若い花
色々あって、あっとう言う間に私の体が元気になった。思い出したくない醜態を晒したが私は生きているし元気だ。そして、私は私の体を理解した。「体が生きるために貪欲で凶暴化する」と言うのがわかった。そして王家とのあれこれは流石に大問題になるので私とゼロ様の秘密となっているがナナリは察したのか全く会話でさえぎこちなかった。
なので二人きりになる。私は「無かったことにする」つもりを説明するために。
「ナナリ、二人きりは初めてね」
船の喫茶店。私は彼女とやり取りする。もちろん親衛隊の方々は聞く耳を立たせるが問題ない。聞こえないようにしている。
「そ、そうね」
「目を合わせてくれないのね」
「ええ」
「あなたは何を知ってるの? 私にわかるように教えて」
「……トリ御姉様と言わないといけないのショックなの」
「ごめん。本当にごめん。取り返しのつかない事をしたの知ってるのね」
彼女は頷いた。
「匂いが一緒と嗅覚で汗から甘い匂いがした。二人だけの共通する匂いに私はわかったわ」
「あなたは犬ですか」
「親衛隊のカップルばっかり居たからよ。同じ匂いがつくの。全く……早すぎですわ!! 私の心を待つ事は出来なかったの!!」
「ごめんなさい」
至極まっとうな悩みで驚くが私の体が「勝手に」と言う言い訳も出来ず。私は謝り続けた。
「ちょっと早すぎよ。私の想像より早くてドン引きよ」
「ごめんなさい」
「まぁ、そんなことはどうでもいいわ。で、結局どうだったのよ?」
「どうだった?」
「気持ちよかった?」
「ぶぅううゲホゲホ」
私は紅茶を吹き出し、口を拭って首を振る。思い出したくない。
「忘れようとしてるのにやめてよ」
「ふーん、人のお兄様を強制的に……襲って……私は泣きそうよ」
「ちょっとは泣く素振りみせろや。令嬢たるもの淑女であるべきよ」
「へぇ、ふーんそう。ちょっと見てて」
ナナリが手のひらに「淑女」と魔方陣を書く要領で魔法文字を書き、そのまま。
グシャ
「しゅ、しゅくじょぉおお!?」
「豚の餌にもなりゃしないわ」
淑女の文字は握り潰されて散る。
「教えなさいよ……どうだった?」
「嫌よ。なんで言わないといけないの……」
「興味があるの」
「いーや」
「教えなさいよ。そうしないと私はここであなたに襲われたと喧伝するわ。それかお兄様に感想聞くわよ」
「うぐぅ。あなたって人は!! それでも王家の令嬢でづか?」
「王家の令嬢前に、私は黒く漆黒を腹に住まわせてる者よ。さぁ、教えなさい……お兄様いじるために必要なの」
「くぅ」
私は苦しい状況に頭の回転を速くする。そして、反らせようと話を振る。
「それよりもあなたは相手がいるの? 参考にならないでしょ? え、婚約者とするの? あの」
「おえええええええええ」
「きゃああああああああああああ」
紅茶をこぼしてナナリがむせる。そこまでいやだったのだろう婚約者とのあれが。想像してむせるほどに。女性の親衛隊の方がわざわざ、雑巾を持ってきてくれる。そのまま拭き私は思い付いた。お礼をいいながら、謝り。そして発言する。
「私よりも経験豊富な方ですよ。この人」
「トル、最低ね。親衛隊だからって……」
「え、なんでしょうか?」
「あなた、そこの彼と付き合ってるけど。気持ちいいことするの? その話が気になってたの、経験豊富でしょ?」
「え、え、お嬢様!?」
「教えなさい。そこのトルに」
私は振られても我慢した。何故なら私はそういう話をしないいでいいこと。関係を黙っている必要性があるため私は満面の笑みで答えた。
「私、そういう事がわからなくってナナリに相談してたんです。精鋭の親衛隊さんならご存知あると思うのですが? どうでしょうか?」
私は無邪気に聞き、ナナリも満面の笑みで聞いた。そして、この女性の親衛隊員は頭を下げて真っ赤になりながら逃げる。
「ちぃ、逃げた」
「逃げられましたわ……」
「トル、やっぱり恥ずかしいことよね」
「もちろん」
「……お兄様に聞いてくる。お会計よろしく」
「ま、待ちなさい!!」
私は会計と言う罠に貶められて彼女を追うのを遅れる。そして、ゼロ様は満面の笑みのナナリを見て培ったパルクールと言う技術能力で全力疾走で逃げていくのだった。
*
私は個室で彼を出迎える。鍵をかけてナナリを撒いた。『逃亡』と言う文字を刻んだ石が幻影を見せて逃げる。
「はぁはぁ、ナナリは何を思い付いたんだ? 助かった」
「私たちの逢瀬を聞こうとしてる。私も聞かれた」
「……あの妹め。令嬢であることを何処に捨ててきたんだ」
それは私たちのせいであるので黙っておく。
「ゼロ、ごめんなさい。私が襲ったのがいけなかった」
「いや、相手が俺でよかったよ。親衛隊じゃなくて……あれを見て亜人だとすぐにわかる。それに俺は抵抗しなかった俺が悪いんだ」
「……殴って止めようとしましたよね?」
「覚えてるのか?」
「夢だと思って……」
「……夢ならよかったか?」
ゼロが私の顎を掴む。真っ直ぐな王家特有のオッドアイな瞳に吸い込まれる。
「夢だからと許しました」
「なら、これが現実だ」
私は唇を奪われる。もちろん、それは予想出来ていた。だからこそ私は抵抗できない。もう既に手遅れなのだ。
「ああ、私はどうすればいいの?」
「……隠れて付き合おう。今はそれしかできない」
「バレる」
「そんときはそんときさ」
「……浅はか」
「何かいい案あるか?」
「…………ない」
私は結局、流される。
*
「トル、聞いてもいいかしら?」
「ナナリなに」
「あなた、またやったわね」
「君のような勘のいい犬は嫌いですよ」
「……少し、自重してもらっていいかしら?」
「はい、ごめんなさい」
私はどうなるのだろう……これから。




