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 学園内でナナリが婚約者を罰した事は噂で広がった。クラスの代表である彼女は学園内で小さな権力を手にしている。多くのクラスではグループが作られていがみ合う悪循環だが。私たちのクラスはグループはあれどいがみ合いは決闘で決まり、逆に仲間意識が高く、攻撃的な面は全て外に向けられていた。


 うまい誘導、金持ち喧嘩せず。悩みの相談など。まとめるのに苦労はしているが……なんとか反乱をせずに維持は出来ている。今では「殿方、全裸本」をクラス内で取引されるぐらいには治安がいい。私はなにもみていない。


 そんな後は長期の休みを待ち遠しくしている中で、私たちは絡まれた。いつかの3人に。


「よう、お嬢様たち。ちょっと一緒に遊びませんか?」


 カフェテリアへ向かう途中の事だ。3人は待っていたと言うように声をかけてくる。先生も見ていない所で、私はリリィに目配りした。彼女はスミに移動し震える。


「この子が怖がるのでごめんなさい。さようなら」


 私は「素直に従わない」と思っている。故に……力で押し込んでくる事も予想できた。


「そうはいかない。ちょっと話をしよう……そこの教室で……な」


「何も話をするような事は……」


「まぁ、そう言わずに。行くぞ」


 リーダー各の一人が合図をして私たちの手を掴もうとする。噂は聞いているだろうに自信満々にする。私は根から情報を得た。連れていこうとする部屋には10人ほどの男子生徒が待っている。女子生徒も待っており、流石に大人数だと思えた。危険すぎる状況にナナリは笑みを溢すが私がこっそりと伝えてあげると硬直する。多勢に無勢は流石に嫌らしい。


「大人しく従った方がいいけどな。そこに人を用意した。人数差で全く相手にならない」


「やり方が汚いですわ!!」


「何度でも言ってくれ。お前たちはやり過ぎた」


「でも、そこの隠れてる方々ってなんで出てこないのでしょうか?」


「あん? 疑ってるのか、じゃぁ呼んでやろう。おーい全員出てこい」


 彼が呼ぶが、全くドアが開かない。鍵をかけただけならいいが、封印の魔法陣が浮かび。それと勝負する羽目になっている。


「隠す場所が悪かったですね。こっちには魔法の特待生様がいらっしゃったんですよ」


「そ、そのう。時間稼ぎにしか……」


「それでいいの。ねぇナナリ、リディア」


「ええ、数じゃないなら」


「俺、集団戦でかっこつけたかったなぁ」


 ナナリとリディアがやる気を取り戻し、私はリリィを抱き締める。一応、彼女が要だ。


「ああ、しょうがない。やってやるよ!!」


 学園では珍しい、男子と女子の殴り合いが始まる。顔面を殴られるナナリとリディア。思った以上に弱い姿に男たちは調子ずき。加減を忘れて殴り続けた。応戦するが全く歯がたたない。


 それを私は……反撃することなく我慢する。私には全く暴力が来ずに……ドアも開いた。


「ああ、なんだ。俺ら要らなかったじゃん」


 部屋から出てきた子達がボロボロの二人を嘲笑う。


「まだよ……私は立ってるわ」


「俺っちも立ってる」


 ナナリの威勢、リディアの威勢は蹴りによって叩き伏せられて崩される。そのままお腹を蹴られ、悶絶するナナリに私をリリィに囁く。


「悲鳴あげて」


「きゃあああああああああああああああああ、いやああああああああああ」


 その悲鳴は大きく。皆の動きが止まったと同時に……


「な、なんて事を!?」


「君たち!?」


 廊下の奥から先生方に今の状況を見られる。驚いたのは男たちで。


「な、なんで要るんだ!? 足止めは!?」


 今の状況に驚く。私は勝ちを確信した……残念ながら学園の先生は言いなりなのだが。今の状況は流石に不味いと考えるだろう。そして極めつけはゼロ様の登場。さぁ火がついた。


「ナナリ!? 先生たちは生徒を、私は治療します」


 状況が状況なため、一人二人が逃げ出す。それに先生たちが怒声と共に追いかけていく。ゼロ様は慌ててナナリに近付くが……ナナリとリディアはひょいっと立ち上がり。口の血を拭う。


「口の中を切っちゃったみたいね」


「ああ、痛かったぁ~トル。リリィ。早く回復して」


「ええ、リリィお願いね。私は後始末があるの」


「は、はい」


 回復をリリィに任せて、私はゼロ様に頭を下げる。


「ありがとうございました。これで当分は安全ですね」


「………もしや、やられてるのは演技だった?」


「二人には時間稼ぎで『酷く負けてください』と支持しました。立派でした。でも……ここまで露骨にやってくるとは思ってなかったですけどね。若さって怖いです」


「どうするつもりなんだ?」


「それは学園が決めると思います。リリィ、外傷は癒さない方がいいわ。痛み止めだけね。危害を与えた証拠だから」


「は、はい」


「結局『何もなかった』とするには酷く、ゼロ様が見てしまったために揉み消すにも大変ですね。あと、ガルガンチュア家に喧嘩を売るなんて……大変よね」


「私の家はそんなに影響力なんてないと思いますが?」


「ふふ、謙遜を……なぁに。ここからです」


 私はナナリにお願いをする。


「ナナリ、早めの夏休みお願いね」


「ええ、暇潰しを考えなさいよ」


「はい。では行きましょう。医務室へ」





 トルが笑顔で私とリリィを連れてカフェテリアへ向かう。医務室から、二人は急遽病院へ送られる。痛み止めだけを飲んだだけで一本ぐらい折れてそうだった。


「助けていただいた恩です。今日は私がお金を出します」


「助けたなんて……なにもしてないよ。僕は」


「いいえ、最大限の方法で助けてくださいました。そして……同席に一人を呼んでます。リリィちゃん呼んで」


「はい」


 リリィが席を立って一人の令嬢を呼ぶ。そして……その令嬢はメモを取り出して席に座った。


「はじめまして、王子。私はアルム・メディアと申します」


「ああ、その……はじめまして」


「ふふ、表情に苦虫を噛んだ表情をしてますよ」


「いえ、申し訳ないです。初対面ですのに」


「いいですぅ。そういうお仕事の家ですから。嫌われてなんぼですぅ。好かれてもなんぼですぅ」


 彼女の家は流石に私にも害をもたらした存在だ。そう、彼女の家は情報商品を扱う。国民に向けて私がこの学園に居ること。婚約者探しをしている事を大々的に発表した家だ。そのために追いかけ回された結果になっても彼女はそれを喜んで発表する。人の事を楽しんでいるような令嬢様だ。


「あら、ゼロ様に嫌われるなんて相当ですね~噂通りのエグい方法で噂の流布してるのかしら?」


「そんな、真実を発表してるだけですよぅ。例えば……ゼロ様とトル様は仲がいいとかね? 学園外は知りたい人が多いと思うよぉ」


「残念、既に広まってます。それよりも……殺されそうになってるのを知らないと言った方がいいかしら? 恨まれやすいですよね……本当に。情報ほしいでしょうね復讐者は」


「恐いですぅ。私のせいじゃないのに」


「今までがそうだから仕方ないですわ。ゼロ様にだって襲われるし、私だって襲われた。そんな事よりも呼んだ理由はもちろんわかってる?」


「わかってるわかってるぅ。第二王立学園で行われた数々の暴行事件。数々のいじめ事件を発表でしょ。美味しい美味しい話だよねぇ」


「ええ、美味しいです。加害者の家を発表は控えなくていいんじゃないかしら?」


「うーんそこはお父さんの判断やねぇ。でも、妹の入院。ゼロ様の関わった情報って言う証拠だからなぁ。発表しないと騒動が収まらないかも。既に先生方にみられてるし、噂が出てるからねぇ」


「ええ、そうですね。では、ゼロ様。おわかりですね?」


「……彼女に情報提供した人物になれと言うんだね。わかった。私も正直……知らなかったよ」


 トルは頷き、アルムはメモを取り、そして私は頭を悩ましていた。彼女パパラッチを使って正すわけだが大丈夫なのかわからない。


「学園は秘匿とするんじゃないか?」


「わかってないですねぇ。流石に感情を抑えるに厳しいでしょう。発表するのは簡単な話になります。ゼロ様の元に謝りにくる人たちがいっぱい来るでしょうね」


「はぁ、わかった。覚悟しとくよ」


 彼女は自分もパパラッチの被害を受けるだろうに……許容する。


「何か私の顔に?」


「いや、恐ろしい人と再認識したよ。本当に妹の友達で良かった」


「もし、友達じゃなかったら敵でしたね。きっと……あんな友達ですから。本当に大変です。友達じゃなかったら、ゼロ様きっと学園に居なかったかもしれませんね」


 笑う彼女に本当に仲がいい事を感じ、そして胸に少し痛みがする。そこまで拒否するのかと。





 お父さんの私設病院の個室に私はすぐに顔を出す。一応、妹が入院している事になっていたが。


「今日、退院ですわ。お迎えありがとう、お兄さま」


「あんなにボロボロだったのに元気すぎじゃないか?」


「名医で魔法使いが魔法使いを癒す傷は大怪我では数日。小さな傷は病院では1日ですわ」


「そう言うが……あれだけ一方的に大怪我じゃないのが不思議だ」


「一応、防御はしてたんです。致命傷は避けるように、逆に驚いたのは『彼等は手加減しなかった』事ですね」


 それを聞き、大きく大きく溜め息を吐く。


「何が悪かったんでしょうね……」


「お兄さまがトルと仲良い事と私が婚約者を貶めた事が彼等に凶行を行わせた理由です。誰も止めずに暴れた結果ですわ。気を付けないと私達もあのように民衆に晒されてしまいます。たまたまトルが彼女の弱味を持ってたから『協力してくれるだろう』と思われますわ」


「確かに気を付けないとな。我々は有名だからな」


「では、帰りましょう。お兄さま」


「ああ、帰ろう」


 妹と一緒に歩く日が来るなんて思わなかった。昔は妹や私は避けて生きていた。


「本当に不思議ですね。妾の子のお兄さまと一緒に帰るなんて。手を繋ぎますか?」


「竜車を用意してる」


「繋がないの?」


「握り潰されたくないからね。いや、本当に」


「ふふふ、ほーほほ!! お兄さま!! よくわかりましたね。もちろんやるつもりでした」


 本人は笑う。そのまま用意した竜車に乗り、私は家へ向かう事をお願いし運転者は指示に従ってくれる。


「それで、トルに恩を売れたお兄さまはチャンスを得たと言うことですね」


「チャンスだね。確かに」


「二人きりで何処へ遊びに行くんです?」


「わからない。実はわからない」


「……何処がいいか聞いておきますわ」


「ありがとう。頼りにしてるよ」


 本当に頼りになる妹様だ。


「なので握手しましょ」


 本当に悪魔のような妹様だ。




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