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到着


 私たちの目的地に到着する。山の麓に飛行挺港があり、そこに乗ってきた飛空挺と接収された飛空挺が入港し、接収された飛行挺ガルガンチュア名義の物品になる。その、事件は『空賊、夏休みの身代金目当てで貴族を狙うも客が全員王家親衛隊の船を襲い全滅する』と言う記事で発表され、話題になる。なお、空賊の生存者は不明者が多い理由は船から「降りたから」らしい。


 もちろん、降りるのは無理だから親衛隊が牢屋に入れて反逆されるのを嫌った事や犠牲者が出た事。ナナリの処刑執行の命により、皆。船から下ろされただけなのだ。怖い話である。


 接収した飛行挺は副船長が操縦し、物品は全部到着した。衛兵がこれから調査するだろう、誰の差し金だったのだとか、色々と出てくるだろう。


「ナナリ、なんで人質とか取らなかったの?」


「人質を食わせる食料もお金もないの。それに既に洗いざらい聞いても精神隷属魔法で自害したわ。そして、驚くのが船には精神隷属魔道具もあった。良かったわね。お兄様が餌食にならなくて」


「それ使えば私の記憶を消せるのでは?」


「消したいの?」


「……」


 私は答えない。答えないのが答えである。そんな事を話しているとゼロ様が荷物を持って近づく。


「トル、ついたね」


「ええ、わざわざそれだけを言いに?」


「いや、折角だから男一人で回るのあれだから誘いに来た」


「……」


 私は大いに悩み。そして、答える。


「温泉宿に荷物を置いて落ち着いたら。温泉街に行きましょう」


「……だそうだ。妹よ」


「お兄様、はいどうぞ」


 ゼロがナナリから硬貨をもらった。私の返答を賭け事していた事に私は憤る。


「私で賭け事してましたね!!」


「もちろん。で、俺が勝った。金貨だからなかなかいいお小遣いだろ? 何が食べたい?」


「く、私はナナリとリリィと一緒に行きます」


 ハブられたリディアが叫ぶ。


「お、俺は!?」


「婚約者と一緒に行きなさいよ」


「四六時中一緒はやめよーぜ。折角だゼロ様と一緒に行きなよ。で女は女と男は男と行くべきだ」


「じゃぁリディアはそっちになるけど?」


「トル!? おめぇ俺を男扱いするのか!?」


「私も賛成ですわ。男3と女3で水と油のように別れるべきです。でしょうリリィちゃん」


「わ、私は……えっと」


「お前ら、いっぺんわからせなきゃならんようだな。俺は立派な胸がついてるだろ!! チンチ○もねぇ!!」


「生物学的には牝。リディアは牡です。両性持ちと言うことも考えられます」


 嘘である。


「トル、嘘だろ!? 本当に俺は牡だったのか?」


 私の言葉にリディアが悩みだし、ゼロ様とヴァル様が頷き。リリィに近寄る。


「リリィお嬢様。どうでしょうか?」


「リリィお嬢様、一緒に遊びに行きませんか」


「え、え? リリィは……そのぅ」


 私は「リリィならちょうどいいか」と考えて私はリリィの肩を叩く。


「エスコートされなさい。お兄様たちに」


「えっと……私は……皆と遊びたいです」


「OK、皆で遊びましょう」


「「「OK」」」


 リリィの一声は末っ子のわがままのようによく通るのだった。






 夏は避暑地、冬は温泉の暖房と結構いつも繁盛している温泉街。荷物を起き、船の占拠事件があった筈なのに既に日常へと戻っている私たちはご飯を食べていた。


「温泉卵です。温泉で低温調理するのですが、固茹でもあってなかなか美味しいですよね」


「トル、固茹での殻向いたから塩をつけて。ほらアーン」


「アーン、ゼロ優しいですね」


 私は温泉卵をモグモグし、半熟のその日に生産された温泉卵をダシ醤油で飲み込むように食べる。トロっとした黄身が濃厚な独特な風味を出す。


「トル、はい口変えのレモン水」


 ゼロ様が氷の入ったレモン水を持ってきてくれる。笹の大きい葉も持ってきており、ゼロ様に渡されて、それを開けるとナマズの蒲焼きが一尾丸々入っており、膝の上に乗せたそれを箸を使い食べようとする。椅子には他の笹の皿を持ってくる。


「待ったトル。ここに白飯のおにぎりもあるからこれで食べれば美味しいよ」


「まぁ、気が利きますわね」


「それに、他の笹の皿には焼き夏マツタケ。今は安いらしいね。あとこの笹には若鮎の塩焼きがある」


「まぁ、若鮎ですの?」


「ああ、大鮎の若鮎だから骨も食べれると思う。あと、鳥の照り焼き串に猪の串焼き」


「一杯ですわぁ~」


 ゼロ様がどんどん持ってくる料理に二人で舌鼓をうつ。そして食後にゼロ様が変わった飲み物を用意する。陶器のコップ一杯の酒を用意し、私はそれが何かを知る。


「高かったでしょう?」


「食後に一杯はいいじゃないか、吟醸酒」


「では、お言葉に甘えていただきます」


 ゼロ様と一緒に口に含んで嗜む。フルーティですっきりした雑味がないお酒に「ああ、高いお味」と私は感じる。深いため息を吐き、満足して私は思う。


「あれ? 皆は?」


「別行動、トルが喰ってるだけだったから」


「……あらぁ」


「黒糖の温泉まんじゅういる?」


「いるぅ~」


 私は気にせず。おやつも食した。そして、ナナリたちが帰ってきて一言溢した。


「……あなた、気付いてる? お兄様に餌付けされてたこと」


「……?」


「お兄様、すごいわね。この子」


「そうだな。トル、そば処でゆっくりしよう。『そばがき』を薬味で嗜もう」


「山賊蕎麦粉は有名ですからね。行きますわ」


「トル待ちなさい、まだ喰うの?」


「?」


「いや、首をかしげて……」


「一緒に行きますか?」


「わかった行くわよ」


 私の胃袋はまだ空いていた。そして、ゼロ様は何故か不敵な笑みを溢しており。私はそれに気付かされる。


「ゼロ様……全部払ってくれたんですか?」


「ああ、もちろん」


 私は頭を抱える。


「トル、蕎麦切りも食べよう」


「はい!!」


 一瞬で忘れてしまった。そして取り返しのつかない事になる。






「トル、蕎麦美味しかったな。あと俺と二人部屋な」


「…………えっ」


「ここにある領収書を実家に送ってあげるよ」


「私を脅す気ですか? お支払いしますよ」


「残念だが、既に払い。直接、家に向かう」


「…………罠が露骨ではなくて?」


「罠だと思わず飲み食いしてたのか?」


「食べる時は報われてないといけないのです」


「……少し、君に心配事が増えた。俺から絶対離れてはだめだぞ」


「何か心外ですが。仕方ないですね。あと、おかわりいいですか?」


「何を?」


「あそこのトウモロコシ焼きです」


「……吹っ切れたな」


「だって実家の人が誰もいませんし」


「確かに」


 私は正直、今を楽しんでいた。



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