?」
「もちろんよ? 親衛隊が教えてくれたわ。ゼロお兄さんも知ってる」
「ぜーろー」
「トル、知ってても伝えなくてもいいじゃないか。距離を取ってたし。まぁ、『罠』ぐらいはゆっくり用意してたけどな」
「……」
私が反応示した結果が引き金になったのだろう。なので私は判断する。
「ナナリ、お兄さん嫌々食べるの本当にごめんなさい」
「嫌々じゃないわ。普通に旨そうですもの」
「ナナリのお口に合うといいのですけど」
「ナナリ、俺はトルと相性良かったから大丈夫……ぐげ」
「黙ってなさい、ゼロ」
私はゼロ様を蹴り、そのまま皆で部屋を後にした。お兄さんの口を封じたままで見捨てるのだ。
「ああ、そうそう。お兄さん……『楽しんでね』」
最悪な笑みを残して私はゼロの腕に絡みついた。




