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夏休暇


 夏休暇、多くの学園が休む中で多くのイベントが起こる一月の若者どもの想い出作り。甘い甘い想い出も、戦う大会の思い出も、秋に向けた修行の苦心の思い出も全てが内包する時期だ。私的には愛しい王子様との甘い夏イベントをと夢見てたが。


「脳筋腹黒令嬢、男勝りだけの胸でか令嬢、かわいいかわいいロリ令嬢と山へ向かうなんてね……」


 外行きの軽装に旅行バックを持って飛行船波止場で待つ。そんな中で荷物持ちとして用意されたゼロ様とヴェル様が背負ったり、担いだりしてくれる。ここまでは竜車。これからは船で移動になる。流石、ガルガンチュア。個人船を持っており、その船に同席させて貰えた。


「船持ちなんて凄いわねぇ……」


「まぁ、リースだから実際は運営してる所に金を出して乗せて貰うんですわ。ねぇ兄さん」


 リース理由は所持出来る事の資格の難易度が高すぎるためである。一般の誰もが持つには「危ない」品物であること。事故の被害の大きさ。戦争による強力な兵器であるために厳しい厳しい管理がされていた。また国際条項で持つ船の数に限りがある事も災いしている。ただ最近はその数も増えたようで、その枠を権威があるガルガンチュアとアーサーの両家が半分づつ持っていた。理由はもちろん何かあったら接収するためである。


 逆に言えばそんな重要な家の御曹司が荷物持ちさせる状況もおかしい話である。


「ああ……あのな。なんで俺はこっちに誘われたんだ?」


「他の令嬢どもに付き出してもいいのでしたら。今すぐに付き出しますわ。お兄様」


「ごめん。一緒に行けてうれしいなぁ」


「リディア。ありがとうな誘ってくれて」


「だって、おこづかい持ってるだろ? 便利な財布だからさ。お前」


「リディア、あのな。わかってるやん」


 私は指を咥える。リディアが羨ましく。そして憎々しい。イチャイチャしていた。


「トル、何が悔しいんだ?」


「……令嬢たちはこの夏でみんな花を咲かせるんですわ。そのまま花びらを散らすのです。悔しいですわ」


「生々しいね。言い方が」


「くぅ、私も殿方を無理やり作ればよかった!!」


「俺はその殿方にも入ってないんだなぁ」


 入れるわけがない。家族に燃やされる。


「にしても……驚いたのはお兄さんも山へ行くなんてね。お父さんのお仕事に付き添うの嫌なの?」


「嫌だ。それにそこの勉強はしっかりしてる。思い出作りもしたいし、妹の護衛と一緒のが安いからな」


 人件費節約だろう。


「護衛が居ますのお兄様?」


「既に船に入ってる。客全員が親衛隊らしい。山に入れば散開してる。お前の服には印がつき、俺の服にも印がついて監視されてる」


「厳重ですこと。あれ、と言うことは? ふふふ」


 金持ちのすることは凄いと思う。そして彼女は何かを考える。


「お兄様、面白い事をしませんか?」


「いったい何を?」


「乗客全員が親衛隊なら……知り合いですわね。なら気にしなくて遊べますわ」


 私たちは背筋が冷える事を感じながらも船に乗り込んだ。





 船に乗り込み、私たちは寝台の個室に入る。そして、一つの部屋に私たちは集まった。寝台の個室は2段ベット2つの4人部屋と2人部屋がある。4人部屋に集まった私たちはベットを決める。


「寝台はトルと同じ部屋にしてほしい」


「あら、お兄様……簡単にはいきませんわ」


 牽制し合う姉妹に。


「俺はリディアと同じ部屋でも問題ないけど」


「ヴェル、避妊しっかりな。俺、持ってきてねぇよ。そういうもの」


「リディア!? 何を勘違いを」


「冗談んだって。持ってきてるって」


「いや!? え? リディア!?」


 リディアが婚約者といちゃつき。私はリリィの耳を押さえた。聞いてはいけないことを言っていると思ってだ。そんな中でゼロとナナリがカードを取り出す。トランプであり、それで雌雄を決するつもりだろう。私はそのトランプの戦いを無視してお願いする。


「リディアとヴェル。二人だけの個室へ行ってほしい。リリィもそれでいいよね?」


「はい、婚約者同士。繋がる方がいいと思います」


「俺はまぁ、興味ねぇからな。トルの貞操護るために向かってやるよ」


 ヴェル様が赤くなる中でリディアがそのまま頷き個室へ向かった。ありがとうリディア。


「なに!? 個室が決まったのか!?」


「お兄様、婚約者同士です。譲りましょう。何を焦ってるんですのぉ?」


「正直に言うと……おめぇがトルに付きっきりになるつもりだろ」


「ほほほ、バレてます? そうですわ!! 彼女は私の友達ですわ。お兄様遠くから見てるだけですわ」


「お前ってやつは!!」


「きゃぁああああ襲われるぅ」


 兄妹が仲良くベットでじゃれついていた。まぁナナリの頭を鷲掴みして潰そうとするゼロ様に手加減と言う言葉はないのかもしれないが。


「トル姉さん。人気者だね」


「ええ、ガルガンチュア家じゃなければ心から喜べたんですけどね。親衛隊とか……私の事も調べがついてるんでしょうし……厄介ですよね」


 母上には釘を刺されている。「これ以上目立つな」と。父上は逆に母上を抑えてくれていた。


「トル、ひまぁ。なんかなぁい?」


「ナナリ、だらしない。リリィの教育に悪いわ」


「リリィ、私のようになっちゃだめよ」


「ナナリ姉さまのようにならないので安心してください」


「直接言われるのもどうかと思うわね。お兄様、ひまぁ」


「トランプがある」


「一人であそべば? あがぁあ!?」


 ゼロの肘がナナリの腹に入る。私はその悶絶するナナリに伝えた。


「甲板に出ればいいんじゃない?」


「……」


 しかし、反応はない。気絶した。


「ゼロ様、救護班居ますよね? 親衛隊に」


「ああ、やりすぎたな。すぐに呼ぶよ」


 リリィがナナリに近づき頭を撫でる。優しい子。


「いまのナナリ姉さまなら、倒せるのでは?」


 ごめんなさい。怖い子でした。


「ゼロ様、トルお姉さん。二人で甲板に行くのはどうでしょうか? 私がナナリお姉さんを蘇生します」


「え、リリィちゃん?」


「トルお姉さん。頑張ってくださいね」


 私は予想外な所から攻撃を受け、ゼロ様が肩を叩く。非常に難しい顔で同情するような顔に私は大きい溜め息を吐いた。


「行きましょう。ゼロ」


「ああ、行こうか」


 結局、こうなる運命なんだと私は諦める。





 甲板につくと風が強く吹き付けており、物が飛ばされそう……と言うことはなく。魔法でしっかりと防御されており監視の親衛隊のカップルなどが談笑していた。


「親衛隊のカップルばっかりですね」


「そうだね。まぁ、護衛の任務はおまけだからね。昔からそうだったんだろう。今さらさ」


「治安良いものですから」


「他の国に比べてと言う話だな」


「そうですね。実際、拐われる事はないと思われるのです」


「狂人以外はですけどね。我々とは思考が違う方々も多いです」


「君のように?」


「私のように」


 二人で甲板のフェンスに立ち、世界を見る。森に山に豊かな大地があり、所々に村が見え。穀物地帯の大農園も見える。世界は広く、私は矮小に感じるほどに開けていた。


「はぁ、こんなに世界が美しいのにリディアは交尾してるんですね」


「交尾、言うな」


「後で感想聞きます」


「やめないか。はしたない」


「興味ないもですか?」


「聞く方が恥ずかしく。俺には無理だ」


「……私からお聞きしますよ?」


「トル、俺を巻き込もうとするのやめろ。妹のような厄介な人だね君」


「嫌われるために必死ですから」


「では、私はメディアに『フランベルジュの家はドリアードの亜人』だと言いふらすよ」


「……ここで転落事故死させますよ」


「やってみろ。負けないよ」


「……」


「……」


 私は沈黙後、大きい溜め息を吐く。そのまま後ろからゼロ様が抱き付くが全く気にも止めずに会話を続けた。


「こっそり、付き合ってる言われてるのにそんな事をするんですね?」


「こんな事をしても邪険に扱わないじゃないか」


「『弱味を握られてる』と言うことに覚えがないのですか?」


「本当にそれだけか?」


「ええ、それだけですわ」


 ゼロ様の声を間近で聞きながら、体が強張る。触れる指から魔力を感じた。


「『独占』の魔法を刻んだよ。チャンスは今しかないからね。君はやはり人間じゃない。無機物有機物の中間のような特徴持っている。本来、石や木などにはつきやすいけど。人間や獣などには効果がない魔法なんだ。そして君は受け入れた。拒絶せず」


「……」


「何か言うことは?」


「ここ魔法、概念はこうなってるんですね」


 私は魔力を流し、対抗呪文で文字を消す。ゼロ様はしまったと言う顔のあとに笑顔になる。


「……使える?」


「『独占』ではなく『守護』と言う文字だった事がわかるぐらいには」


 私はドリアードの特性、疑似魔法杖のような状態になる。ゼロ様の魔力が流れ、魔法を発現させる。『守護』の効果は呪いなど、邪な魔法から護る効果が期待できた。


「ゼロ・ガルガンチュアの魔力を保存し、王家の秘術を複製。発現までできます」


「凄いなドリアードは……杖になる理由もわかった。確かにこれは魔法使いには垂涎な物だ。ヨダレを垂らしてもほしい物。または独占したいだろうね」


「……だから王家に大事にされたのでしょうね」


「そして、革命後。惨殺と」


「それは悲しい事ですが。まぁ、避ける術はあるでしょうね」


 ゼロ様は離れない。そのまま、私の体に魔力を注ぐ。その行為と好意に私は唸る。


「うぅうう、いつまでやるんですか?」


「魔力が空になるまで」


「はぁ、全く。後で教えてくださいね『王家の禁術』を」


「もちろん、俺が君に『漏らす』よ」


 私たちは私たちで弱味を握った。バランスを合わせるように双方が間違いを犯さないと言う密約をするのだった。






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