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②普通の令嬢です。嘘です。


 第二王立学園はその名の通りに2番目に出来た学園である。第一王立学園では受け入れられない数の子を受け入れるために作られた貴族院側と平民側の混ざった学園であり、貴族院内でも第一第二で確執があるが。第二卒業の貴族も活躍し、今ではただの仲間意識の一つである。


 ただ、第一王立は文化、文明、歴史を大切にし。第二王立は科学、数学、哲学を大切にしている。両方共通して魔法は大切にしている。違いが生まれたのも学生を手に入れるための進化とも言えた。


 そして私は母親の実を食しているので知識だけは立派にある状態。どっちの学園でもよく。どっちの学園でも成績を作る事が出来る。


 だが、王家が多くなる第一王立はダメであり。結果、第二王立を選んだ。そして今日、入学式である。


「ようこそ、我が学びの園へ」


 多くの同級生と共に学園長の演説を聞くなかで私は無駄知識を思い出して暇な時間を潰す。「学びの園と言いつつ……学力は第一と第二よりも私立学園のが上なんですよね」と長い長い誰でも入れる学園の学力低下を考えた。


 そしてもうひとつの知識を思い出す。騎士を育てるための学園や学者を育てる私立学園などの方が長所があり、学生もやる気がある。やる気のある先生が多いのは私立。やる気ではない貴族の意向に沿うようにする先生が多いのが国立であり、婚約者との顔見合わせ。妾を探す場であり……あまり褒められた状況ではない。ただ、男性の場合は卒業後に成績でも影響はするので変な事はできないので。


「うーん、バランスは取れる……本当に……神の見えざる手」


 色んな事を無駄な事が頭に浮かび、消えていく。気付いたら演説は終わり、クラスに帰った。どんな令嬢も私もしっかりと学園の制服を着ている。理由は使用人付きのために用意する私服が高いので代わりの物として制服を規定している。使用人にもドレスなんて見栄えを気にするためだ。


「私の家はそこそこの名家ですけど使用人は居ませんでしたね?」


 魔法道具買うのがいいのかもしれないけど、家事はお母さんが魔法などでやっていた。お客様の対応も全てお母さん一人でやっていた。


「お母さん、凄いんだなぁ……あれを私は見本にしなければいけないのね……荷が重いです」


 学園生活で「荷が重い」と考えたくない。花の学園生活が楽しい物であればいいのだ。だから私はクラスを見ながら関係性を探ろうする。そして目立つ子がいる。一人だけ目付きが怖い。入学初日にイライラしてる女性が居た。色んな令嬢が挨拶をする中で一人、敵意むき出しの女性に私は逆に不思議になる。


 そして私は一番始めに彼女に挨拶しようと考える。立ち上がって彼女に近付くと睨まれた。


「あん?」


 綺麗な顔で眼をつけられた。珍しすぎる子。学園に居ていい筈のない子だ。無理矢理入れたのか凄く気になる子だった。令嬢教育は入学前に済ましている筈なのにこれである。


「初めまして。トル・フランベルジュです」


「ああ? なれあいなんか興味ねぇよ」


 少し、迷いか何かが感じ取れる。普通に怖い子だった。だが、私は怖くない。自信がある。


「私は興味あります。どうですか? 腕相撲」


「あっ? 腕相撲?」


 男の子ぽいから誘ってみると食い付きがよかった。


「負けたら私の友達です。いいですね?」


「おお、やる気あるんだな。女のくせに」


「ありますよ。私には第一王立で活躍する兄さんが居ますから」


「おっ、俺も兄貴たちに鍛えられた筋肉がある負ける事なんて……」


 腕を机の上で組む。ああ、確かに鍛えてる雰囲気がある。だけど甘い。


「うぅ、動かねぇ!?」


 ズルはバレない。私の制服は長袖は根を隠すには丁度よく、腕に絡ませ固定出来た。相手が弱るのを待ち。「弱ったな」と思った瞬間に根を引き、机に叩きつける。驚く彼女に私は勝ち誇った表情で答えた。


「力は本物ですが、察しや洞察力は弱いと……」


「てめぇ!? 何した!?」


「さぁね。勝ちは勝ちです友達になってくださいね」


「不正だ!! 不正!!」


「それ、カッコ悪いですよ。『くっ、敗けだ』の方がカッコいいですよ」


「ちっ……確かに見破れなかったから負けだ。わかった煮るなり焼くなりしろ」


「名前」


「あん?」


「名前を聞いてませんよ」


「ああ、リディア・サルディス。よろしくな、ナヨナヨした奴ばっかかと思ったぜ。この学園」


「同じく。よろしくリディア」


 私は強引に友達を手に入れた。そして……クラスで浮くだろう彼女をクラスに慣れさせるために先に手を打てたことに私の直感の良さを自分で褒めるのだった。


「トル、なんで自分のおでこ撫でてるんだ?」


「勝った事と友達を手に入れた事を自分で褒めてるんです。誰も褒めてくれませんので」


「ぷぅ……はははははは。おもしれぇな。おめぇ」


「おもしれぇですか?」


「普通はそんなことしねぇよ」


「なら、普通は男言葉を話しませんね」


「ああ、それは……俺……男兄弟の末っ子だったんだ」


「それで男ぽい口調に?」


「途中まで一緒の教育だったんだ。まぁ……それはどうでもいいさ」


「良くないですよ。せっかくです。お家の愚痴を言い合いません? そこで見てる方々も……午後のお茶会どうですか?」


 私は流れるように話を振る。結果、私についてくる子が何人か居てくれる。これで友達問題は解決し、「私の学園生活はうまく行くのでは?」と思っていたのだが。予想外な声のかけられ方をする。


「あら、そんな物騒な人についていくのかしら? 力比べなんて令嬢らしからぬ事。お里が知れるわね」


「ふふ、そうです。暴力主義なんてねぇ」


 逆に敵意を向く令嬢たちに私が指を差される。


「フランベルジュなんて聞いたことないわ」


「え、ええ……その発言は……ちょっと」


 私はドン引きする。その仕草に彼女が喰ってかかる。


「何か? 微妙な家なんか知らないのが普通よ」


「普通ならそうなんですけど。他家を貶める発言とそれを知らないと言う無知を誇るのは……ちょっと……恥ずかしいかなと思います」


「はい!?」


「フランベルジュ……俺は知ってるぞ。魔法家の隊長さんだ。俺ん家と模擬戦とかでちらほら聞く家だな」


「サルディス家は下院で有名な騎士を輩出している家ですね。古くは上院であった家ですが……戦争で負けて数を減らし、没落。その後は市民としてまた騎士としても頭角を再度示した歴史ある家です。知ってて当然ですね」


「ほぇ~そうなんだ。俺ん家そうなんかぁ。ニシシシ、突っかかるのいいと思うけど。相手が悪いなぁ~何て言う家かわかんねぇけど。俺も」


「くぅ……いいでしょう。驚きなさい。我が家はナナリ……もぐぅ」


「お嬢様……ダメです」


 お嬢様と言われた令嬢が口を塞がれる。


「わぁお……言えない名家なんですね」


 流石にこれは驚いた。偽名の名家なんて。


「お嬢様!! 偽名をお使いください!!」


「偽名を使ってバカにされる方が嫌よ!!」


「偽名をお伺いしてもよろしいですか? 使用人さん」


「ナナリ・ミリシオンです」


「ミリシオン家ですか……知らない家ですね。ごめんなさい」


 私でも知らない。珍しいではなく本当に無い家なのかもしれない。調べてみたら凄い事になりそう。


「くぅ……ふん」


「お嬢様、抑えてください」


 私は彼女に近付く。そして、抱き付いて耳に囁く。


「たぶん、家名を良く思わない家が多いんです。偽家を使う理由は有名家である事と相応で敵意が向けられやすいのです。だから我慢すべきです」


「……なに? 黙ってなさいって?」


「拐われて殺されますよ。今、この場で私が捨て身だった場合はナイフをお腹にブスりです。そういう事もあり得るのでやめましょう、お嬢様」


「あなた……何者?」


「……私も秘密があるのです」


 私は離れ、クラスの皆の表情を見る。


「どうですか? お茶会……お嬢様」


 私の学園生活は突っかかりから始まる。変な始まりとなったのだった。



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